Laub🍃

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2018.04.04
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カテゴリ: 🔗少プリ
ある所に少年が居た。
少年は愛しい者を嬲り、結果殺したある屋敷の者を赦せなかった。

少年は屋敷を焼き、自らもその中に飛び込んだ。


彼は死ねなかった。


いくら焼いても、突いても、たちどころに皮や肉や骨までも再生してしまう己の体に、彼は途方に暮れた。
しかしじきに、弱い者を守る為に身を投げ出す事に彼は生き甲斐を見出した。

少年は青年となり、自らを『サムライ』と名乗った。





死なないサムライは、ある研究者によって人体研究を望まれた。
ありとあらゆるウイルス、ワクチン、薬の実験台。

死なないサムライは己の強い肉体を活かす限界に気付き始めていたので、それに頷いた。

特に難しいものは精神に干渉し、自殺を促すような病や、そんな副作用を持つ薬だったが、それでも彼は耐え抜いた。

唯一つ耐えがたいのは、これだけ実験をしても、研究者、鍵屋崎直の望む結果が出ないことだった。
鍵屋崎直の真に望むものは、妹の治療。
毎日悪夢を見て、泣いて、奇妙な言動を繰り返す彼女の病状の再現も、治療も出来ない。
それがひたすらサムライにとって悔いとして残っていた。


妹を真に救うのは投薬ではなく、彼女にとって安らぎとなり、励ましとなる人間の存在だということに、兄、鍵屋崎直はまだ気付けない。








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最終更新日  2018.12.25 03:07:03
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