三文風信

三文風信

2010.05.07
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郷土の作家、新美南吉の作品だ。

好きなんだな、このお話。
きつねと人間との駆け引き。
真実が幸せを呼ぶ、でも、人の愚かさを見抜いた南吉らしい作品だ。

子ども向けでありながら、大人になった今でも悩みながら読んでいる。
彼は人の何に怯えていたのか、人のどんなところに惹かれ、忌み嫌ったのか。

彼が生まれ育った愛知県半田市で、狐が捕獲された。
昭和40年代を最後に、ごんぎつねは姿を消していた。
長い年月を経て、何処から来たのか、姿を見せずに長らく子孫を残してきたのか。
詳しくは知らないけれど自然回帰の昨今、時を図って姿を表したようだと感じたのは私だけかしらん?

南吉の人生は短かった。
でも、人に対しての思いはひと一倍持っていたと思う。
学生時代、彼の生家や出身校を訪ね歩いたことがある。
どこか物悲しい童話を書く彼の感性は、どんな場所で培われたのかこの目で見たかった。
そこには、私が住んでいるところと変わらない、程よく田舎の似たような風景だった。
ただ、時代が違うけれどね。
嬉しいような、淋しいような。

数年後、南吉生誕100年を迎える。
その祝福のために、狐は現れたか。
現代の不条理を警告するために、姿を見せたか。

後者のような気がする。
思いやりや優しさが失われている現代。

ごん、お前だったのか。

そんなことにならないように、願いたい。









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最終更新日  2010.05.07 21:08:36コメント(0) | コメントを書く


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