Laub🍃

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2015.06.23
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カテゴリ: .1次題
少年は手紙を送りたかった。

初めは面倒で、

次に送られてくる言葉が重くて、

最後は送られてくる手紙を読むこともできなくて、

結局少年は手紙を送らなかった。



手紙がやってこなくなってやっと少年は手紙を開いた。

最後の手紙に心を打たれた少年は手紙を送り始めたが、それは返ってこなかった。

花や写真を媚びるように同封しても反応はなかった。

少年の前に春や夏や秋や冬が来るたびに少年には直視できない花が増えた。





宛先不明で返ってくることがないのが救いだった。







少年に手紙を送った少女は、少年を初恋の相手にしていた。

返ってこなくても良かった、沢山沢山少年から生きる希望をもらったのだ。

だけど少年の初めて返してくれた手紙は、そんな少女の想いに寄り添うことはなかった。

少年は成長してしまったのだ。

手紙を返してくれた少年は、かつて夢見た瞳の中のあの少年ではなかった。


だからこそ、少女は今日も返せない手紙を段ボールに入れる。

考え方の変わった少女は、少年の瞳に映る少女ではないだろうと。





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最終更新日  2018.01.17 08:13:34
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