Laub🍃

Laub🍃

2018.11.20
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カテゴリ: .1次小
「いや、まだだ。まだあいつの目は死んでない!」
で勝手に期待をかけられるのも、
「もう無理だろ。あいつの目はもう死んでる」
と勝手に諦められるのも、もううんざりだ。

ならば目を隠してしまえばいいというだけの話。


*****


師匠や兄弟子の声にうんざりして、目を隠してから臨んだ修行では常に容赦はなかった。けれどその分根性も、目を隠したうえで闘うことにも慣れた。

その分目を使った訓練ができていないので、空いた時間には目だけを活用して射撃も行った。

そんなことをしていたら心配してくれる女の子が現れた。


「ベルグ…お前の手のほうがぼろぼろだろ」
「あたしのは昔からこうだからいいの。あんたは最近ここに来たばっかりなんだろ」

 ベルグは優しい。だから勘違いしてしまいそうになる。

 ベルグは奴隷として売られていたところを師匠が買った子だ。

 だから俺のものではないし、いくら好きでも告白なんてしてはいけない。

「あんたの目はこんなに綺麗なのに、隠してしまうなんて勿体ない」

 すり、と目の横を撫でられる。
 これだけ目にかけてくれているのも、俺と親しいからではない。ベルグが優しくて世話焼きだからだ。避けたいが今は全身疲労で動けない。それをいいことに大人しく撫でられている。


 ずっと、ずっとこんな時間が続けばいい。





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最終更新日  2021.04.17 18:56:13
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