Laub🍃

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2021.12.28
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カテゴリ: .1次小
「結婚相手をそろそろお選び下さい。魔界の次期長ともあろう者が」
という声が面倒だから、適当に拾った弱い奴隷階級の女を嫁に迎えた。

 初めはおっかなびっくり俺に触れてきて、卑屈なほど謙虚だったのに、見る間に増長していった。
 非常に残念だ。

 見せしめに部下の一人に下賜した。
 部下は大喜びし、嫁は泣き叫んでいた。

 代わりに部下が俺の好みそうな謙虚な子供を連れてきた。

 謙虚な子供は謙虚なまま他の部下と内通して部下の子をこっそり産んだ。

 今では子とともに囚人の子を産みまくっていることだろう。
 部下は俺に刃を向けたので四肢を折って同じく囚人の居る牢獄へ投げ込んだ。

 今度は別の部下から少年の愛で子を献上された。なるほど、これほど美しいならば女より良いくらいだ。
 少年は青年となり、ある日俺と伽を共にしている時、俺の寝首をかこうとした。

 ああ、何様だ、貴様ら何様だ。

 どこかに俺のもとから離れず、かと言って増長せずに居る者は居ないのか?

 俺はあらゆる種族から理想の嫁を探した。性別も年齢も立場も問わなかった。
 だが誰一人俺に見合う人間は居なかった。

 そうこうしているうちに俺は全てを敵に回した。

「みんな思ってるよ。あんたは何様だと」

 すべてが敵に回った今、ようやっと分かった。

 それは敵でもよかったのだ。

 常に俺に向かってきて殺しに来る奴ら。

 俺のことを恐れず立ち向かい、敵として誇りを持って散っていく奴らに、初めて俺は心からの笑みを浮かべた。





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最終更新日  2022.12.14 23:34:27
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