Laub🍃

Laub🍃

2017.03.23
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カテゴリ: ◎2次裏漫
独りで行動するのには慣れている。
けれど、それは独りで大丈夫っていうことじゃない。

あたしは、幼い頃から育ち方や価値観の違いから、周囲の人からずっと遠巻きに見られていた。
あたしのコミュニケーション能力は育たない。
育たないから余計に遠巻きに見られる。
親は笑って、そのままでいいと言う。

そんなあたしに、叱りつつ肯定してくれる人が現れた。

この人の言うことなら受け入れられた。
同時に、この人に受け容れられる自分なら何がどうであろうと正解だと思えた。


両親とその人以外にあたしを認める人はほとんど居なかったから、よけいにそう思えた。

こっちの世界に来ても、あの人はあの人だった。
あたしとお互いに大嫌いなあいつでさえも、言動に不安が残るあいつでさえも、あの人の言葉には耳を傾ける。
まるで神の信託のように。この世界を造った人のメッセージのように、それは正しい。

あの人さえいればいいと思った。他の全てにどう責められようとも、それはそちらが後ろめたいことがあるのだと。

……今あの人と話すようになったあいつがどうなのかは知らないけれど、あたしには、その肯定に勇気づけられると同時に、この人に否定されたらあとがないという想いもあった。
絶対的に正しい人による否定は世界からの追放と同義だからだ。
優しいから、あたしのことを好きだから、言わないでいてくれると信じてもいるけれど。
そして大丈夫だと、あたしは生きる力があるとあの人が言ってくれたら、それは事実になる。
あの人が居ないと弱くて汚くて自己保身ばかりだけれど、あの人が居ればあたしはあの人が言うような強くて綺麗で人を慮る人になれる筈なんだ。

あの人と紡いだ優しい時間を思い返しながら、それがまた来ることを願いながら、今日もあたしは孤軍奮闘をはじめる。





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最終更新日  2017.04.06 06:17:09
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