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何でこんなコトが起きてしまったんだろう。
「なぁ~~~!!! 今日は一緒に過ごそうって言ったじゃねえか~~~~!!!!!」
そう言って、駄々をこねる俺じゃない、俺の身体。
「うるっせぇな!!! そんなコト言われても、虚が出てきちまったモンはしょうがねえだろ!!!」
「馬鹿~~~!!! 一護の嘘吐き~~~!!!」
何で、こんなコトが起きているのか。
まずそれから説明しなきゃなんない。そうだろ?
―今から5時間前。 4時25分。 黒崎家。 一護の部屋。
「あ・・・、雪だ・・・・・!」
それは突然、分厚い灰色の雲の層から舞い落ちてきた。
思わず窓を開け、両手で掬ってやるように、優しくそれを手のひらに乗っけた。
「へ~~~~!! コレ、『雪』ってんだ~~。」
「あぁ・・、お前にとっちゃコレ見んの、初めてだっけか・・・。」
いつの間にかコンは、俺の肩に“チョコン”と乗って、空から降ってくるそれを見ていた。
「あ~、消えちまった。」
「え・・・? コレ、消えちゃうものなのか・・・?」
少し哀しそうな瞳で見てくるコンに俺は慌てて言い直した。
「それも知らねえのか。これ、雪っつって、冷てえモンだから融けちまうんだよ。」
「氷みてえなモンだよ。」とつけたすと、アイツは「ふ~ん・・・。」って雪を見つめたまま言って。
まだ、その瞳は哀しそうで。
コイツは、義魂丸に長い間閉じ込められてたから、雪を見たことがないんだ。
それから、殺生が大っ嫌いで、“消える”という言い方がとても怖かったんだろう。
義魂丸に入ってる時に、仲間が消えていくのが怖かったって言ってたし。
「あ~~、そういや・・・・・・・・・、」
コイツの哀しい瞳を見たくないから、とっさに話を変えた。
「ん? 何があるんだよ??」
興味が湧いたようで、こっちを向いて首を傾げてきた。
「今日、クリスマスだっけか・・・・・・。」
「―――くりすます・・・・・・・・・?」
あぁ、クリスマスも知らないのか・・・・・・。
「何なんだよ? その『くりすます』って?」
今度は逆の方向に首を傾げてきた。
「え~っと、その・・・今日は、正式には『クリスマスイブ』つって、サンタクロースっつうオッさんが、良い子にプレゼントをあげに来るんだよ。」
「さんたくろーす? そのオッさん、何時あげに来んだ?」
何も知らないんだな・・・。まぁ、当然だけど。
知らないのはしょうがないけど、こんなに聞かれると、説明するのがホントに面倒になってくる。
「サンタクロースってのは、え~と、赤い帽子と、赤い服着て、白いヒゲ生やしてんの。んで、夜、子供が寝ると、そりに乗ってコッソリプレゼントあげにくんだよ。」
次聞かれると面倒だから、少し分かりやすく説明しといた。
これでどーだ。分かったろ?
「そりって誰が引くんだ??」
しまった。それがあった。
「トナカイが引くの。」
ちょっと落ち込み気味の俺の様子に気づく様子もなく、また「ふ~~ん。」って目を輝かせて言った。そして、一言。
「サンタクロースって何だか、ドロボウみたいだな!」
それを夢見る子供達の前で言ったら、絶対ハッ倒されるぞ。
まぁ、言われてみればそうだけど。
「な~~、『くりすます』って他に何かあんのか?」
多分コイツ、クリスマスを祭と勘違いしてやがる。
「もー、他には何もねえよ。 あ・・・、そういや・・・、」
「何? 他に何かあんのか!?」
また目を輝かせて、俺に聞いてきた。
「行事っつうワケじゃねえけど、恋人たちが夜を過ごす日?みたいな・・・。」
「へ~~~~~!!!」
コイツは、感嘆に似た声をあげた。
「じゃあ、何さ! 『くりすます』ってのは、恋人のための日なのか!?」
違います。夢みる子供達のための日です。
「違えよ! さっき話したろ!!!」
「あ、そっか。」
“キョトン”とした顔で、理解したようにうんうん頷いた。
「―あ・・・! そうだ一護・・・!」
「? 何だよ・・・?」
突然、思い出したように俺に話しかけてきた。
「今日ぐらいはさ・・・、夜、俺と過ごそ・・・・・・?」
イキナリの言葉にちょっとビックリした。
確かにこの頃、虚が夜出てきて、コイツは夜独りっきりの事が多かった。
コイツは俺の身体に入って、俺の部屋で独りっきりで俺の帰りを待っていたんだろう。
コイツは、俺が虚と戦っている間、どれだけ寂しい思いをしていたんだろう。
そう思うと、自然と口から素直な言葉が出てきた。
「・・・・・・・・いいよ。今日は俺も死神の仕事、休むよ。」
ホントは、死神の仕事なんか休んではいけないんだけど、コンの事を思うと、断れなんかしなかった。
「・・・・・・いい・・・のか・・・・・?」
少し戸惑いながら、でも、ものすごく嬉しそうにしてるのが解った。
コイツが何を思っているか、何がしたいか、何を求めているか。
