出産直前

* 出産直前 *
あれは、6月2日だったか。
妊娠も臨月に入ると健診が毎週になる。その日、とうとうむくみもひどく、血圧も上が150、下が97くらいになった。
「妊娠中毒症やね。胎盤の機能が気になるなぁ。ちょっと弱くなってきてるね。赤ちゃんはもう外に出した方がいいと思う。だけど、血圧が高いから、君の場合、麻酔は外部から麻酔専門の先生を呼んで血圧を制御しながらやる事になるよ」
・・・はぁ。しかしこの段階でもまだ、帝王切開の可能性が非常に高い、という位で帝王切開で出産決定、とは言われない。とにかく、3日後にまた受診して、というので受診する事になった。
その頃の私の足はむくみが殆どとれず、先生に「アフリカゾウの足みたい」と言われ続けていた。
余談だが、私には生理不順で通院歴があり(高プロラクチン血症と何度か診断されている)、先生も覚えている。おまけに母も妹も、ここで婦人科系の手術をしている。だから診察はいつもこんなくだけた感じで、それでなんとも思わなかった。男性医師だが、私は女性医師は嫌だったので、丁度良かったし。
6月4日に、大きなお腹で、車で京都・二条城観光に夫とでかける。
そして、6月5日に、指定通り受診。
むくみ、高血圧、蛋白(わずかだったけど・・・)のフルコース揃ってしまった。先生が超音波をお腹の上からあてる。胎盤がところどころ白っぽい。
「いかんな、これは。 胎盤がセキカしてきてる で。ほら、この白っぽい部分、これがそうやがな」
セキカ・・・石化かい?? はぁ?? ・・・ 私の頭の中は真っ白っけけ。
「もう帝王切開でいいね?」と念押しされる。はい、もう帝王切開でいいですぅぅ。
「そうしたら、手術は明日の夜8時からするから。入院の準備して朝10時ころ来て受付に言うてちょうだい。あと、できたら旦那さんも一緒がいいんやけど。説明したいし」
あ、あしたーー?! そういや診察室にいく通路のボードの明日の所に、私の名前と時間と書いてた。もう帝王切開は決まってたのねぇ・・・。
それにしても、胎盤がセキカって・・・。
母の友人が一人、8ヶ月で死産だったんだけど、赤ちゃんがお腹の中でセキカしてたって聞いた気がする・・。
「あのぉー、先生。もしかして今晩か明日朝に陣痛来たら自然分娩でいけますか?」
「この子宮口の固さやと、無理やね」
こうして突然の帝王切開術による出産が決定し、息子の誕生日が決まったのだった。


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