Laub🍃

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2017.08.30
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テーマ: 鬱くしいもの(2)
カテゴリ: 🌾7種2次表
夏Aは壊されている。
夏Bは社会不適合者。

夏のチームは欠けている。
だからこそ、鬱くしい。

だから、春(中盤)と違い人間関係が危なっかしい。
だから、「一般人」である秋との衝突があった。
だから、冬のチームのように自然の脅威、獣たちよりも人間と闘う・対立することが多い。

そうして彼女・彼らは過去の世界でのトラウマを思い出す。
外の世界に共感できないことを再度確認してしまう。






隕石が落ちる前の世界では生きづらい人たち。
自分の属する小さなコミュニティの中でどうにか息をしていた人たち。

だけど、だからこそ、隕石が落ちた後に元の世界を懐かしんだり、
諦めつつも愛おしんだり、落ちた後の世界で生き方を探しあぐねていたりもする。

そして、だからこそその目線が、そのかつての追憶が、次のページを捲らせる。

不幸なら幸福になるだろう。
忘れているなら想い出すだろう。
失ってしまったなら取り戻すだろう。
欠けているなら誰かが穴を埋めるだろう。

蹲っているなら、再び立ち上がるだろうと。


それは鬱くしさの次にある、全てを捧げるかのような覚悟の美しさだと思う。

どちらも、とても魅力的。




そんな両チームの視点役と言えば、夏Bの語り部・ナツと、夏Aのアンチヒーロー染みた安居。
……二人とも、別の意味で腫物。

ナツは「ダメダメ」
安居は「壊れてる」


だけど、むしろそこから生まれる不憫っぷりとものの見方を逆転させる力と、ドSホイホイっぷりと、リョナ成分、ダーク・アンチヒーロー染みたところが魅力でもあるんじゃないだろうか。

……その中では、嫌悪の声を受けること、理解されないこと、虐げられること、見下されること、憎悪の怨嗟も執拗な「美しさ」……「鬱くしさ」のための描写の一つなのかもしれない。

なんて言ったら怒られるかもしれないけど。
色々な読み方があると思う。







夏A・夏B双方と関わりの深い要先輩もその鬱くしさを持つ一人なんだろうとも思う。
だからこそ田村先生が34巻の4コマでああいった描写をしたのかも?


あと個人的には秋の5巻の外に何も期待しようとしてない所とか
11巻のほかに脅威があるのにそれどころじゃない!と思ってる・
ある程度安全安心になっても以前の人間不信の記憶や行動原理が消えない秋の鬱くしさも推したい。
どうしようもない支配隷属関係になっていてもまだ規律という美徳は消えていない。
3年間、必死で生き抜き、夏Aほど未来専属で学んできたわけでないのに仲間を守り抜いた。
麻薬などの暗さと鬱っぷり、それと相反するしっかりした生き方のギャップがいい。


メインヒロインもう一人である花は一見正義漢、それもサバイバルではほぼ無敵。
だからこそ嵐以外の弱点をどう描くか……あるいは、どう鬱くしく描くか、田村先生は「花は難しい」と評したのでは?

新巻さんは、自虐的だったり前向きな発言が少ない。だけど概ねヒーロー。汚い気持ちや言葉を曝け出すことはなきに等しい。だからこそ憧れられる。
だけどその鬱っぷりと儚さと病みを具体化してしまうと、「加害者でない」新巻さんに対しては、酷い行いになってしまう。だからああいった形で花廃の嵐がエゴでもって介入して傷口を曝け出したのでは?

と考えてみると、なかなか面白い。


壊れた夏A、社会不適合な夏B。
夏だけ二つある理由。
夏Bで始まって、夏Aで終わった訳。

それは、人のどうしようもなさ、醜さ、哀しさを描こうとしたからなんじゃないか。


そうして、人はどうしようもなくて、醜くて、哀しくて、儚いからこそ、同じ傷を持って同じ悲鳴を上げている人と共鳴することもできる。

病んでいるからこそ治せる。
欠けているからこそ補い合える。

それを田村先生は「癒し」と表現したんじゃないかな、とも思う。





*************

身も蓋もない言い方をすると。

夏、田村先生の描写傾向が不憫萌え・特殊性癖持ち・ヤンデル推しホイホイだなあという話。
同情票というのではなく、そういう特徴を持っているからこそキャラ立ちしているというか。
日陰でしか生きられないというような条件付き、
満月の下だと暴走してしまうといった加害者の後悔、
不安定で憎悪と思慕で体をもたせる想い出のハンデ、
これら理不尽で救われなくてエゴイスティックで、場合によってはバッドエンド、デッドエンド、メリーバッドエンドが似合う話って、暗くて惨めで醜悪で歪で陰惨で異常で異様な執着を持って描かれているほど話の魅力を増すことがある。

で、戦争ものの場合、倫理観が「平和な日常」と異なるのが当たり前だから、減らさないといけないから、それら反社会的な言動・心理描写を織り込む事が自然に出来る。
閉鎖空間でのデスゲームも然り。

だけど7種の場合殖えないといけない。ほかに誰も居ないから、嫌いでもうまくやっていかないといけない。反社会しようにも元々の社会はとっくに滅んでいるし、その世界で一人で生きようとしたら死ぬか病む。
徹底的に削られた、限られた、広すぎるのに住めるところは狭い世界で、やっていくしかない。
そのジレンマが主題、かつ後悔やハンデやエゴの描写に繋がった展開があれらきつい場面なんじゃないだろうか。



*************
さて番外編を今日こそ買いたい…。

番外編は苦難の連続だけど、デッドエンドやバッドエンドにはならないことが確定している分今までよりも気楽に読めるかな。
ーだからこそ、スリル、緊張感、ほのかな闇成分を純粋に見ることができるかもしれない。
(人間同士の衝突や海外話、解凍話、コネ話とか未解決な問題とか)

BASARAで血が噴き出し死ぬ病の血を飲まされる番外編、未来に負けて歯がゆい思いをすることが決まっている敵・蜂也の空しくてどこか悲しい番外編は、とても印象に残ってる。





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最終更新日  2017.08.30 02:26:56
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