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4年前に、一家で穢土を離れることを決断する時に、妻にとっての最大の‘難敵’は、お袋に先立たれた義理の父の面倒をみることより、大好きなコントラクトブリッジができなくなる事だったかも知れない。コントラクトブリッジってな~に?トランプを使うの?コントラクトブリッジについて 世界に於けるカードゲームの普及ぶりは我々日本人にはちょっと想像もつかない程で、特にブリッジは室内ゲームのサッカーと言われるほどに盛んです。英国の文豪サマーセット、モームがブリッジを評して「人間の知恵が現在までに考え出した最も楽しめるかつ最も知的なゲーム」といっています。さて「ブリッジ」といいますと日本人は「セブンブリッジ」を連想しますが、世界の人達が夢中になっているのは「コントラクトブリッジ」のことです。ブリッジは「碁」や「将棋」とおなじ知的ゲームですが、「社交性」という他のゲームにはない特色があって、欧米では友人や隣近所との交際を深めるのに欠かせない程役だっています。 我が国では外交官、海軍士官、商社マン等主として海外生活の経験者の間で戦前から親しまれてきましたが、1953年に日本コントラクトブリッジ連盟(JCBL)が誕生しおおいに普及しました。会員には日本の文化人、著名人が多数名をつらねています。彼女がブリッジを覚えたのは、シンガポールに住んでいた5年間だ。海外の主要都市には日本人クラブという組織があるが、そこのソサエティでブリッジに出会い、嵌っていったのだ。なにしろ、学生時代から、我々野郎衆を相手に、徹夜麻雀に付き合っていた女だから。最初は、くわえ煙草で、「ロン!高め!」と言いながら牌を倒されて友達たちもビビッていたが・・・。シンガポールでは旦那は仕事でニューヨーク市場まで追いかけるから、ほぼ毎夜帰宅は12時近い。仕事じゃなければ、飲み会でやっぱり帰りは遅い。おまけにノーキッドだから、もう遊び放題。ゴルフに嵌るご婦人も多いが、元々怠け者だから、ブリッジと麻雀のテーブルゲームに専心。帰国後は、さっそくブリッジ連盟に登録、先に帰国していた元シンガポール組の仲間をベースに輪を広げていく。四谷、六本木、五反田、大塚とかにブリッジセンターがあったが、なんだかんだで週4~5日通う生活。私に、「いいねぇ、‘なにも’専業主婦は・・・、おまけに‘育児(意気地)無し’だし・・」と皮肉られたのが気に入らなかったのかそのうち、ディレクターといって、まあ雀荘のオバサンのようにゲームに参加せず全体のプレイを仕切るバイトも始めた。これが、時給ベースにすると中々の効率の良さ。その後息子が生まれ、さすがに控えめになるが、幼稚園の年長以降からは、ジワジワと活動開始。公式大会とかにも積極的に参加するようになった。そんな中での穢土からの都落ち。残念ながら当地にはブリッジクラブは存在しない。Yahoo!のオン・ラインゲームで出来ると聞いて、パソコンを購入するも、どうも面白くないらしい。そこで、連盟の人脈も通じて、地元テレビや新聞でブリッジの楽しさを紹介するとともに、興味のある人を募集。そうそう、ちょうどソルトレイクシティ―オリンピックの前だったが、ブリッジが公開競技として行われ、将来冬季オリンピックの正式種目になる可能性を話題にしていた。反応は鈍かったがそれでも10人弱のオバサン達が集合。市の公共施設を使って、週一回ブリッジを楽しんでいる。で、そんな彼女が年に2回、昔組んでいたパートナーと参加する公式大会があり、1泊2日で‘遠征’するのだ。昨年、父親が他界したので今後は機会が増えるかも知れない。ところで、コントラクトブリッジは4人でプレイし、向かい合って座った人同士が味方になり、2人一組で競い合うゲーム。パートナーと向かい合うさまを、‘橋’に見立ててbridgeと呼ぶとの説もある。心臓疾患で身体を動かすスポーツがいっさい出来ない私が、所謂マインドスポーツであるコントラクトブリッジを始めても不思議は無い。でも、妻は妻で、もううんざりするくらい付き合わされている男をパートナーにして、せっかくの自分の至福の時を台無しにするほど、愚かではない(笑)
2005.05.21
