Laub🍃

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2015.04.28
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カテゴリ: .1次題
自由になる夢を見た。






少女Aは自由になりたかった。
だから彼女は窓から入り込んできた風に、箱入りお嬢様のように真っ白な髪質の解答用紙を託した。
そこには既に確定した、彼女を絡めとる手書き文字の列がある。
そして紙は風に舞う。






ひらひらと紙が舞っている。
少女Bは駄目な人が好きだった。

自分以外にもダメを作り出す存在がいることに安堵していた。
その長らく旅をしてきたらしい解答用紙もそうだと思った。
某国民的アニメの丸メガネの主人公のように、眼鏡と同じ0を赤々と描かれているに違いないと。
そして少女は紙を追いかける。





誰かが何かを追いかけている。
少女Cはその理由を推察するのが好きだった。
何の変哲もないもの、しかし謎を解くときだけそれは絶好の美味に変わる。
それの変わる瞬間を逃してはならないと彼女は常々言っていた。
そして少女は紙を追いかける少女を追いかける。






少年Dはそんな幼馴染が心配でついていくことが多かった。
大方は杞憂に終わるのだが、中にはどう見ても危険なことも多く、そうした場合の多くは逃げ、あるいは通報し助けを求め、どうにもならなければ闘ってきた。
おかげで少年Dの名前の方が有名になってしまった。
そして少年は紙を追いかける少女を追いかける少女についていく。






少年Eが細菌入った探偵部という所はとかくアスファルトのひび割れ崖っぷち隣町なんでもかんでも追跡しはじめる部活で、地味な活動から危険な活動まで非常に幅が広かった。
お前も物好きだと言われたけれど、それを言っているのが副部長なのだから鏡を見てものを言うべきだろうと少年は想う。
今回は少し経路が違う。対象3枚がずっとつかず離れず飛んでいる。
そしてそれらすべてを少年の目は捕捉している。
少年の目が全体を捕捉することなど、初恋の恐らく多分は副部長に言われた限りでは相手くらいのものだった。それ以外は常にフレームアウトしたところは記憶の外になるのに。
そして少年は紙を追いかける少女を追いかける少女についていく少年の背中を追う。






かさかさと紙は、ある怪しげな研究室に舞い込んだ。


「あら馬場さん金田さん太斉くん遠藤くん揃って……どうしたの?
 ……?これ?あら、すごいわ。100点の答案じゃない。……で、これ、知り合いの?」


少女Bは馬鹿馬鹿しくなり踵を返した。要らないと酷くつまらなそうに言い捨てて。
少女Cは少女Bがそう言った謎を解くことにした。
少年Dは少女Cを呆れて眺める。
少年Eはその名前に聞き覚えがあった。



その後少年Eは、同じ塾に通う少女Aと少しずつ話すようになる。
そしてその100点満点の優等生の笑顔が崩れ、隠れていた本当の笑顔や泣き顔が解放されることが、少年Eの心の中でいつまでも残る絵になる未来はそう遠くない。





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最終更新日  2018.03.04 07:18:42
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