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2008年09月07日
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テーマ: お勧めの本(8158)
 タニス・リーの小説「ヴェヌスの秘録」シリーズの第3巻です。
 このお話は、墓職人バルトロメが、名門スコルピア家の葬儀で、スコルピア家とバルバロン家の確執を知ったことにはじまります。
そのあとすぐに、スコルピア家の令嬢メラルダと画工ロレンツォのラブストーリーに入るので、とっつきやすい話です。

 でも単純な恋愛話ではなく、彼らが主役というわけでもありません。彼らの悲恋がもとで次世代の物語が展開していくのですが、だからといって、親たちの悲恋が美化されてもいません。苦労知らずの令嬢と、けっこう身勝手なところのある男。もしも駆け落ちに成功していれば、いずれ壊れただろうというカップルです。
 彼らの息子シルヴィオとバルバロン家の令嬢ベアトリクサの恋愛にしても、単純ではありません。読み進むうちに、どんどん複雑で難解になっていく話です。それだけに、読みごたえがありました。

 3巻は2巻以上に宗教色の強い話ですね。「魂とは?」とか、「亡霊と魂の関係は?」なんてのが、この物語の重要要素になってますし。でも、既成の宗教とはちょっと違います。キリスト教のようでいて、そうではなさそうな宗教観がいろいろ出てきます。
 この物語での「魂」の設定、ユニークでした。キリスト教にこういう発想があるのかどうかはわかりません。
 そうそう。3巻は2巻より時代があと。物語としては独立していますが、2巻の話が変形して伝わっていたり、2巻に登場したアイテムが出てきたりするので、2巻を先に読んだほうがいいかも。幻想的な異世界(天国?)とか天使とか、2巻にも3巻にも登場しますから、たぶんこのシリーズ共通の設定として、大きな意味があるんじゃないかと思いますしね。

キャラクターとしては、メラルダの侍女ユーニケには苦笑してしまいましたね。

 いるよな、こういう女。ユーニケの場合とは社会制度などの違いがあっても、相手の性別や立場の強弱によってがらっと態度を変える女ってのは、現代でもたしかにいる。うちの職場にもいるし。
 って、まあ、こういうのは女に限りませんが。こういう性格の人って、女性より男性のほうがより強烈な気もしますが。


土の褥に眠る者





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最終更新日  2008年09月07日 12時07分45秒
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