160 kmで事故った場合。



 いつも行ってるメンバー3人でスノボーをしに岐阜に向っていた。前日から降ってた雪と、その日の晴れ具合から、すごいいい雪で滑れそう...3人のテンションは、自然と舞い上がり気味だった。

 乗ってたのは、三菱、LEGNUM。スノボとか遊ぶのに最適のワゴンで、まだ、新車1年たったかたってないかぐらいだったと思う。エンジンの調子も最高で、ガンガンスピードを上げて、朝焼けの高速をぶっ飛ばしていた。ちなみに、その日は、運転してた人の30歳の誕生日...いい1日になりそうな予感満開で、160、70kmで快調に走ってた。

 そして、後30分クライで着くかなぁ...ってとこで事件は、起った。高速のトンネル前で、2車線から1車線へ道が狭まるところ...前にいたトラックをムリに追い抜こうとしたのが悪かった。なんとか追い抜けたものの、1車線へと狭まる部分で、中央分離帯に乗り上げ気味になり、ハンドルをとられる...ちなみに、その時の時速160km...そこで逆車線へ突っ込むのを避ける為、思いっきり、ハンドルを逆にきったまではヨカッタが、そこでスリップ...完全にハンドル操作が効かなくなった車は、160kmのまま、壁側に激突...

 さすがに、死んだと思った。すごいスリップしてるトコを鮮明に覚えてる。うぉ、カベ来た、カベ...死ぬぅ~~~..といった感じで、激突までの数秒は、すごい、スローモーションで世界が動いていた。僕は後部座席に乗っていたんだが、必死で飛ばされない様に、助手席の”頭置きの接続部分の2本の棒(?)”を両手で握りしめた。

 ドッガァ-ン...ガァーーーー....ザザザァーーーーーって感じだったんだろうか?すごい衝撃があり、気付いたら、車の内部は粉まみれで、前はエアーバッグで視野が塞がっている。ちょっと、額から、血が出てる様だが、体は五体満足で、どうも生きてる様だ...と、自分の状態を確認した。前の2人を呼んでみると、返事が返って来た...なんとか、皆、生きてる模様。

 その後すぐ、外に出て、車から離れた。大きな事故直後には、事故車は、ガソリンに引火しての爆発の可能性がある為、なるべく、そこから離れなければならない。

 そして、車の外に出て、様子を見ると...エライ事になってた。30メートルウシロの壁には、激突した黒いカタが残ってて、そこから、原型を留めてない程ボコボコの車までの地面には、スリップの黒い跡...エンジンは車からふっ飛んで、対向車線にまで投げ出されていた。

 ...そりゃ、160kmでぶつかってんからなぁ。

 その後、交通警備隊が来て、救急車が来て、まず、病院に。その後、高速の交通警備隊基地みたいなトコに連れて行かれ、調書をとられた。でも、運転してなかった俺は、どっちかというと、被害者的な同情をされ、警察のオヤジと、俺が行ってた大学の話題で盛り上がったりして終った。運転してた人も、他の車をまきこんでない単独事故で、あまりにも車の状態がグチャグチャになってた為、同情はされても、そんなに警官に絞られる事は無かった様だ。

 確かに、車の状態を見れば、全員死んでてもおかしくない事故だったしね。

 怪我に関してだが、ここでも、俺の悪運の強さは、いかんなく発揮された。シートベルトをしてた前の2人は、助手席でアグラをかいてた1人が靭帯損傷で全治3~4ヶ月、運転してたもう1人が腕の骨と肋骨がどうにかなって(正確に覚えてない。)、2ヶ月クライの怪我。

 しかし、シートベルトは勿論、エアーバッグも無かった後部座席の俺は、ちょっとオデコをすりむいただけで、翌日からバイトに行っていた...必死にアノ棒を掴んでたのがヨカッタんだろなぁ...。いつか、ここで使ってしまった運で泣く事が来そうで怖い。

 そこから、京都に帰って来る時は、恥ずかしかったなぁ。警察が高速にあるバス停まで乗せてってくれて、そっからJR岐阜駅まで行って電車で帰って来たんだが...3人そろって、皆、顔にバンソウコウしてるし、松葉杖ついてる奴いるし、腕を包帯でグルグル巻きにしてる奴いるし...大概の人は、ニヤニヤしながら、興味深げに観察してきた。これは、仕方が無い...俺も客観的に見たら、こんなグループに街で出会ったら、何があったか想像をめぐらし、ニヤケテまうもん...

 俺は、後日大学病院で、頭の精密検査をして、何も無い事を確認し、それで治療終了。保険、2、3ヶ月後くらいかなぁ...何に金がかかったかって事を書いて保険会社に提出し、無事おりた...もちろん、その運転手の人の保険ね。靭帯いわしたヤツは、移動のタクシー代とか通院費などでかなりの保険がおりた模様...まぁ、でも4ヶ月自由に動けへんのやし、それぐらいは当り前やけど。

 運転してた人は、新しい車を手に入れたという話は、聞かない...まだ、事故った車のローンも残ってるらしい...保険がいくらおりたかは、とても聞けなかった...

三十路を大変な1日で迎えてしまった彼も、もうじき、31歳のバースデイ...

今年は、いい誕生日になる事を祈ってますよ!!

○田さん!!!

教訓:*トンネル近くの運転は気を付けましょう。

   *保険は、しっかり入っときましょう。

   *事故車からは、なるべく離れときましょう。

   *車の力を過信しないで、マイペースでいきましょう。

   *事故る瞬間は、何かを、掴め。

   *誕生日だから、いい事ばかりあるとは、限らない。



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