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銀の月の孤城
第1話 光と闇が交わって
私と共に歩け、私たちはひとつなのだから。 (ソーク族の格言)
1
10月25日、それは秋にしては暑い、肌が焼きつくような暑さだった。ローゼンバルツァー家当主ヨハネスやその妻エルネスタを初めとするローゼンバルツァー家の一族達がヨハネスの娘、エレオノールの出産に立ち会っていた。親戚中が緊張感に包まれていた。
「レオンハルト君、大丈夫か」
結婚一年半だが、レオンハルトは正直に妻の妊娠を喜べなかった。
「・・・ああ」
場所はプラハの病院だった。エレオノールガあの男と心中事件を起こして、どれくらいのときが流れたのか、レオンハルトにはわからない。ただ、平和に時が流れるのを待っていた。
「無事に生まれるといいんだが・・・・」
そして―
エレオノールのいる病室から看護婦が出てきて、にっこりと微笑んだ。
「おぎゃああああ~」
女の赤ん坊の声が鳴り響いた。
「女の子です、それはもう、とても綺麗で愛らしい赤ん坊でしたよ。だんな様からご覧になってください」
「・・・はい、父上も一緒に」
「当然だ」
彼らを待っていたのは宗教の聖女のように微笑み、産着に包んだアーディアディトを抱きかかえたエレオノールの美しい笑顔だった。レオンハルトは思わずくらりと着た。
「ひっく・・・ひっく・・・・」
「貴方の娘です、レオン、抱いてあげてください」
「・・・エレオノール、大丈夫なのか」
「はい・・・」
「・・・・」
小さな手がレオンハルトの服の袖を掴んだ。レオンハルトは観察するように、その赤ん坊を壊れ物のように抱いた。アーディアディト・フォン・ヴァルフベルグラオは、10月25日、誕生した。
12月23日に、ヴォルフリート・フォン・ヴァルフベルグラオは嵐の鳴り響き、少しやんだ深夜に、雪がちらほら降る中、当主が住むバルトフィアテルの狩猟館の西館で誕生した。エレオノールが夫と共にエルネスタのもとで産むためにやってきたからだ。
「男の子ですよ、元気な」
「おお・・・・」
レオンハルトは恐る恐るヴォルフリートの小さな体を乳母車から抱き起こし、自分の腕の中に入れた。赤ん坊は不思議そうに、レオンハルトを見ていた。
「うーっ」
赤ん坊の瞳はオッドアイであり、青い瞳に不思議な光が漂っていた。
「君のお父さんだよ、私の息子よ」
レオンハルトは優しく抱きしめた。
「玉の輿のるのがシャノンの夢だっけ?」
アリスとヴォルフリ―トはやや苦笑いだ。
「そうよv食事に困る、服だって数えるほどの暮らしなんて私に似合わないもの」
まあ、シャノン美人だし。・・その気になるのはわからなくはないが。
「子供の頃から高望みするのはどうかと思うな、僕」
「何よ、ヴォルフリ―ト」
シャノンは思わずムッとした表情になった。
「!」
始まりの太鼓の音にアリスは表情をハッと変えた。
明るく軽快な音楽に、皆を笑わせ人間離れした技を見せるピエロ。
異国のものという証の褐色の肌の若い歌手が歌う悲恋の歌。
散らばるライト。
「うわぁぁ・・」
唱が好きなアリスにはそれらがすべて輝いてるように見えた。こうなったら、もう、アリスはその瞬間周りの声が聞こえなくなっていた。
はぁぁ~と、天を仰ぐようにシャノンとヴォルフリ―トは顔に手を置いた。
・・一回こうなると、アリスこっちの世界に戻らないんだよな。
「・・ヴォルフリ―ト。高い身分の人間に近づける気品、容姿一つも持ってないからってやっかまないでよ」
ヴォルフリ―トは目の前の芸に視線を奪われながらどうでも良さげに答えた。一つ下の弟ヴォルフリートをアリスと愛称で呼ばれる、金髪のストレートヘアと大きな碧かかった青い瞳の11歳の少女は大切にしている。
「別にやっかんでないよ、僕興味ないし。どうせ、一生関わる事ない世界だからどうでもいいし」
本当にどうでもいいんだ。
「・・たまにクールよね、アンタ」
