子どもの寝息をBGMに

子どもの寝息をBGMに

2006年10月17日
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眼科診察の日、窓口に行くと、「今日は何をしに来たのですか?」と訊かれ、「眼底検査を受けに来ました」と、新生児科の看護師さんが説明してくれた検査名を告げたのです。眼科の看護師さんは、カルテを見ながら新生児科に何かを問い合わせたあと、時間をあけて3度目薬をさし、*ももたろう*は検査室へ連れて行かれました。永遠にも思える長い時間、大泣き絶叫が待合室にまで響き、目の周りを真っ赤にして大泣きしている*ももたろう*が出てきました。診察室で先生が一言。「お母さんが希望されたから眼底検査をしましたが、赤ちゃんには(負担も大きいし)普通しない検査なんですよ。」どうやら新生児科の看護師さんが検査=眼底検査と思いこんでいたみたいです。しかも勘違いはそれだけでなく、先生がすまなそうに「実は検査中に私がデータを読み違えて、眼圧も測ったんです。大人ならプシュッと風を送れば簡単に測れるものですが、赤ちゃんは器具で無理に目を開けるので、少し跡が残ってしまいました。」なるほど*ももたろう*の目の縁に、硬い物を押し当てた跡が痛々しく残っていました。

しかし、2つ3つの勘違いが重なったお陰で、*ももたろう*は偶然にも失明の危機を免れました。たまたま測った眼圧の結果が悪く、その後も日を変えて何度か測った結果、先天性緑内障だと判明したのです。できるだけ早く手術をしなければ、視神経が圧迫されて視力を失ってしまう危険性があります。先生方もチームを組んで準備してくださり、最も早く手術ができる日に、眼圧を下げる手術を受けました。

今は術後の検査も間隔が開き、3ヶ月に1度眼圧を測っています。再発して再手術というケースも少なくないのです。術後、涙がいつも目から溢れているのが気になって調べてもらうと、涙管閉塞(目から鼻に涙を流す管が未完成)も起こしていました。こちらはブジー法という治療をします。長い針金を涙管に通して突いて穴を開けるのですが、*ももたろう*の場合、何度処置しても上手く抜けず、結局は県外から症例をたくさんこなしている先生がたまたま来たときに特別に治療してもらいました。その後も毎週涙管洗浄に通い、その度に長い注射針を涙管に刺して生理食塩水を流していました。待合室で泣き声を聞きながら待つ間、「肺の運動。肺の運動」と自分に言い聞かせていたのを思い出します。

泣くと眼圧が上がり、正確に測れないので、眼圧測定のときは「トリクロリール」を飲みます。睡眠剤ですが、なぜか*ももたろう*には効かず、妙に眠気が襲って暴れ回り、興奮して翌日のお昼くらいまでリズムが狂います。今日も薬を飲んだ後2時間待っても寝ず、結局泣いたまま検査を受けました。そして、診察が終わって車に乗ったとたん爆睡。*かぶ*が帰宅してもなかなか起きませんでした。

写真は手術後のものです。眼帯をする必要はなかったのですが、目をこすると良くないので念のため。赤ちゃんは長期間視界を遮ると視覚の発達に影響するおそれがあるので、穴が沢山開いた薄い金属の眼帯をしました。赤ちゃんをコッド(新生児用ベッド)に寝かせて外来をうろうろしていると必ず皆がのぞき込みます。「わあ~赤ちゃん?かわい・・・い・・・」と、仮面ライダーのような*ももたろう*を見て、ばつが悪そうに、そそくさと立ち去って行きました。*かぶ*と私は面白がっていました。偶然がいくつも重なって助かった視力。*ももたろう*の幸運を思うと「かわいそう」なんて言葉は自ずと消えます。

検査結果:泣いた状態で、眼圧は正常。泣いていなければもっと低いはずなので、経過は良好です。






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Last updated  2006年10月18日 00時11分27秒
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