それは、コイツの顔を見れば、すぐに解る。
ぬいぐるみの顔だけど、表情が豊かだから。コイツは。
「あ、そうそう。そういやさ~~~・・・、」
もう1個、何か思い出したようで、又俺に問いかけてきた。
「一護ンとこには、サンタクロースって来んの?」
「来るわけねえじゃん。」
だって、俺は高校生だからオヤジがくれないし。これは口には出さずに心で言った。
「一護は悪い子だからな~~~。」
この言葉にちょっとムカついた。
「ハッ。俺はもう高校生だから、もう貰えないだけだ! 第一、サンタなんか信じちゃいねーよ!」
「え!? 実在してんじゃねえのか!?」
大きくなるわけない瞳が大きくなったように見えるほど、コイツは驚いて叫んだ。
「何で信じてねえんだよ? だから、プレゼント貰えなくなっちゃったんだよ!」
「俺は信じてるし、良い子だから絶対貰えるな!」って、メチャメチャ自信アリ気に言われた。
スンマセン。俺、サンタの正体知ってます。
俺も最初は信じてたけど、おふくろが死んだ9歳の時にサンタの正体がオヤジとおふくろだって知った。
オヤジがドジって、俺の枕元にプレゼント落としちまって、その音で俺が起きちゃって。
その時のオヤジの驚きにも、焦りにも属さないあの顔を今でも覚えてる。
「じゃ、一護はサンタが居なかったとしたら、誰がプレゼントくれると思うんだよ?」
夢、崩れてもいいなら言ってあげても良いよ。
気遣ってんのに、コイツは「早くしろ!!」って急かしてくる。
あぁ、もういいや。そんなに急かすなら、正体を言ってやる。
夢、崩れても俺の所為じゃないかんな。
「いいか・・・? サンタの正体は・・・
「一護っ!!!」
“バンッ”と、勢いよく押入れが開く。
「あっ! ネエさ~~~~ん!!!」
語尾にハートマークが3つくらいつきそうな勢いでルキアに話しかける。
そんなコンに気にも留めずにルキアは俺に話しかけた。
「一護、指令だ! 8時25分前後30分に虚だ!!!」
「そうか! それじゃ、早速死神に・・・、」
“チラッ”とコンの表情を見ると、ものすごく哀しそうな、寂しそうな顔をしてた。
「どうしたのだ? コ・・・「言ったじゃんか!!!」
ルキアの言葉をかき消し、コンは大声で叫んだ。
怒りにも、哀しみにも属さない声で。
「言ったじゃんか!!! 『今日は死神の仕事休む』って!! なぁ、一護ぉ!?」
また・・・・・・、コイツの瞳は哀しそうな瞳になってしまっていた。
ゴメン。本当にゴメン・・・・・・・・。
だけど、我慢してくれ。お願いだから。なぁ・・・、オイ・・・。
そんな瞳で俺を見ないでくれ。
そして、今に至る。
コンは俺を引きとめようと駄々をこね、
ルキアは俺を虚の所へ向かわそうと声をあげ。
そんな中、俺は何も出来ずにただただ、その場に立っているだけだった。
それしか・・・、出来なかった。
「一護! 今日は・・・、今日だけは行かないでくれよぉ!!!」
「我慢をするのだ、コン! 此奴も虚を倒しに行かねばならぬのだ! 倒しに行かねば、誰かが虚の餌食になるやもしれぬのだぞ!?」
「けど、ネエさん!!!」
今にも泣きそうな瞳でアイツは訴えかける。
「虚が出る度に、俺は独りで此処で待たなきゃいけないんだよ! いつも・・、いつも・・・! 俺、いつも独りで寂しい思いしてたんだ!! だから・・・!!!」
とても申し訳なくなって俺はどうする事も出来なかった。
「今日は・・・、今日だけは、皆と一緒に居たいんだよぉ!!!」
胸がズキズキと痛む。
俺が居ない間、コイツは何をしていたんだろう。
誰も居ない部屋で独りっきりで。
何をしていたんだろう。
「そんな事を言っても、しょうがない事はしょうがないのだ!!! 行くぞ、一護!!!」
俺とコンの思いを断ち切るように、ルキアは俺の腕を掴んでいたコンを手を振り解いた。
もう・・・、行くしかなかった。
俺に叫んで、呼びかけるアイツの声に俺は返事も、振り返ることもしなかった。
必死で叫ぶアイツに何も。
*****************************************
「あ奴を・・・・・、置いてって良かったのか?」
虚の所へ向かう途中にルキアが俺に言った。
「お前が行けって言ったんだろーがよ・・・・・・。」
お前が、コンと俺を引き裂いてしまったのだから。
「まぁ、そうだが・・・。貴様が行かねば、誰が虚を倒しに行く? 貴様が行かねば、誰かが虚の餌食に・・・、」
「ハイハイ。解ったよ。さっさと倒しちまおうぜ。」
ルキアの言葉を途中で切った。何回もその科白は聞いたから。
それに、こうやって二人で話すのが辛かった。
こうしてる間にも、アイツは独りで俺を待っているんだろう。
いや、遊子と夏梨とオヤジと一緒にクリスマスケーキ食ってるかもしんねぇな。
俺ン家のクリスマスの掟だから。
アイツは俺を待ってくれてるのだろうか?
************************************************
「・・・・・一護の馬鹿・・・・・・・。」
一護は、俺に振り向かずに、一言も言わずに、背中を向けて窓から去っていった。
一護の背中が、妙に寂しくて。
何か、見てると辛くなってきて。
何か、見てると泪が出そうになってきて。
だからそれを見たくなくて、俺は一護が出てった窓のカーテンを閉めた。
その時、まだ窓から雪が降っているのが見えた。
「お~~~~い、お兄ちゃ~~ん!!! ケーキだよ~~~!!!」
下から一護の妹の声がした。
確か、名前は・・・遊子っていったっけな?
あの子は俺の耳に花つけたから、苦手だ。
「ボスタフ」ってアクレシッブルな名前で呼ぶし。
「いい。今はいらない・・・・・。」
こんな気分じゃケーキなんか食べても、全然美味しく感じなそうだし。
こんな気分でケーキ食べたら、一護の家族に怪しまれそうだし。
何だか自分でもよくわからないけど、自分で閉めたのに、またカーテンを開けた。
まだ降り止みそうにない雪が、真っ暗な中、月に照らされて、とても綺麗だった。
その風景に、何故だか一護の後ろ姿が目に浮かんだ。
また俺は独りで、アイツの帰りを待たなきゃいけないのかな?
独りでいるのは・・・、独りで待つのは、ホントに辛い。
だって、いつも一護が帰ってくるのは、夜遅くだから。
電気をつけたままだと、一護の家族に心配されそうだから、電気を消して、待たなきゃいけないんだ。
真っ暗で、誰もいない、静かで、冷たい部屋で・・・俺は、独りで待たなきゃいけないんだ。
それはいつもの事なんだけど・・・・・・、
それがとても辛かった。
自分で開けたのに、また俺はカーテンを閉めた。
******************************************
「今日は虚を倒すのが早かったな!」
自分が倒したわけでもないのに、満足気なルキアの言葉を無視し、俺は走り出した。
独りで俺の部屋で待ってるアイツの元へ。
「あ、待てっ! 私を置いていく気か、貴様ぁ!?」
「悪ィ、ルキア! 俺、先行くわ!!」
「待て~~~!! 待つのだ、一護~~~!!!」
どんどん小さくなっていくルキアを尻目に走り出す。
早く、アイツの元へ戻りたい。
早く、アイツと話してやりたい。
早く、アイツに触れたい。
もう、アイツに孤独な思いをさせるのは、イヤだ。
一秒でも早く、アイツのところへ行って、独りぼっちじゃなくさせたい。
疲れているのも忘れて、俺はただただひたすら走った。
*************************************************
「アレ・・・・・・?」
道端に何か落っこちてあるのに気づき、俺は思わずそれに近づいた。
それは、くまのぬいぐるみだった。
どうやら棄てられた物らしく、雪の所為でズブ濡れになり、泥もついていた。
そんな小汚いぬいぐるみを、俺はいつの間にか手にとっていた。
「・・・・・・そうだ・・・・・・・・!」
俺の頭の中で、一つ考えが浮かんだ。
******************************************
12月25日、朝。
一護の帰ってくるのが待てなかったようで、俺はどうやら眠っていたらしい。
一護は、いつの間にか一護の身体に戻ってて、
俺は、いつの間にか俺の身体に戻ってた。
頭をゆっくり起こす。
俺が眠ってたところに、泪が水溜りみたいになってた。
何か冷たいなぁと思ったら、これだったんだ。
一護のほうに目をやると、一護もこっちを見てきて、目があった。
だけど、すぐ視線をそらされた。
哀しくなって俯いた。
ふと、見ると隣にぬいぐるみの俺くらいの大きさの袋が置いてあった。
ピンクの紙袋に、真紅のリボンで綺麗にラッピングされてて、よく見ると“Merry Christmas!”って書いてあった。
英語読めないけど、ハナシの流れ的に「めりーくりすます」って書いてあるんだろうな。
「? どうしたんだ、それ・・・?」
一護が紙袋に気づいて、俺に問いかけてきた。
「へっへ~、これはなァ、さんたくろーすが俺にくれたプレゼントだ~!!」
「いいだろ~♪」ってつけたすと、一護はちょっと呆れ顔になった。
そんな事は気にせずに、俺はワクワクしながら、リボンを解き、紙を包みを開けた。
中には、くまのぬいぐるみがあった。
「うわぁ・・・っ・・・!」
俺は思わず驚いて、しばらくの間それに見入っていた。
そのぬいぐるみは俺と同じくらいの大きさで、ちょっと派手なオレンジの色をしてた。
何か、それがとても一護に似てた。
目はちょっと垂れ気味で、よく見れば見るほど一護に似てるような気がして。
何か、今にも口のへの字に曲げて、あごに力入れて、眉間にしわをよせそうな気がした。
「お~~~、くまのぬいぐるみか。良かったな、貰えて。」
くまを大事そうに抱きかかえてるアイツを見て、何か嬉しくなって出た言葉。
自分でも笑みを浮かべてるのが解った。
「一護は悪い子だから貰えなかったんだろ~? 俺はいい子にしてたから貰えたんだもんね!」
子供のようにはしゃぐアイツを見て、俺はクスッと笑った。
「な~~んで、笑ってんだよぉ!?」
子供みたいな顔が、今度は怒り顔になった。
コンの百面相にまた笑ってしまった。
「何がオカシイんだよぉ!? 俺は何もしてねーぞ! 教えろ! 何で笑ったか!」
「いや、別に~~~?」
そっぽを向いて接してみると、今度は拗ねたらしくムスッとして、ぬいぐるみのくまと遊び始めた。
見てると、やっぱりアイツにくまをあげたのが俺だって言えなくなる。
サンタの正体がこの俺だなんて。
「いいな・・・・・・。」
ポツリと俺が呟くと、聞こえたらしくアイツは、こっちに振り向いてきた。
「何がだ?」
「あっ、俺だけプレゼント貰えたからか?」と自信満々に言われた。
「違えよ・・・・・・。」
「ちぇ、何だ違うのか・・・・・・。」
ハズレだったのが気に喰わなかったらしく、またムスッと脹れだした。
「じゃあ、何がいいんだよ~~~?」
「いや・・・、信じてみるのもいいかなって・・・。」
「じゃあ、俺アタリだったんじゃん!」
「違くねえじゃん、一護! 俺、アタリだったじゃねえか!」とプレゼントを貰えた時と同じくらいはしゃぎだした。
アタリっつーか、ハズレっつーか、アタリじゃないけど、ハズレとはちょっと違うんだよな。
サンタとか、ドラキュラとか、人面犬とか。
今まで見た事ないから、信じてなかった。
というか、サンタは正体知ってたし。
けど、アイツを見てると信じてみてもいいなって思った。
だって、サンタとかドラキュラとか人面犬とかは、信じなきゃ存在しないって事が解ったから。
よくよく考えてみると、“サンタが夜にプレゼントを届けてくれる”というのは、元は誰が考え出したのだろう?
誰が、“サンタがいる”なんか言い出したのだろう?
それは、サンタがいると信じている人だ。
その人が“サンタがいる”なんて言わなければ、この世に『サンタ』なんてものの存在はないんだ。
そんな気がした。だって、そうだろ?
アイツを見て、そう思った。
ふと、信じてみるのもいいと思った・・・――
●あとがき●
クリスマスイチコン小説です!
初めてイチコン小説書いたんで、ちょっと頑張りました!
少し自分でも意味不明な文があるのも、初めてのイチコン小説なので頑張りすぎたためです(オイ
何というか、同じことを何度も繰り返しすぎですね;(オイ
「しつけえよ!」って言いたくなる位。
スイマセン、シツコイくせにこんな出来で。
お粗末さまでした!!!
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