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オスカー映画‘おくりびと’のみどころは随所にあるだろうが、一番おいしいシーンは77分からの約3分半だ。何ですか、これは?ふぐの白子炙って塩で喰うとうまいんだ女房だ9年前にな、死なれちまった夫婦ってのはいずれ死に別れるんだが先立たれると辛いきれいにして送り出した俺の第1号だそれ以来この仕事をしているこれだってさう~ん、これだってご遺体だよ生き物は生き物を喰って生きてる、だろ?こいつらは別だけどあ~あ~・・・死ぬ気になれなきゃ喰うしかない喰うんならうまい方がいいうまいだろうまいっすねうまいんだよなぁ、困ったことに本木の台詞は‘何ですか、これは?’と‘うまいっすね’だけで他は全部山崎だ。初めて食す本木の方が断然美味そうな喰い方だ。アツアツのハフハフが実にいい感じ。喰い慣れている山崎の方のチュ~・チュ~はあまり美しくない。本木という俳優は天賦の才に恵まれているというより、自分で努力を惜しまずとことん演技を探究するタイプに思える。この白子焼を喰らうシーンも例外ではない。扇子を片手に美味そうに蕎麦を食べる芸を毎日研鑽して会得した落語家のようだ。ほぼ週に1回は通う馴染みの蕎麦屋の傍に中小の料理屋が食材を求めてやってくる食品専門店がある。偶に寄ってみるが実は2月の末に一度、‘まふぐ’の白子を見つけて焼にして大満足だった。但しそれっきり。忙しく魚を捌いている職人に訊ねると、シーズンも終わりだし、本来はプロ相手にしか売らないと素っ気なかった。仕方がないと諦めていたのに、その後この映画のシーンを観て堪らなく食べたい衝動に駆られた。そして先月、同じ店で‘再会’を果たす。フグ白子としか書かれていなかったが、質すと‘しょうさいふぐ’だった。詳細は不明だが早速購入。ふぐといえば養殖でも構わないから‘とらふぐ’に拘るのがナリポン流。これはその昔浅草の老舗店で同時に食べ比べた時の‘トラウマ’によるものだが、どうやらそれは鍋や刺身、あとは皮に関してかもしれない。白子焼や唐揚げなら‘まふぐ’や‘しょうさいふぐ’でも十分に許容できる。映画の中では、炭火で網焼きをした白子を皿にとって少し冷まして、素手で掴んで口に運んでいる。自称‘猫手’‘犬舌’のナリポンには到底無理な芸当なので箸を使う。その分まさに焼きたての熱々を堪能できる。塩は‘カンホアの塩’というベトナム産の物をつかっている。7年前に或る飲み屋で食べた‘塩むすび’が大いに気に入って、主人を通して出処をつきとめ大量購入した。肉系にはイマイチなので使ってないが米と魚介類には実によく合う。ところで魚介類の世界では雌の方が雄に比べて遥かに価値がある。キャヴィアしかり、鮭しかり、上海蟹しかりだ。鮭の白子は一度札幌で天婦羅をウリにしている店に行ったことがあるが、喰えたシロモノではなかった。雄が頑張っているのは真鱈ぐらいだろうか。この‘おくりびと’の脚本を書いたのは小山薫堂という人で、映画の脚本は初めてだそうだ。かつて、フジTVの‘料理の鉄人’の構成を担当していたとのこと。そのせいか食を活かしたシーンが目立つ。新鮮な鶏一羽を鍋にしようとする絵はかなりグロい。お礼の気持ちが込められているのはいいが、干し柿は全然うまそうじゃない。クリスマスを祝いながらフライド・チキンにしゃぶりつくが食べ方が雑過ぎる。バケットにマグロの刺身とマヨネーズで変則ツナマヨにするが別に惹かれない。ピンク映画で監督デビューした滝田洋二郎がこの‘おくりびと’でオスカーを手にした。映画の評価は色々あるだろう。個人的には食の主役、ふぐ白子焼に‘雄かー’をあげたい・・・(^O^)/実はこの1ヶ月半で5度も白子焼を食べている。100グラム250円と手頃だし、例の素っ気ない職人にはいつまで入るかわからないと、脅されているせいもあるが、要するにその頻度で食べても飽きない魅力があるということだ。オスカー効果で映画の興行収入同様、ふぐ白子焼の需要が伸びているかどうかは定かではないが、もしチャンスがあったら試してみたらいかが?但し、ふぐ調理師のライセンスの関係からか一般スーパーで扱っていることは少ない。
2009.06.23
