ねこっぽ雑記

ねこっぽ雑記

2004年01月13日
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今年最初の歌舞伎座観劇。年の始めということで、歌舞伎座も紅白の繭玉などが場内いっぱいに飾られ、より華やいだ雰囲気でした。紅白といえば、今月の実演販売は紅白のお餅が入った鯛焼きだったのですが、あれっておいしいのかなぁ?どなたか召し上がったという方、ぜひ感想をお聞かせください。

 松緑さんの忠信は、まず隈取りがなんだか印刷であるかのような印象を受けました。色がやけにはっきりしていてぼかしが少なく、勢いが感じられなかったからかもしれません。松緑さんってこんな感じの化粧をしていることが多いように思います。
 あとふと感じたのは「鳥居前」の忠信と「吉野山」の忠信の違い。今回の「鳥居前」でも新春浅草歌舞伎の「吉野山」でも忠信は逸見藤太に向かって「星満々たりといへども月の光に勝つことあたはず。ならば手柄に搦めてみよええ。」という台詞を言うのですが、「鳥居前」は荒事で「吉野山」は舞踊なので、同じ人物の同じ台詞でも言い方が全然違う。似たような振りの立廻りをしても気迫や与える印象が異なっている。それが今さらながら非常に面白く感じられました。
 また友右衛門さんが義経、萬次郎さんが静というのは珍しい配役ですが、それだけにお二人ともより丁寧に演じておられるように感じました。
 2つ目の演目は「高坏」(たかつき)。主人に高坏を買って来るように言われたものの高坏がどんなものか知らない次郎冠者は高足売りにだまされて高足を買ってしまい…という話。いかにも狂言にありそうな話なので当然松羽目物かと思ったら全くの創作だそう。松羽目物の形式を土台にしながらより融通を利かせて自由に創作しているので、本来の松羽目物より親しみやすい作品に仕上がっていました。配役は次郎冠者が勘九郎さん、高足売りが新之助さん、大名某が弥十郎さん、太郎冠者が亀蔵さん。
 次郎冠者の勘九郎さんはまさに適役でした。おどけっぷりがひたすらかわいくて、客席からもこれでもかというほど拍手が起こりました。
 ところでこの「高坏」という演目の見せ場は次郎冠者が高足を履いてタップダンス並みのステップを踏むところなのですが、この場面の勘九郎さんを見ていたら「観客を楽しませ、なおかつ自らも楽しげに見せながら、高度なことをこなす大変さ」というものを感じました。
 高足売りの新之助さんは…次郎冠者を騙していく、その騙しっぷりが、いい意味で(?)いやらしかったです(笑)。弥十郎さんは高足を買ってきた次郎冠者を叱りつけながらも、最終的には次郎冠者と一緒にステップを踏んでしまう大名某を好演。弥十郎さんに合った役だったと思います。

 特筆すべきはやはり玉三郎さんの戸無瀬。戸無瀬という人間の一貫した心の流れがこちらに伝わってくる、そんな演技でした。たった一場面なのだけれど、それを見ることで戸無瀬という人がどんな人間かがわかってしまえるように思いました。
 玉三郎戸無瀬で一番印象深かったのは、加古川の家や小浪に強い誇りや自信・意地を持っていること。だからお石にひどいことを言われたとき目の色を変えて気色ばみ、小浪を責め立てるように「他の家に嫁ぐ気はないか」と聞きます。
どうしてこれがこんなに印象に残ったかというと、ここの部分が前回観た山科閑居の場で戸無瀬を演じられた鴈治郎さんと全く違っていたからです。鴈治郎さんの戸無瀬はここまで厳しくなかったように記憶しています。玉三郎さんの戸無瀬の方が数段極限状態にあるような感じがする。私は玉三郎さん戸無瀬の方が好きです。あの戸無瀬はもう一度観ておきたい気がします。
 小浪役は今回の菊之助さんより前回鴈治郎さんの時に小浪を演じた亀治郎さんのほうが心に訴えるものがありました。亀治郎さんの小浪がかなり強烈だったので、菊之助さんの小浪は可もなく不可もなく、といった印象に止まってしまいました。
 4つ目、最後の演目は「芝浜革財布」。これは幕見席から観劇しました。この後大学で教授と約束をしていたため幕の途中で席を立たなければならなかったのですが、私の席は列のうちのちょうど中央で右からも左からも抜けるのが大変だったので、「いっそのこと幕見席に行っちゃえ!」となったわけです。幕見席はかなり久々で、オペラグラスを使っても役者さんが小さく見える眺めが懐かしかったです。
 さて感想ですが、もうただただ楽しんでいたので感想というほどの感想もないというのが正直なところ。「菊五郎さんは政五郎役が似合っているな」とか「おたつ(=魁春さん。政五郎の女房)は本当にしっかりものだな」とかそんなことを考えつつ立見していました。それにしても「財布を拾ったのは夢で散財したのは本当」なんて…実際そうなったら気が狂いそうだろうな(泣)。

 そんなこんなで途中まで(とはいっても実際はほぼ最後まで)「芝浜革財布」を観てそこから大急ぎで大学へ。中世の教授から長い間借りていたファイルを返しに行きました。前もってアポを取っておいたのですが、それでも「怒られたらどうしよう…」と不安は募るばかり。ところがいざ行ってみたら殊のほかご機嫌で一安心。無事ファイルを返すことができました。
 ちなみに教授からは「新春歌舞伎はもう観に行ったの?」と聞かれたんですよ。「今行ってきたところです。」と答えたら「あ、そうなの!?」と笑っていらっしゃいました。





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最終更新日  2004年01月14日 20時25分37秒
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