Laub🍃

Laub🍃

2020.05.27
XML
カテゴリ: .1次小
好きな人のことは何でも知りたくなる。
けれど僕が今度好きになった人はあまりに秘密主義で、そしてあまりに迂闊だった。
携帯も鍵もぽろぽろと落とすわ人への好意を簡単に口にするわ八方美人過ぎて痴漢にもうまく抵抗できないわ本当に放っておけなかった。
逆に僕が彼の落としたものを写メした後にこっそり届けたりするレベルだった。
普段はリコーダーでも体操着でも新品の複製品を用意してそっちを返す僕だけど、また手に入るだろうしまぁいっかなんて彼には思ってしまったのだ。

そして彼は特別を作らなかった。
調べたら過去に彼は特別を作ったことがあるけれどそこで嫌がらせにあったとのことで、そこで僕は「彼に嫌がらせをしたところで、彼の特別になろうと努力したところで彼の特別にはなれない」のだと学んだ。普段いかにして好きな相手の特別になるか考え抜く僕としては非常に珍しいことだったし、この恋こそ長続きするのではと期待に胸を躍らせた。

僕は度重なる失恋で疲れていた。だから長続きする穏やかな恋が欲しかったのだ。
それが別に成就しなくても構わない。ただ想っているだけでよかった。

好きな子が複数居ればきっと一人に依存し過ぎて重くならないだろうという打算からだ。
好きで居て好意を投げつけるだけで満足できたし、下劣な欲望はなんとか自分一人で終わらせることができていたから僕の毎日は好調に進んでいると信じて疑わなかった。

その時までは。

「君は俺の事が好きなんじゃなかったの?」
「俺は、それだから、君に見られて恥ずかしくない人になりたいと思ったのに」
「その努力を君は見てくれてなかったの?」

なんてことだ!

そんなに想った発言をされたことはー今までしたことはあったけどーなかったので、僕は危機的状況にも関わらずはゎゎ、と喜んでしまった。

「毎日毎日ラブレターを入れてたくせに急にやめてさあ、俺に飽きたの?」

待ってそれボクチガウ。

「それち「黙って。いいから俺のところに来て」



目が覚めたら俺は大好きな彼の部屋で監禁されていた。

「どうせ君のことだからこの部屋も監視してたんだろうけどよかったね、やっと本当にここに来られて」

いやそれもボクチガウ!
僕は普段ギリギリ犯罪として告発されないレベルでやってきたんだ。ラブレターだって前に他の人に送りまくったことはあるけど君には送ったことがないのに!
弁解しようともガムテープに覆われた口はもがもがとしか動かない。



待ってくれーーーーー
僕の言葉は全て シークレット に付された。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021.05.03 23:50:25
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: