第15章ロシアンブルーのあくび


(by シェークスピア)

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テレビの放送では、仮面の男LDと宰相ラインフルト、布を被せられたカインが中継で流されていた。
「・・・は?」



「僕と貴方の結婚式ですよ」
「何を言っている・・・」
「オーブの国民と我が王国の国民を安心させる為と、同盟を強化する為ですよ、カガリ代表」
「お前は好きな女がいると」
「捨てますよ、僕はスカンジナビア王国の皇子ですよ。それならば、優先すべきは僕の事情ではなく、王国の平和と国民の生活や命を守ることです。そのためならば、何かを切り捨てる必要があるなら僕は切り捨てますよ」
「―それに、オーブが世界の裏切り者のコーディネーター女と親交あるなんて、オーブのイメージにも悪い。カガリ様、クラインと双子の弟と手を切ってください。現状では彼らはオーブにとってマイナスにしかならない」


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「お久し振りです、カガリ代表」
燃え上がるような赤い瞳、漆黒の髪。見覚えのアル、感情の激しい少年。その隣には、ルナマリアの姿もあった。


箪笥の中に、古い写真ケースが入っているのにレンは気付いた。何気なく、手に取り、写真ケースを見た。



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「フレイ・アルスター・・・・」
「カガリ様?」
「すまない、娘が何ですか?アルスター?」
ゲイルフルトは不思議そうにカガリを見る。


「ティーア?」
「迎えに来たわよ」
「ええと、誰だっけ、・・・昨日から頭痛が酷くて、記憶が」

リヴはラクスとキラの複雑そうな表情に戸惑いながら、席をはずした。
「キラ・・・」
「彼女とは別人だ」
「でも、キラ、あそこまで似ていて・・・」
「ただの偶然だ、大体年齢が違う」


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オーブの子供達にセレスティアは囲まれている映像がネオミネルバの映像の中にあった。
「お、男が近づいた。いいの、アレン」
「何故、俺が気にする?」
「え、だって・・・」


写真は二枚、あった。一つは母親と同じ格好の姉妹、もう一つは裏に走り書きがされていた。
イスに座った10歳くらいの少女。何かの儀式だろうか、顔には模様がかかれ、金色のイヤリングをして、アイシャドウがされ、白い民族的なドレスに身を包んでいる。
レンが驚いたのは、その少女の写真ではなく、その裏だった。
【レン・ナラ・アスタールへ、虹が降る金色の木の下で、いつも・・・して、お待ちしています。早く来てくださいマシね。親愛なるヴェータより】



「交渉は決裂だ」
「しかし・・・」
会談の様子を、皇族の衣装を着せられているアルヴァーが見ていた。表情は不安そうに揺れている。



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「あの高校生が、星の戦女神・・・あのお方の息子だと?」
「ああ、そうらしいよ」
「オーブで育ったとか・・・。失脚した元帥が親戚に預けていた今の皇帝陛下のお父君、前皇帝とMSパイロットのあの人との隠し子で、新たに継承者として第5位第5皇子を与えられたらしい」
「しかし、前の皇帝陛下・・・あのお方との子にしても年齢が」
「バンクだよ、バンク」
「!」
「皇帝陛下が黙って、隠しだまとして生ませたらしい」



「・・・って、それ、サギじゃないですか。僕が孤児で養子まではわかりますが、誇大妄想がはいりすぎで」
「だが、父上は認められたのだ、叔父上」
「皇女殿下、検査までして、他人だとわかってるのに。・・・調べたら、すぐにばれるじゃないですか?写真の陛下と俺、似てないし」
「そっくりだぞ、アルヴァー叔父上。その顔は英雄のあの女性パイロットに」
「・・・だから、叔父さん扱い止めて下さい。まだ高校生で早すぎますよ」
「ベルツ卿はわらわと同じく、叔父上を押す、将来の皇帝にな」



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「スピカ様、今日はお早いお帰りで」
「ああ・・・先にシャワーだ。誰も近づけるなよ」
「はっ」
カシャン、と仮面を外す。



エリアルはないていた。
自分に振られて。
・・・・馬鹿だな、エリアル。
恋などまやかしなのに。


写真は二つに割れていた。


溶け込む気など、ジェイドにはなかった。テロリズムで両親は死んで、住んでいた村は地図から消された。名前や経歴は奪われ、地球連合の兵士として、ルカ・ハーシェルの為に生きる。平和ボケをして、世界に無関心な奴らと同じように振舞うのは、誇りが許さない。
そんな時に見事な数列を言うアレク・橘・フリューゲルにであった。
「おい、誰だ、アイツは」
「ああ、風紀委員のアレクだよ。アレク・橘・フリューゲル、凄くいい奴なんだ」
その横顔は洗練され、美しい。



カインはフロレンティアとアロイスに体を押さえられていた。
「何か知らないが、モテモテだね、少年」
「私の兄です」
「私のパートナーだ」
逃げ出したと思ったら、・・・何?これ?



「それでどういう関係ナわけ?」
フェリクスとラルクが聞いてきた。
「そんな大勢で聞くことか?」
「どうなんだ?」


「ええ、レンと私、付き合っていましたよ」
「ええっ」
「ですが、マリカ女王陛下は22歳で・・・」
「恋愛に年齢必要かしら、聞いたことはありませんわー」



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「兄様、初めてお会いしますね」
「は?」
「私です、双子の妹のティーアです」


「駄目だよ、フロレンティア、単身で救出に来るなんて。君に何かあったら、サイも心配するだろ」
アロイスに銃口を当てながら、カインはフロレンティ後と共に格納庫に向っていた。
「・・・でも、成功した」
「そりゃあ、フロレンティアは銃撃戦は得意だけどさ」
「カイン・・・」

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殺される。
レンは肌で感じた。
LDの駆る機体でレンはそう感じた。



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「仮面の下、見せてくれませんか?」
隠れていたレンはいつ助けようか、と身を構えていた。
「貴方・・・」
「お兄様ですよね?」

カインハアロイスにデータを渡した。
「それじゃ、契約成立だね」
「カイン、お前は」
「アロイス、危なくなったら僕を呼んで、助けるから」

「レンだね、お前は」
「は?」
「忘れたのか、俺を」

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「私は諦めたつもりはなくてよ」
「は?」
ドレイクガンダムに飛び乗る前に、マリカはレンの胸元を掴んだ。
「え」
マリカがレンにキスをした。レンは驚いたように目を見開かせる。


「何故、あんなことを?」
コクピットの中でフロレンティあがきいた。
「勿論、ミスリル・・・シンやLDの為だよ」

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