そのそばかすのある素朴な顔でヴォルフリートはにっこりと微笑んだ。姉のアリスとは対照的に弱い印象を受けるヴォルフリートは姉と同じ瞳を左目に持ち、右目は緑色に近い濃い色をしていた。底だけは、普通とは違うが、本人の持っているのんびりした雰囲気で他人が気にすることなく、猫のようだといわれている。
「自分を分かってるだけだよ」
ちなみに髪の毛は、ダークブラウンで赤毛がまじっている。
フランツ・ヨーゼフ皇帝。
オーストリア皇帝。ハンガリー・ボヘミア・ダルマチア・クロアチア・すらヴォニア・ガリシア・ロ止めリア・イリリア王、エルサレムなどの王、オーストリア大公、トスカーナ・クラクフ大公、ロートリンゲン・ザルツブルク・シュタイア・ケルンテン・カル二オラ・ブコヴィナ公、トランシルヴァニア大公・モラヴィア辺境迫、上部及び下部シレジア・モデナ・パルマ・ピアチェンツァ・グァスタッラ・アウシュヴィッツ・ザトール・テッシュン・フリアウル・ラグーザ・ツァラ公、ハプスブルク・ティロル・キュブルク・ゲルツ・グラディスカ公、トレント・ブリクセン、上部及び下部ラウジッツ・イストリア辺境伯、ホーエンエムス・フェルトキルヒ・ブレゲンツ・ゾネンベルクなどの伯爵、トリエステ・カッタロ・ヴェンド辺境領主、セルビア県大軍司令官。
・・・カーンカーン。
雪が降る港で一つの観客船が空に向かって出発の合図の合図がなった。
その観客船はどこにでもあるごく普通の観客船といった作りで、たくさんある船の中で混じっていた。
ウィーンからきたメアリ・ポアロは母親と一緒にイギリスに渡るため、その船シェ―ン号に乗り移っていた。
メアリはもうすぐ12歳になろうとした。
「お母さん、これに乗ってイギリスに行くの?」
「そうよ、シェ―ン号にのってパパがいるイギリスに行くのよ。あら」
母親がふと窓際に座っている一人の青年の姿に目を映した。
その青年は年齢を感じさせない綺麗な顔立ちをしていて、柔らかで神聖なオーラを漂わせ、煌びやかだった。
「まあ、綺麗な男の方ね」
その青年は一冊の日記帳を指輪がはめられた、傷痕や焼跡がうっすらとある右手でゆっくりとページをめくっていた。随分と古い日記帳だ、薄汚れていて題名は消えかけている。
その青年の隣には、ゴシックロリータチックな衣装を着た幼い少女と左頬に傷を負った黒髪の鋭い目つきの少年が座って青年を眺めていた。
「お兄ちゃん、何読んでるの?」
と、いつのまにかメアリが青年の近くに行って、そう声をかけていた。
「・・やぁ、こんにちは?君は。私はヴォルフリート・クラウドって言うんだ」
「私、メアリ。メアリ・ポアロ。これからお母さんとお父さんに逢いにイギリス行くの」
「・・イギリスか、私も昔行った事があるな」
青年は懐かしそうに空を仰いだ。
「お兄さんは何処に行くの?ってか、何を読んでるんですか?」
メアリは好奇心旺盛な性分のせいか楽しそうに目を輝かせてヴォルフリートと名乗った青年に尋ねた。ヴォルフリートは穏やかに微笑んだ。
「ああ、これ?これはね・・」
その笑顔はどこか儚げで、現実の人間とは思えない綺麗なものだった。
「これはね、不器用な王子様とその友達との話をつづった日記帳なんだ。ある人から譲れ受けた大切なものなんだ」
「王子様?王子様なのに不器用なの」
メアリは不思議そうに首を傾けた。
「・・聞いてみるかい?ミス・メアリ」
「・・うん!」
メアリは一瞬その冷たい湖底のような蒼い瞳に魅入って、ぼーっとしたがすぐに機を取りなおして元気よく答えた。
カツン、カツン。
「ヴォルフリート」
その時2階の階段の方から一人の男性の声が聞こえてきた。
――1890年のある冬の事だった。
2
「危ないよ、アリス」
「姉さん~っ」
木の下では、孤児院の仲間たちやヴォルフリートが見上げて、心配そうにおろおろしている。
「平気よ、エリク、今日こそは勝つわよ」
アリスの前には、孤児院の中まであるエリクの姿があった。
「負けないぞ」
エリクは挑戦的な笑顔を浮かべて、木を上り始める。
「よぉ~し」
アリスも遅れないよう、と木を上り始める。その時、近くをガラス屋の馬車が通りかかった。
「・・皇后様、どうなされましたか?」
オーストリア皇后エリザベートはそこで従者が部屋に入ってる事に気付いた。
もうテーブルの上には、ティータイムの用意が整われ、エリザベートが眺めるバルコニーからは一面の緑がそこら中に広がっている。
「・・いいえ、何にも。ちょっと昔の事を思い出していただけ」
「そうですか・・、ではカップにお茶を入れますね」
「ええ」
・・久しぶりにバイエルンでの幼い日々を思い出した。
父様や弟、口うるさいお母様やおしとやかで優しいヘレネ―おねえ様。
毎日家庭教師に囲まれて、礼法を身につける為の教育や勉強。
一年中、旅をして帰ってくるたびに旅先の楽しい話を聞かせてくれる父様。
あの頃は何もかが自由で私らしく生きていられる楽しい時間ばかりが過ぎていた。
ああ、そう言えば森のなかで迷子になった事があった。
―それはいつものように野山で駆け回ってる帰りの事だった。
「・・ひっくひっく・・」
小さかった私はどうしていいかわからず草むらの中でうずくまって泣いていた。
「どうしたんだ?」
「誰?」
振り向くと、そこには紫がかった深い青の瞳をした、金色の髪をした12歳くらいの少年が立っていた。
「――」
全身に冷たい感覚が通りすぎていった。
本能なのか、どうしてこんな気持ちになるのかわからなかった。
「・・迷子にでもなったの?」
少年は冷たい印象の顔立ちからは想像できない優しい口調でエリザベートに話しかけて、手を差し伸べた。
「・・う、うん」
後から思えばこの時から始まったと思う。
私の不幸は――
少年はこう言ったのだ。
「―貴方の子供はやがてオーストリアの皇太子としてあの帝国の後継者として生まれるだろう。そして、全てのものを甘美な狂気に導く異能者として―」
とても綺麗な笑顔ではっきり言いきった。
「・・い・・のう・・しゃ?」
・・この私があのオーストリアの将来の皇帝の母親に?
「普通の子供ではないと言う事だよ、エリザベート」
「嘘よ・・」
信じられなかった。
「そんなの嘘よ・・」
幼い私は涙目になりながら否定しつづけるしかなかった。
16歳になった時、私はオーストリア帝国の皇帝になったばかりのフランツ・ヨーゼフにプロポーズされた。
「・・エリザベート、私と結婚してくれないか」
私の肩にそっと優しく触れる手の震え、真剣な表情が冗談ではない事を示していた。
「・・でも、陛下はお姉様と・・」
「それは母上が決めた事だ。・・・頼む、エリザベート。君には苦労をかけると思う、でも私がずっと君を守りつづけるから。
私の妻になってくれないか」
その言葉にエリザベートの胸は自然と熱くなり、頬も赤くなっていた。
「・・フランツ」
フランツの真剣な言葉にエリザベートは甘い感覚が自分のなかに広がって行くのを感じた。
「・・・・」
「あ、急すぎたか?」
黙りこんだエリザベートにオロオロとフランツは困惑するばかりだった。
「困ったな、どうしたらいいのか」
「・・ぷっ」
それを見たエリザベートは何かが吹っ切れたようにクスクスと笑い出した。
「・・エリザベート?」
「・・陛下ったら、うふふ・・」
駄目だ笑いが止まらないわ。
姑ゾフィ―との折り合いは悪く、先に生んだ娘は事故でなくなり、やっと生んだ皇太子であるルドルフも一番最初に生んだ娘と一緒に私の手から離れ、ゾフィ―后妃のもとで育つ事になった。
長女の次に生んだジゼルも同様なものだった。
「・・エリザベート」
夜遅く、泣き崩れる私のもとに夫のフランツが訪れ優しく私に話しかけた。
「・・フランツ、お願い!」
エリザベートはガバッとフランツに自分の身を寄せた。
「・・・お義母様の手から私の子供たちを返して!あんな方法で子供を育てる権利を奪われるなんてなっとくいかないわ!・・・私がお腹を痛めて生んだ子供なのよ」
「エリザベート・・、落ちつくんだ」
「なぜ、視線をそらすの・・?」
「――これは王家に生まれた子供の宿命なんだ。実の母親の手で育てるより、祖母や教育係に任した方がより皇帝にふさわしい子供になれる・・。エリザベート、この掟を受け入れてくれ」
フランツは軽くエリザベートの肩を叩いた。
「・・・何を言ってるの?フランツ」
・・だって、私と貴方の子供なのよ?
ルドルフは・・・。
そうは言っても、エリザベートは心の中で自分の息子としてのルドルフに愛情以外に畏怖めいた思いを抱いている事には気づき始めていた。
その事を自覚するのが酷く恐ろしかった。
ルドルフが誕生したあの暑い日。
夏が苦手なエリザベートは全身に汗をカンジながら、自分の身体から出てきたオーストリア皇太子の姿をうっすらした目つきで見ようと顔を上げた。
「・・これは可愛らしい男の赤ちゃんだこと・・。皇后様、お喜び下さい。このオーストリア帝国の世継ぎが誕生しました・・。今から皇后様は未来の皇帝のただ一人のお母上です」
「・・私が・・・。お願い、そのこを私の側へ・・・」
「はいはい」
身体をぬるま湯でつけさせて、身体を綺麗にした生まれたばかりのルドルフが女官の手によってエリザベートの前に出された。
「・・う~」
目が閉じられたその赤子はかすかにうねりを上げた。
「!?」
エリザベートは我が目を疑った。
「皇后様・・・?」
突然表情を変えたエリザベートに周りの人間は不思議そうに見つめた。
「・・ちょっと気分が・・・。悪いけど、その子を連れてこの部屋から下がってくれる」
「でも、まだお抱きになっていないじゃないですか」
赤子のルドルフはエリザベートに向かって呼ぶように手を振った。
「いいから、早く!!」
「はっ、はい・・・!」
「・・・・」
間違いない、さっき見た影は・・・。
アレは魔物の影だった。
私の息子は本当に魔物に魅入られてしまった・・・!!
エリザベートは声じゃない声で密やかに泣き叫んだ。
―魔物に魅入られたとしかその子供は洗礼を受けて、先祖になぞってルドルフと名づけられた。
ルドルフが10歳となったある日、祈祷書の中の祈りの一節に大変なショックを受けたとエリザベートの元に報告されたことがある。
「それでなんと言ったの?あの子は」
「・・・ええ、私が慌ててその場はなだめましたが。ルドルフは酷く泣き叫んで・・」
マイヤー神父は気まずそうな表情と声でエリザベートの問いに答えた。
「神様、私は貴方に罰せられても仕方ない人間です。貴方の子と呼ばれるにはもうふさわしくありません!」
「・・ルドルフ様はその後酷く泣かれて」
「そう・・・」
やはり、無意識にも感じているんだろうか。
自分が普通とは違う事を。
3
壁に落書きしていたのをシスターに発見され、ヴォルフリートと共に頭を殴られ、みんなの前でアリスはしかられた。
「貴方は女の子でしょう」
「少しは・・・・」
「いい加減、悪戯やおてんばはおよしなさい」
アリスはしょんぼりとなった。その姿は大変愛らしい。
「はい~っ」
「本当にわかってるの?」
シスターが大声を上げた。
「はい!!」
1867年、バイエルン・シュタインベルク湖畔付近―
この不況の時代、どうしようもない気持ちをごまかす為頬を赤くした中年の客たちは酒や取り止めのない話で盛りあがっていた。
ボ―ッと音を立て、何処からかミルク売りの車の音が鳴り響いた。
「ミルク、ミルクだよ~」
「ちょうだい、ミルク」
「・・うちの子が熱を出して」
次々にミルク売りの男の周りに主婦の奥様方や中年の男性が集まった。
「ええ、これだけ~?」
その量はほんの少しの量しかない。
「もう、入ってこないよ」
こんな会話が毎日のように何処かしら続いていた。
この辺一帯のシンボルであるシュタインベルク湖の付近にある森の入口である人物に向かって一人の緊迫した表情の将校らしき軍服の男の姿があった。
「・・では、どうあっても考えを変えてくれないと?」
その人物の陰はやけに小さく、しかし何処か冷たい威圧感を漂わせていた。
「当たり前です・・・。教会と帝国を引き離すなんて私には陛下と貴方の考えが理解に苦しみます。あなただって神なき国がどうなるかわからないでしょう」
年の頃は30代くらいか、もうちょっと上か・・。
精悍な顔つきしてるが、その男はかなり若く見えた。
「・・侯爵」
「それに私には、貴方が今こうしてここにいらっしゃるのが疑問にしかめます」
「・・何が言いたい」
子供らしく高い声だが、言葉に含まれたモノはひどく冷たい。
僅かな陽光に照らされて現れたのは9才くらいの小さな少年だった。背後に口ひげを生やしたぎらついた目の男の姿があった。
「ゴンドレクールト・・、何故貴方がこんな所に」
「久しぶりだな」
「―王宮を追い出された貴方が何故殿下と・・」
陸軍少将ゴンドレクールト。
つい最近までオーストリアーハンガリー帝国皇太子殿下の教育係だった男である。
「さあ、どうしてかな?」
ゴンドレクールトはニヤリと微笑むと、隠していた銃を侯爵の腹につき立てた。
「何を!?」
「おまえはな、知っては行けない事を知ってしまったんだよ」
ドォォォン!
「・・・・・っ」
耳を引き裂くような銃声が鳴り響いた。
その光景を偶然見たのは、アリスだった。
・・・・人殺しっ。
逃げなきゃ・・・っ。
「ルドルフ様、あちらで物音が」
「いい、この場は僕が何とかする」
アリスは慌てて林の中から草叢を抜けて、逃げ出した。
「姉さん?」
通りがかりのヴォルフリートが不思議そうにアリスを見ていた。
4
今日はミルクが少ないので、薄い味の羊のシチューだった。世話焼きのアーディアディトは一番下の子供達の世話をして、ヴォルフリートは友達と共に楽しい会話に明け暮れていた。
「やめてよ、怪談話は」
「本当にお前、怖い話苦手だな」
「だって~」
「じゃあ、次は古着屋のおかみの話な」
「何、何?」
少年達が次々にヴォルフリートたちの下に集まりだす。
「アーディアディト、ちょっと」
「ハイ、何でしょう、神父様」
神父は周辺の親なしの子供や孤児を集めて、孤児院に似た事をしていたが、経営なんで苦しんでいる事をアリスも知っていた。
呼び出されたアリスは緊張感に包まれていた。
「そこに座りなさい」
「この前の話だけどね、このままの人数で私も子供達を育てて行くのが難しい、知り合いや弟子が必要な職人に話も聞いているが、君たちを引き取る先方が、子供一人ではないとやはり無理だと」
「でも、私はヴォルフリートと痛いんです、ヴォルフリートは私がいないと何も出来ないし、この街には男手が必要で」
「・・・・わかった、後一回、説得してみよう」
「お願いします」
勉強が苦手なヴォルフリートは頭を抱え、神父に笑みを浮かべられていた。アリスはとっくにサボタージュしている。お得意の演技で体調不良を訴えたのだ。
「もう、やだぁ」
「もう少し、がんばりましょう」
「う~っ」
牛小屋にいたヴォルフリートは手伝いを終えると、靴屋の主人と話していた。
「ヴォルフリート、後で遊ぼうぜ」
「うん、わかった」
いじめっ子のエリクとその友人はヴォルフリートの友達だった。
「それじゃ、僕、行きますね」
「ああ、こけないようにね」
「はい」
次の瞬間、ヴォルフリートは何もないところでこけて、泣いた。
「わああああん」
「ヴォルフリート!!」
「げっ、アリス」
アリスはヴォルフリートの元を駆けつけると、エリクたちを睨んだ。
「また、いじめたの!!」
「違うよ、そいつが勝手にこけたんだよ」
「本当?」
「う、うん」
アリスはホッ、と胸をなでおろして、ヴォルフリートを抱きしめた。
「・・・良かった」
「姉さん・・・・」
ヴォルフリートは不思議そうにアリスの顔を見上げていた。
森の中で、アリスとヴォルフリートは二人だけの時間を過ごす。
「行くよ、姉さん」
「うん」
アリスが楽しげに座りながら、両手を頬に当てて、ヴォルフリートが手を上げたのを見ていた。すると、ヴォルフリートの手の中から、温かいオレンジ色の炎が現れる。
コォォォ・・・・
そして、いくつかの小さな炎がまるで人魂のようにヴォルフリートの周りに集まり始める。
「綺麗」
「ウン、じゃあ、今度は生き物のように動かしてみる」
「見せて見せて」
私の弟は、魔法を、神さまから他にはない才能を持っているのだ。
穏やかで温かい、のんびりした時間が流れる。
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