小遣い3万円サラリーマンのブログ

2018.03.14
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カテゴリ: 暮らし
五反田の病院で会った叔父はわたしが想像していたよりずっと元気だった。

叔父は、私の父が死んだと聞いた時、自宅でしたたかに酔ってから父に会いにきた。

私の父の亡骸を見るなり、私たちに「なんで…なんで病院で死んで帰ってきたんだ!」と怒鳴った。そんな叔父のことが私は嫌いではなかった。


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山手線の五反田駅を降りるとわたしは1人だった。夢を見ているような錯覚。
だがすぐに覚めた。
信号が変わり車は動き出したし、次の電車がホームに着いて山手線からも人が降りてきた。

父と幼いわたしは誰もいないひっそりとした日曜日のオフィス街を歩くのが好きだった。

灰色の静かなビル街を探検する親子。



しばらく私の母と容体について話をしていた叔父は、テレビのリモコンを手にした。



年下にも関わらず私の父を義兄として接し、アニキ、アニキとよく呼んでいたことを思い出した。私の父をアニキと呼ぶのはこの叔父と叔母だけだった。

「ではおいとまします」
母が腰をあげるとわたしもそれに倣った。

椅子から立ち上がると叔父の薄くなった髪が目に入った。感慨もなく、髪が薄くなったな、とだけ思った。

母と別れたあと、わたしは五反田のホームでリュックを下ろし、しばらく待った。

だが今度は街の中でわたしが1人になることはないし、夢を見ることもなかった。

父は死んで2年経ったし、叔父は今度退院して、妹はこんど結婚する。来月はわたしも挨拶に行かねばならない。母と妻の病気も良く、わたしの体調は良く分からない。

「ではおいとまします」
母の言葉がよみがえった。
良い言葉だなと思った。


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最終更新日  2018.03.14 16:41:39
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