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銀の月の孤城
第13章月が落とした千の雫
閉じた目の上なら憧憬のキス。掌の上なら懇願のキス。腕と首なら欲望のキス。
さてそのほかは、みな狂気の沙汰。
(by グリル・パルツァー)
1
エレオノールとレオンハルトの前にヨハネスが現れた。その下の一階では、ローゼンバルツァー家の親族やローゼンバルツァー家を支援するランクの低い貴族の姿もある。
「皆に、レオン春との後継者として、この家の次の主を紹介しようと思う、アーディアディトだ!!」
おお・・、という声が上がる。
「しかし、ヨハネス公、それならば長男のヴォルフリートか、ヴォルフラムでは?アーディアディト様は女性ですぞ」
「皆が心配するのもわかるが、アーディアディトには既にこの家の事情にも詳しいものを夫に選んである、それは皇帝陛下や皇太子殿下もお認めになったことだ」
「・・・・詳しいもの?」
伯母の一人が、首を傾けた。
アーディアディトは複雑な表情になった。
感情的で自信家、性格は最悪で嫌味なイケメン気取りのゴットフリート・フォン・クラーニヒブラルだった。何より、庶民上がりで異能者を忌み嫌うが、空気は読み、上に媚びるこの男は、まるで虫のように大切なヴォルフリートを扱っていた。
「これは、あの有名な議員の・・・、公爵の末息子か」
公爵といっても宮殿に上がれる昔からの言えというだけで、実際は鐘に苦しんでいて、鐘の為なら何でもする一族だ。そして、アロイスの血縁者である。
耳元でささやかれる。
「行っておくけど、僕から逃げたら、お前の弟はこの家で生きられないんだからな」
「貴方は・・・」
「それに、お前が好きなあのアロイスもな・・・アイツと駆け落ちなんて、許さないからな」
「卑怯な・・・・」
「安心しろよ、形の上ではいいだんなを演じてやるよ、お前は綺麗だけどいけ好かない。家のためだけの子供を作ったら、僕はいレーね野と頃に行くから、お前も好きに愛人でも作ればいいさ」
病室に、アリスが訪れた時、声が出せず、包帯まみれのヴォルフリートは緩やかに微笑んだ。
―姉さん。
心の中のよどみが消えていく。やっぱり、家族が側にいるの、いいなと思った。宮廷からの使いや家からの母からの励ましの手紙よりも、実際に見舞いに、自分の為に来てくれた事が何より嬉しい。
「ヴォルフリート、久し振り、元気にしてた?」
全身火傷、聞き手が酷く損傷して・・・軍人として復帰するには時間がかかると、医者に言われた。・・・・・それと、弟には拷問にあったような証拠が体のいたるところにあるという。
―うんうん、平気だよ、今はこんな怪我だけど、すぐに元気になるよ。
アイコンタクトと口朴でヴォルフリートは伝えた。
「そっか・・、ア、林檎、食べる、持ってきたんだ」
アリスがお付きの女性からバックを受け取り、林檎を取り出した。
―姉さん?
「・・・ヴェスタ、悪いけど、弟と2人にして」
「はい」
―どうしたの?
2
「はい、あーん」
あーっ、とヴォルフリートは口を開いた。
「ヴォルフリート、ごめんなさい・・・・」
―?
「・・・・私、何も知らないで、あの家が貴方をこんなに追い詰めて、戦わせて、帝国のために戦わせて・・・それなのに、私、何も気付かないで」
ヴォルフリートの目が見開く。
―違う、姉さんのせいじゃない。
「ヴォルフリートが跡継ぎだといってたけど、おじいさまの一言でこんな・・・・」
―違う、僕は姉さんが笑顔ならそれでいい、貴方がアロイ巣と結ばれるのを望んでいた。どんなに身を引き裂かれても。
「私は・・・・、貴方の家じゃなくて、お母さんの恋人の子供で、貴方があの家を受け継ぐべきなのに」
―知ってるよ。
「そうなの?」
―でも、僕がローゼンバルツァーに入ったのはただ母さんに会いたい、それだけだよ。姉さんや母さんがいて、・・・父さんたちもいる、それだけでいいんだ、言ったことはないけど。
「ごめんなさい・・・」
「私が安心して、お母さんに甘えて、自分の事ばっかり考えて・・・ヴォルフリートは同じ時間に異能者としてこき使われていつもいい目に合わなくて、苛められて、・・・地獄の中にいたのに」
アリスがヴォルフリートの手を握る。
「どうして?どうして、ヴォルフリートがそんな目に・・・・司祭様まで・・・・酷い事を・・・」
「悔しい、悔しい・・・ユルセナイ」
「・・・私が異変に気付いてたら・・・・・」
「私が守るから、ヴォルフリート」
「貴方はもう私を守らないで、縛られないでよ、・・・ヴォルフリートは、・・・・貴方の幸せのために生きて」
「貴方は異能者じゃない、半分の・・・、守らなければいけないの。私が、帝国の狗になるから、この手だって」
異能者、半分、傷口から膿が出たような気がした。体の傷ではない。
「一人だけ幸せなんて、私、なれないから・・・・ヴォルフリート」
アリスの足が病室の扉に向かう。待って、とヴォルフリートは慌ててベッドから追いかけようとするが、思うように体が動かず、格好悪く体がぐらつき、転げ落ちる。
「自由になって、いいのよ、私があの家をついで、貴方を守るから」
「大好きよ、ヴォルフリート」
ベッドから起き上がろうとするが、起き上がらない。アリスがヴォルフリートの身体を寝かせるようにして治し、目から涙をこぼし、優しく額に触れて去っていった。ヴォルフリートは慌てて去らないように呼び止めようとする。
待って、待ってくれ。
僕は、
「ねえさ・・・ッ」
ドタンッ。
ベッドからずり落ちて、痛みが一瞬でヴォルフリートの身体を支配する。
・・・・違うっ、いやだ、こんなの。違う。ヴォルフリートの頬に涙が静かに流れる。
―もういらないというのか、僕の思いも僕も。
「待って・・・待ってくれ・・・、お願い・・お願いだよ」
最後は泣きじゃくりながら、病室の床を這いずり回る。
―自由に?守るな?
「姉さん・・・置いて行かないで・・・・」
手を空中に伸ばす。
ひっくひっくとヴォルフリートは泣きじゃくる。痛いよ、痛いんだよ、僕。
「いつもみたいに濃いよ、だらしないって、男らしくないって・・・・」
傷が痛いよ、姉さん。
3
「ルドルフ様・・・・」
美女はいつの間にか、ルドルフという至高の存在に溺れかけていた。所有できた、と自惚れた。一つ一つの視線が、仕種や言葉が自分を信じ、愛していると。
「オーストリアはロシアにもドイツにもつかん」
「・・・ナ、何を」
スペシャルなワインを2人で、ベッドを後にした後に、飲もうとしたとき、美女はぎくりとなった。バスローブを身に纏った気品ある、彫刻のような顔立ちの少年がいきなり政治家の、皇太子の顔になったからだ。
―南極大陸、足の先まで凍りつくような、帝王の目だ。
そう、彼は仮にも伝統のある、ハプスブルク家の長男で、いずれはこの巨大な帝国を所有する皇太子なのだ。
「今まで、良く僕を慰め、側にいてくれた。その事は礼を言おう、エルネストもお前のおかげではなれたからな」
まるでそこらのものでもみるような、王者の目。目を合わせる事さえ恐れ多い。
「そんな・・・私を愛しているといってくれたではないですか」
くっ、とシニカルな笑みを浮かべる。
「―馬鹿だな、仕掛けた本人が罠にはまったか。私は最初からお前のような女など愛してはいない、・・・馬車は用意している、いくらでも好きなところに行け」
ガタン。
「お待ち下さい、ルドルフ様、私は」
「一つ教えよう、大きな鷹は下のものに見くびられるのが何よりも腹持ちならないんだ、もてあそばれるのもナ、くれぐれも気をつけることだな」
悪魔じみた美しい笑みを美女に向け、扉を冷酷に閉めた。
「ローザは私が守るからね」
「・・・ありがとう、私の騎士、ヴィクトリア」
燃え上がるような赤い髪に、やや大きい胸に鍛え抜かれながら、細く軽やかで柔らかな少女らしい身体からは、ちと汗とヴィクトリアが好きなオーデトワレが漂い、ドロワーズというふんわりした下着に身を包み、ヴィクトリアはくつろいでいる。ローザリンデはあまりからだが締め付けさせないように適度にフィットさせた、背中に飾り紐がついたコルセットをつけている。
バルコニーからは、両端に置かれたメイドのメイが好きな白い薔薇の濃厚な匂い、爽やかな夜風が漂い、満天の星空が飾られている。
大切な親友で、物心つく前からの幼馴染だった。世界中の誰よりもローザリンデは、姉のようで頼もしい兄のような美しい友人、ヴィクトリアの側が安心できた。
「にゃあ~」
ベッドの中に飼い猫のシャルルがやってきた。黒猫のオスである。
「おいで、シャルル」
「にゃああ~」
シャルルがヴィクトリアの胸に抱きついた。
「よしよし・・・」
天蓋つきのベッドは薔薇の模様が模されたカーテンがかかり、ベッドの下には、ヴィクトリアが愛用していた弓や剣がある。
「ヴィクトリア、今度の宮殿の催しモノ、・・・・后妃様のダンスパーティーに行くの?」
「・・・ええ」
バルカン半島で多く、帝国は揺れている。その嵐は止める気配はなく、そんな次期に旅にでてきたエリザベートが宮殿に帰ってきたというニュースは、シャノンの耳にも入っていた。
「どうしたんだい、わが妻シャノンよ」
みるたびに吐き気が催される。夫となった伯爵の顔は袋で隠されているが、とても醜い。父は、何故、自分にこんな夫を与えたのだろう。それもウィーンの北に位置するこんなはずれた土地に住まわなければいけないなんて。
シャノンの側には、伯爵の友人の軍人、シャノンの恋人の姿がある。家柄だけが自慢の自信家の。
カチッ。
先輩のエドガー・ホルムグレンと同僚のディーター、後輩のデュドネ・ブレーズ、自称ライバルのベルクヴァイン・ドーレスが病室に見舞いに来たとき、ヴォルフリートは軍人のヴォルフリートになり、表情が緊張感に包まれている。スイッチが入った感じだ。ディーターからしたら、一人の体に複数の友人がいるようで、気味悪くて愉快で面白くて仕方ないようで、嫌悪感も抱くという友人だ。
「・・・・・何のようですか?」
「これは挨拶だな、ヴォルフ坊や。せっかく、このウィーンの貴公子エドガー様が着てやったのに」
頭をなで牢とすると、手を叩かれた。目が鋭く尖って、主立ちもプライベートとは大違いだ。
「触らないで下さい、ホルムグレン先輩は匂いがきついんですから」
「ヴォルフは触られるのが嫌いだったな」
お手上げとばかりに手を上げる。
「ヴォルフリート、お前、普段と違いすぎだぞ、演技?悪魔でも取り付いてるのか、お前」
前髪がはねた黒髪のイケメン、長身に青い瞳のディーターは豪快に笑いながら、ヴォルフリートの頭を撫でる。
「俺は俺だ、触るな・・・・俺はお前が嫌いだ・・・」
表情も氷のように張り付き、ほとんどない。声のトーンも厳しく、クールだ。
「お、感情的。・・・・何かあったのか?」
「貴様に関係ない・・・・」
「先輩、あまり興奮しないでくださいよ、・・・ほら、怪我してるんだし」
批評家で普段は嫌味の後輩のデュドネが冷静な口調でなだめようとする。
「・・・・ああ」
「あーっ、差別だ、差別」
ライバルのベルクヴァインがヴォルフリートを指差した。ヴォルフリートが本をベルクヴァインに投げた。
「あたっ!」
「・・・・黙れ、お前の顔見ると、銃で何発か打ち抜きたくなる」
「大丈夫か、ヴォルフリート」
「・・・・アーディあディト姉さんが・・・・」
ヴォルフリートは顔を手で隠した。
4
ドナウ川で、エレクは複雑な気持ちでいた。いや、美しい顔立ちを青くしていた。
・・・・あそこまでやれとは言わない。
「あんたらしくないな、情報屋」
「お前か、エリク」
闇の気配がした。エリクの足元には、漆黒の狗が二匹いた。
「ぷラーター公園で、ローゼンバルツァー家のヨハネス一家を殺すつもりだったんだろ。けれど、あんたは狙撃犯と見張り役を、いつもあんなに周到なのに、確認もせずに金を払い、計画を立て、俺達一家から住や武器を買った。やられたな、フェイクの大金持ちのこ悪党とヴォルフリートを爆薬で殺すはめになったな」
「・・・・俺のミスだ、金はあんたのいいねでちゃんと払うさ、次は・・・」
「失敗するさ、あんたは、ルドルフ皇太子にまんまとはめられたんだ」
「お前こそ、どうなんだ。アーディアディトやヴォルフは、あんたの幼馴染だろう。情にやられて、殺さなかったんじゃないか」
あっはははっ、とエリクは笑う。エレクはぎくり、となった。
「ばっかだな、俺がそんなの、気にするわけないだろう。今更、人を信じるだって?俺が信じるのは金と力、それだけだ」
「貴様・・・」
「何を感情的になっている?アリスに色香でも惑わされたか?なぁ、情報屋」
「・・・・」
「だが、そうだな、こだわるといえば、あの悪魔の一族だな。奴らを殺せなかったのは残念だな、あいつらのせいで多額の金を失ったからな」
エリクはくっくっ、と笑う。
その時、漆黒の馬車が2人の近くを、家の間に止まる。
馬車の中から、貴公子が現れる。
「・・・・バジリスク」
ぞくり、となった。エレクの表情に緊張感が走る。
カチッ
「・・・・・・」
―あれ?
「お?どうした?」
―ああ、そうか。エドガーやディーターと話してたんだっけ。
ゴメン、怪我でうまく伝えられなくて。
「ああ、いつものお前に戻ったのか」
―は?
ヴォルフリートはきょとんとなった。
「いや、いいんだよ。それで、お前さ、デルフィーナやリリーとどこに行く?怪我が治ったら、気晴らしがしたいんだろ」
―君の遊び友達か、この前も三またで撃たれそうになっておいて、反省がない。
「お前、よく口朴でわかるな」
ベルクヴァインが信じられないといった表情でディーターをみる。
「まあ、同じ釜の飯、戦場を共にしたからな」
―ああ、君が良く上官の指示を無視して、敵の部隊に突撃した事か。
「いうなよ、親友」
―親友なら、墓地で置いていかないと思うけど。
「そうだ、オペラ座に行こうぜ、その後、最近出来たって言うダンスバーでどちらが早く標的を撃てるか、対戦だ」
―無視したか。
その時、扉が開いた。
5
シャノンがウィーンに戻り、アルベルトがアーディアディトと密会しているというニュースは、ルドルフの耳にも入っていた。ただでさえバルカン半島や民主化運動、民族の独立を歌う人間が増えていて、なおかつ、純血をうたい、決して庶民との結婚を忌み嫌う上級階級の退廃振りにルドルフは頭を悩ませていた。
早朝近くまで、皇帝との担ぎや皇族と血縁関係である公爵家の晩餐会、一日ではとても終えないほどの公務やボランティア活動、後継者としてのお飾りとしての活動。オーストリア・ハプスブルク家としての帝王学や支配者としての品位、女性との付き合い、軍人としての教育。プライベートなど、ないに等しい。
・・・アルベルトか。
ルドルフにとって、女性は摩訶不思議だ。幼少から、父親や母親の美貌に似てほめられて、期待されて、宮殿に出れる貴族の令嬢や未亡人、貴婦人にも色香を向けられ、理想どおりの男性を求められてきた。
期待通りにしなければ、泣き叫び。本命がいるといっても、自分のほうが綺麗だと、皇太子殿下を愛していると。だから、ルドルフはギブアンドテイク、折り合いが取れる女性としか付き合わない。
親衛隊や将来の皇帝と媒体して憧れる臣下や地位を求める同性とも、処世術として関係を持った。
―妖しい、魔性の美しさをお持ちだ。
そう振舞っているだけなのに。
―あの姉弟は、粗悪品です、ルドルフ様には毒にしかなりませんよ。
親切にそう発言した臣下や女官、媚を売る貴族の令息達がいつか、ルドルフにそういった。
―ですから、必要以上におかかわりになるのはお止めくださいませ。
「あるポーランド女がドナウ川周辺で手ひどく痛めつけられて、街中で死んでいたそうだ」
「ヨハン、お前か」
「お前がやらせたのか」
「何の話だ」
「・・・・お前、ローゼンバルツァー家をどうする気だ」
「僕が、に、三度、ヨハネスに意見した件か」
「―お前、何故、アーディアディトにキスをした?何故、ローゼンバルツァー家を火の中の栗のように扱う?」
「お前はいつも質問ばかりだな」
ルドルフが立ち上がる。
「従兄弟として、お前を皇帝に推すものとしていっているんだ、お前は皇帝陛下の飼い犬を奪うつもりか?」
「父上は何も言わないさ、ローゼンバルツァー家がハプスブルク家の影を支えていると死っても、実態は何も知らないのだからな」
6
ザァァァァ・・・・
殴られた頬ははれ上がり、全身を痛みが襲う。何かが狂ったようにしか思えない。思考がぐちゃぐちゃでいつものように廻らない。視界を捉えたのは、息が耐えた小さな少女。雨が激しくなり、嵐の匂いがした。小柄で卑屈な男の悲鳴が鳴り響き、男は雨の中、去って生き、屈強な体格の大の男が首をひねられた状態で恐ろしい形相で倒れていた。
「哀れだね、君は・・・・」
アウグスティーンが上からのみ下げた、まるでその辺のでくか塵でも見るかのようにみる、人殺しの冷ややかな目でアーディアディトをみていた。
「自分では何も見ようとせず、ただ与えられた情報だけ鵜呑みにして、正義を語る。実に醜悪で滑稽だ」
「あ・・・なたは・・・・」
―だが、アリスには目の前の死神のような男の言葉が信じられない。
「あの夜の彼は実にいい声で私を楽しませてくれたよ。・・・・醜悪で、愚かで、命乞いして、私にねだったよ、どうか私を貴方の下僕にしてくださいと。人間とは実に壊れやすい生き物だね」
吐き気がした。
「・・・・・ぅっ、・・・・・ぇぇ・・・っ」
必死に吐き気を抑える。
何を言っている、何を言っている・・・・。ありえない、ありえない。男が男となんて。ヴォルフリートが、あの弟がこの男に暴力を受けたなんて。
「―彼は、最後の最後までどうか自分はどうなってもいい、アーディアディト姉さん、君似て出す名ばかりいっていたよ、一言も一瞬も友達である皇太子殿下の事は助けろとは言わなかった・・・彼は、君を愛してるんだね」
「姉ではなく、君を一人の女として・・・・・私にひざま付きながら、君をまるで恋人が襲われる男の目で私を殺そうとしたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
同じ雨の中で、ヴォルフリートは怒り狂って、罵声を浴びせるエレクとアンネローゼとの対応に追われていた。
「離せ、その女が、俺の家を、家族を・・・・殺してやるっ」
建物間にいた拘束されたヴィクトリアとルドルフも呆然とその光景を見ている。
「落ち着け、ビーネアイト!!」
「何故、かばう、その女はお前を殺そうとしたのに!!」
ヴォルフリートの目から涙がこぼれていた。
乱暴にヴォルフリートを離し、エレクは攻撃態勢に入り、得意の剣術でアンネローゼに迫る。
「ビーネアイト!!」
ものすごいスピードでエレ区の体は、アンネローゼの鼻先まで迫り、アンネローゼが悲鳴を上げたと同時に剣をアンネローゼの胸に突き刺そうとする!!
どうして、こんな事に・・・っ。
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