Laub🍃

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2014.03.30
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カテゴリ: 🔗少プリ






本家の桜は今満開を迎えているころだろうか。




  * * *






たった数年だ。数年で、世界が変わった。

武士の赤と濃茶の世界、苗との桜色の世界。

それらが日々の灰色に浸食されていく今。
鮮やかなのは夢ばかり、目を開ける毎に俺は絶望する。


逢いたくて急いだあの道は、観光名所として多くの人が歩いているのかもしれない。
帯刀家の因縁も、想いも、雑多な不謹慎な目で声で勝手に語られているのかもしれない。


俺だけが。生き残った俺だけが、知っていること。


それを不用意に人に語ることは出来ない。


交わした約束も
果たされなかった約束も

すべては俺が墓まで抱えていく。

・・・そう決意した筈だったのに。



隣には、秘密を話した相手が居る。
隣には、これからともに歩んでいきたい相棒が居る。





・・・・・・・・・・直の手には重いと思った。

直を己の因縁に関わらせるわけには行かぬと、

自身のことだけでも重荷を背負っていた直のことは、
なおのこと、ただ、守りたかった。






けれど。

直は、守ってくれた。


細い腕で、泣く俺を抱き締めてくれた。




守り、守られる。
支え、支えられる。




あの日あの手紙で云われた言葉が思い返される。

苗は、今も、時々俺達を見守ってくれているのだろうか。




あの日、直が俺の隣にやって来てから
止まっていた時間が動き出した。灰色だった木がゆっくりと芽吹きだした。
そうして俺はその並木の中を歩き出せた。



過去に立ち止まり未来を蔑ろにするでなく
未来を追いかけて過去を追いやるでなく
歩いて、歩いて、歩いて・・・・


歩く通りには季節が来る。芽が出て、花が咲いて、葉が出て、存分に陽を浴びてから色づいて散って、
そして冬をその質実な姿で乗り切って、また芽が出る。






これは、夢ではない。





いつか、ここを出て 桜を見られるだろうか。

もしその時が来たのならば、


どうか、直と。











*******



イメージソング、星村さんの「桜日和」。


かなり斜め解釈ですが、
サムライにとっての未来の象徴 直、そして「直のサムライ」を腕に抱いて
桃色の(溶鉱炉の)空、そして夢の中で桜を桃色を見上げるサムライ・・・・・・というイメージ

サムライは頑固で忍耐強いけど、変化しないところが魅力でもあるんだけど、
だからこそ、変わらない上で変わっていくサムライが好きです。

苗さんによる「帯刀家からの解放」は、それを望んでのことなのでは、とも思います。


貢苗とサム苗の違いは、


直ちゃんの「サムライは、帯刀貢がこうありたいと望んだ姿の体現」という言葉から考えると、

サム苗は
直ちゃんに出会う前の時期、出会い、親友として共に歩んだ時期、
親友以上恋人未満になった時期

で、サムライの心境がだいぶ違うのじゃないかな、と思うのです。

そして、そんなサムライの変化を苗さんはきっと微笑みながら見守っているのでしょう。


時々ため息をつきながら






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最終更新日  2014.06.27 11:48:49
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