ねこっぽ雑記

ねこっぽ雑記

2003年11月17日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 今日は歌舞伎座夜の部を観劇しました。本当は母と一緒に行くはずだったのですが当日になってドタキャンされてしまったので急遽友人と行くことに。ところが歌舞伎座に行くまでの間この友人と下らない話で大盛り上がりしてしまい、いざ歌舞伎座に着いた時は2人とも随分体力を消耗してしまっていました。情けない…(泣)。

盛綱と高綱という兄弟が敵味方になって戦っているのですが、でも決して兄弟同士でいがみ合っているわけではない。それどころか兄の盛綱は智謀に優れた弟が存分な働きをすることを願っています。ところが弟を思う兄の取る行動が凄い。自分の下で捕虜となっている小四郎(高綱の子)を案じるあまり弟に迷いが生じていることを察した盛綱は、弟の迷いを払うために小四郎を切腹させようとするんです。なんか…さすがにこれは理解に苦しみました。兄が弟を思いやる心はわかるけど、その結果しようとしていることがあまりに惨くて。展開する世界が度を越えているなぁ…と半ば茫然としてしまいました。あとは「家族を思うあまり惨いことをする」という点で、ふと「妹背山婦女庭訓」の「吉野川」を思い出しました。
 盛綱は吉右衛門さん。高綱の首が偽首だと分かってから小四郎の真意を知るまでの無言のうちの芝居が目を見張りました。小四郎の母・篝火は雀右衛門さん。声を低くし、ハラハラする気持ちを台詞の言い方で表現していた(@出の場面)ので、どこか現代劇的な印象を受けました。
 2幕目は「女伊達」と「うかれ坊主」。踊るのは菊五郎さんです。実は私は菊五郎さんが女形をつとめられているのを生で見るのは今回が初めてでした(弁天小僧などは見ているけれど、あれは実は男、ですし。)。どんな感じなのかなと期待しながら見たのですが、う~ん…私の中で菊五郎さん=立役というイメージが出来上がっていたせいかどうも違和感が…。「うかれ坊主」の方が普通に見ていられました。私は踊りのことはよく分かりませんが、なんとなく「うかれ坊主」という踊りは難しい踊りの部類に入るんじゃないかな、という気がしました。
 最後は「心中天網島」の「河庄」。コテコテの上方歌舞伎です。この間の国際浮世絵学会の時、富十郎さんが「今、上方歌舞伎をできるのは鴈治郎さんしかいません」と仰っていたのを思い出し、いつも以上に鴈治郎さんに注意して見ました。
 鴈治郎さんの治兵衛を見て思うのは、上方歌舞伎の評としてありきたりだけど「やわらかい」ということ。それもただのやわらかさではないのです。「~さん」ではなく「~はん」という台詞が非常に似合うやわらかさ。う~ん…あのやわらかさをどう表現したらいいんだろう。今『能楽への招待』(梅若猶彦著・岩波書店)という本を読んでいて、その中に「私たちが比喩から期待するのは、言葉ではあらわせないものを言葉であらわそうということ」という言葉を見つけて妙に納得したのですが、私は今のところ鴈治郎さんの芸風のやわらかさを表現するいいたとえを見つけることができません。とりあえず「綿のような」なんていう安易なものではないことは確かです。
 あと上方歌舞伎の面白いところは深刻な場面の中に平気で笑いの要素を持ち込んでくること。上方歌舞伎を見るといつも「漫才のご先祖さまだなぁ…」と思わずにはいられないような場面に出くわします。今回は鴈治郎さんと富十郎さんがコンビを組んでいました。ちなみに治兵衛の相手役、小春は時蔵さん。演技が比較的写実的な印象を受けました。それだけに耐える小春の苦しみ・悲しみがより浮かび上がったように思います。

 というわけで11月の観劇はこれにて終了。いよいよあとは12月を残すだけとなりました。あと2回観劇すれば今年の歌舞伎座はパーフェクト。頑張るぞー。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2003年11月18日 21時10分15秒
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: