序章★初めての対面





++++ 序章★初めての対面 ++++

エキセントリック

以前うちの旦那が自分の姉を表現するときに使った言葉だ。

その時は自分の家族を奇人呼ばわりするなんてちょっとひどいんじゃないの? なんて会話を交わしたような気がするが今ならその言葉の意味が
少しだけわかるような気がする。

彼のお母さんとお姉さん、そして妹の3人。
私たちが結婚してから初の対面を成田空港で果たした。

一通り挨拶を終えた後
「日本で何か見たいものはある?」
と聞いた私の質問にエキセントリックお姉さんの答えは

「鳥が見たい」だった・・・

望遠鏡に双眼鏡、バードウオッチングの本を何冊も持参した
彼女は筋金入りのバードウオッチャーらしい。

鳥・・・・・
予想していなかった答えにどこへ連れて行けばよいのかちょっと戸惑ったが、
リサーチの結果明治神宮が日本のバードウオッチャーには
有名な場所ということ。
お姉さん以外の家族も日本の伝統的な神社も観光できるし
ということで日本初日は明治神宮に行くことにした。
大きな鳥居に無邪気に感動するお母さん。
彼のお母さんはとてもピュアな天使のような人だ。

うちの旦那の一歩間違えばその辺の本当の子供より
子供のような無垢さはきっとお母さん譲りなんだろう。
一方妹はシャイで静か。
でも冷静に皆の行動をジーっと見ているタイプ。
21才の割にはちょっと冷めているようにも見える。
大きな鳥居をくぐると東京のど真ん中とは思えない自然が
ぶわーーーっと広がる。
明治神宮のあの静かな空気が大好き。
鳥オタクのお姉さんは早速双眼鏡を覗いて鳥を見つけては
鳥の本でその種類を調べている。
ものすごく真剣な表情だ。
へぇ、東京の真ん中にもこんなにきれいな小鳥がいるんだ。
今まで東京の鳥にこんなに注意を払ったことはなかったな。
最初のうちは
「あそこの枝にも小鳥が止まっているよー」
なんて5人できゃっきゃと会話をしていた。




そう、最初のうちは・・・・・



うちの旦那いわくお姉さんは周りの空気がまったく読めない人らしい。

3歩歩いては立ち止まって双眼鏡を覗き本で調べる。
双眼鏡をじーっと覗いている時間約5分。
本を見る時間約3分。
そしてまた進む→双眼鏡→本(以下繰り返し)
神社にたどり着くまで約3時間(涙)
明治神宮の敷地を出るまでの時間約4時間。
ちょっと薄着をしてきてしまった私は寒くて寒くて凍えそうだった。
旦那は日本語で
「もう鳥は嫌だよ、飽きた」
と私に訴えてくる。

あんたの家族でしょ!!あんたが何とかしなさいよ、
私は初対面なんだから・・・・
・・・が彼もほかの家族も黙ってお姉さんの後をついていく。
仕方がないので私が

「東京で一番ファッショナブルな原宿で
        お昼ごはんを食べましょうよ」
と食べもので釣って公園を後にすることにした。

彼女は後ろを振り返っては名残惜しそうに双眼鏡を覗いているが、
私は有無を言わさない勢いで後ろを振り向かずにずんずんと歩いた。

やっぱり私がここでもはっきりと物を言う悪者になるのか。
うちの旦那といるといっつもそうだ!
お昼ご飯を食べた後は自然のないところに行かなきゃ!
と自然が大好きな私たち夫婦は話し合って
六本木ヒルズの展望タワーに行くことにした。
なんと、そのヒルズの最上階で火事を発見。
煙がもくもくと出ている場所があり「煙突にしては大きいねー」
なんて話していたら鳥姉さんがさっと双眼鏡を取り出した。
覗いてみたらなんと煙の下で火がボウボウと燃えていた。
「ほらね!バードウオッチャーも結構役に立つでしょ♪
                明日はどこに鳥を見に行く?」

先が思いやられそうだ・・・・・



Next


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: