Laub🍃

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2020.08.14
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カテゴリ: .1次小
「にっ…逃げないで下さい!おれ…俺、この任務も失敗したら、大事な人をっ…殺されちゃうんです!」

 今回の標的はお人好しだからこう言えば必ず落ちるだろうよと言われて俺は彼の代わりに敵対組織の幹部を殺しに来た。

 文明崩壊したこの世界で、自治組織同士は対立しあっているからこんなことは珍しいことではない。

「だからっ、」
「……いいよ。アンタも大変だな。……俺ももう、疲れた」

 あいつのところに行きたいと言って標的は、柵を後ろ向きに越えて、落ちた。

 俺が彼を刺そうとしてバキバキに折られた日本刀はそのままに、彼は綺麗に頭から地面へと落下した。

 屋職殉という男の人生はそこで一度終わった。ーーーーはずだったのだ。





 異変が起きたのはその日の夜だった。
 疲れきって、あの人の牢屋の近くでうたたねをした俺は夢を見た。
 自分の手でやっていないとはいえ初めての殺しに罪悪感が見せた夢。

「殺された後、俺は幽霊になっちまったみたいだ。……俺がついててやる、一緒にここから逃げよう。
 福沢紫」

 そう言う彼の手を俺は、とってしまった。



(続)





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最終更新日  2021.08.07 20:22:31
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