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ここ最近は自分が心から応援しているスポーツ選手がスカッと活躍するシーンにお目にかかれていない。心から応援できる選手といえば先ずは松井秀喜、宮里藍、浅田真央だ。特に通ぶった拘りがある訳でもなくミーハーと言われればそれまでのメンツと言える。松井と宮里は大人として見ているが、真央ちゃんの場合はどこか可愛い娘を見守るオヤジの要素が混じっている。或いは‘真央CHaaaan!!!’と怒声をあげる追っかけのような感覚もあるかもしれない。とにかく表情を見ていて可愛らしい。シェイプアップされたスタイルの良さにも惹かれる。彼女は‘朝起きて、顔を洗ってご飯を食べて、学校へ行ったけど楽しかったです’みたいな受け答えしかできない。ナリポン的には最悪な筈なのに、真央ちゃんの場合は自分でも驚くほど寛容だ。なんて素直でわかりやすい表現なんだろう・・・(^。^)しかしいくら可愛くてもスポーツ選手としての実力がなければ魅力も限定的だ。実力を発揮していればテコンドーの岡本依子だって許容できるから不思議だ。真央ちゃんの場合は実力も文句なしの世界トップクラス。そうなるとまさに魅力は相乗的に高まる。その真央ちゃんが世界フィギュアのSPで僅差の2位につけたとなると、どうしてもフリーをライブ観戦したくなった。モーグルの上村愛子がワールドカップ5連勝を達成したが、一度もライブ観戦できなかったのが悔しくてならなかった。そもそも‘スポーツはライブ観戦’がnariponismだ・・・(^_^)世界フィギュアのライブ中継はJスポーツ・plusでやっていたが生憎このチャンネルは観られない。それでもネットで観られる方法を突き止めた。主要選手の編集済みの録画放送と違って実際のフルの戦いはかなりの長丁場で相当疲れた。SP1位のコストナーは思いのほか点数を集め、見ていて流石だと思わせたキム・ヨナは意外に伸びずに2位。いよいよ浅田真央の登場だ。フリーではそつのない真央ちゃんなら大丈夫だな・・・(^。^)そんな楽観はいきなり吹っ飛んだ。えっ、何この転倒・・・(-_-;)着地での転倒は見慣れているが、踏切りのタイミングでは初めてだ。ショートトラックでの転倒のように身体ごと氷の上を‘滑走’している。本人は後で‘心臓が止まるかと思った’と言っているが、そもそも弱点だらけの心臓しか持ち合わせてない私は‘凍る’しかなかった。大きくため息をつきながら、自分がここまで苦労してライブ観戦したのが徒になったような気がした。しかし立ち上がって再開した彼女の滑りは素晴らしかった。素人目だが普段よりダイナミズムを感じさせるものだった。転倒で一瞬完全沈黙に陥っていた場内も、その後の演技に活気を取り戻した。うん、これは‘一転び八起き’だな・・・(^。^)相場で言う‘谷深ければ山高し’じゃないが、いきなり奈落の底に落とされた分そこ(底)からの復活劇は見事だった。さあ、そして点数の発表だ。ふたつの点数が明らかになり、正確ではないが暗算で‘いける’と思った瞬間、転倒による減点1が目に飛び込んだ。あ~あ、これで駄目か?いや、セーフだった。なんと得点差は0.88、まさに薄氷をふむが如しでコストナーを差した。引き揚げる真央ちゃんは涙、涙だが、こういう映像にはこっちも‘脆弱’だ。残るは中野だけ、上々の演技で場内の声援も相当大きかったが、彼女の演技の構成上完璧に滑っても点数が伸びないのは私でも経験則で知っていた。案の定、場内の激しいブーイングを呼ぶ得点しか出なかった。ヤッター、真央ちゃんが世界フィギュアを初制覇・・・(^O^)/満面の笑顔で優勝インタヴューを受けている。世界に配信できるワールドクラスの美しい笑顔だ・・・(^。^)そしてあっという間に表彰式。アカペラで現地の人達が歌う‘君が代’が中々聞ける。SMAPの中居の100万倍イイ感じだ。日本語をあれだけ上手に歌いこなせたのは、恐らく真央ちゃんを筆頭に日本勢の優勝を確信して特訓したせいに違いない。もう時刻は朝の6時半を過ぎていた。あれだけ眠かったのに興奮で妙に目が冴えてしまったので、急遽、朝食の前倒しをお願いした。いつもと同じレシピのHLTサンド(ベーコンじゃなくhamね)だったが、機嫌の良さがソースになって、まさに‘飯ウマー’・・・(^。^)
2008.03.21
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