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長押綴

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2018.10.28

泳いで泳いで、達成した事が嬉しい。
泳いで泳いで、その過程の必死さが生きている実感を与えてくれる。
泳いで泳いで、追い抜かした瞬間の優越感と、追い抜かれそうなスリルとがたまらない。

その得た証は消えないけれど、次にはまた餓えて乾いて新たなものを吸収できるようになるから、泳ぐ事が好きだ。

知識には競争はない。
得た知識の活用には競争があり、そのまた向こう、生存競争にも繋がっている。

それなのに泳いで相手を抜かした時と違って、生存競争に勝った後は心は晴れない。
後ろを振り返っても、泳いでいる時と違って誰も見えないのに。
ただ薄暗く澱んでいるだけなのに、それが怖い。

競争相手と思ったあいつらと同時にあの闇から逃げているだけだ。

呑み込まれないように、時には他のみんなを見捨ててまで、ここにやってきたんだ。

いつまで泳げばいいんだろう。

いつまで俺は泳ぎ続けられるんだろう。

あの闇は本当に恐怖なんだろうか。

時々思う。

けれど、それでも息継ぎの為に顔を出せば、誰かの応援する声が聞こえる。

その声の為に泳いでいる。

行き先も知らずに。

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