ねこっぽ雑記

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2004年01月16日
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(17日記述)


 さて歌舞伎座寿初春大歌舞伎夜の部。演目は「鎌倉三代記」「京鹿子娘二人道成寺」「十六夜清心」です。特に「京鹿子娘二人道成寺」は人気の女形舞踊「京鹿子娘道成寺」を二人で踊るというもので、しかも踊るのが玉三郎さん・菊之助さんと美しいお二人なので、客席はいつにも増して活気付いていました。
 それでは感想を。まず「鎌倉三代記―絹川村閑居の場―」。歌舞伎座寿初春大歌舞伎のチラシからあらすじを紹介すると

【源頼家に仕える三浦之助は敗色濃い戦いのさなか、母の長門が重病と聞き、絹川村の我が家へ駆けつける。そこには三浦之助に恋する敵方北条時政の娘、時姫が訪れ、かいがいしく長門の看病をしていた。時姫は喜ぶが、長門は我が子を叱責して遭おうとしない。時姫も、時政の使者藤三郎が迎えに来ても帰ろうとせず、三浦之助に、そんなに自分と夫婦になりたければ、時政を討てと命じられると、迷った末に決意を固める。するとさきほどの藤三郎が、ガラリと姿を変え、実は佐々木高綱であることを明かして現れる。すべては、時姫に時政を討たせるための計略だったのである。】

というもの。時姫は雀右衛門さん、三浦之助は菊五郎さん、佐々木高綱は幸四郎さん、長門は田之助さん。
 雀右衛門さんの時姫は、いつものことながらその若さに驚かされました(雀右衛門さんは83歳)。動き方を見れば娘の役であることが分かるんです。たとえお姫様の衣装を着ていなくてもあの動きなら娘だと分かります。どこかうきうきしているようで、「可愛いな」と思わせてしまう、そんな動きをする時姫でした。ただいくら恋人のためとはいえ親を殺すというのは私には考えられないなぁ…。もちろん今と江戸時代では考え方も違うのだろうけど、随分考えてしまいました。
 あと興味深かったのは時姫というキャラクター。お姫様なのに自ら恋人のお母さんの看病をしていて、出の場面はお姫様の格好にたすきがけ+姉さんかぶりといういでたちなんですよ(笑)。お姫様の格好か女房らしい格好のどちらかにすればいいのに両方をミックスさせてしまっている。歌舞伎って面白いなぁと思いました。
 2つ目は「京鹿子娘二人道成寺」。夫婦になることを誓った安珍という僧に裏切られ嫉妬のあまり大蛇となった清姫が、道成寺の鐘に巻き付き、鐘の中に隠れた安珍を鐘ごと焼き殺した…という道成寺伝説のその後のお話。



というもの。ただ暗い雰囲気はなく、非常に華やかな踊りです。本来は白拍子は一人しか出てこないのですが、今回は「京鹿子娘二人道成寺」ということで白拍子が二人になります。「清姫が二人も追いかけてきてたまるか!」という気もしますが(笑)まぁ趣向ということで。玉三郎さんと菊之助さんという美しい白拍子が揃いました。ちなみに私は去年の1月に玉三郎さんの道成寺を拝見しているのですが、これが夢のように素晴らしいものだったのです。それだけに今回の「京鹿子娘二人道成寺」は期待半分、不安半分といった感じでした。
 それで感想なのですが……正直に言いますと、見ていて非常に苦しかったです。玉三郎さんと菊之助さんではあまりに技量が違いすぎる(菊之助さんファンの方がいらしたらごめんなさい)。しかも2人で同じ振りを踊ることが多いので、差がはっきりと分かってしまいます。菊之助さんももし一人で踊るのならこんなに気になることはなかったはずなのですが、玉三郎さんと並ぶと見劣りしてしまいました。つくづく「同じ衣装に同じ振りって残酷なことだな」と感じました。玉三郎さんは玉三郎さん、菊之助さんは菊之助さんで踊った方がいいと思います。その方がお互いの世界を作っていけると思いますし。
 玉三郎さんですが、やはり素晴らしかったです。扇の扱い方一つをとっても夢のように美しい。夢、あるいは余韻のような、心地よくてつかみどころのない踊り。身体の動きも「ここしかない」というような一番美しく見える軌跡を自然に辿っていく。そして動きも心も非常にドラマチック。私は踊りを見ながら「この玉三郎さんの踊りを言葉でどう表現したらいいんだろう」とずっと考えていました。でもどうしても「これだ!」という言葉は出てこなかったのですが。いろんなことを考えているうちに幕は閉まってしまいました。残念ながら去年の「京鹿子娘道成寺」のように素晴らしい踊りに酔うことはできなかったなぁ。もちろん酔っている部分もあるんですが、菊之助さんと玉三郎さんの差が苦しいほどに感じられてかなり考え込んでしまったんです。そうしたらだんだん頭痛が襲ってきまして、次の「十六夜清心」は苦しい中での観劇となってしまいました。結局この頭痛は寝るまで引きずることになるのですが……。
 というわけで3つめは「十六夜清心」。

【極楽寺の所化清心は扇屋の遊女十六夜と馴染み、女犯の罪で寺を追われる。二人は心中を決意し、稲瀬川に飛び込むが、十六夜は俳諧師の白蓮に助けられてその愛人となり、清心は泳ぎが得意のために死にきれず、せめて十六夜と弔いをしようと、通りかかった小姓の恋塚求女の金を奪い、殺してしまう。その場で死のうとする清心だが、「この犯罪を知っているのはお月さまと自分だけ…」と考えを翻し、悪の世界へと足を踏み入れていく。】

という話。十六夜は時蔵さん、清心は新之助さん、恋塚求女は梅枝(時蔵さんの長男)さん。
 具合の悪い中見たのであまりまともな感想も言えないのですが、まず清心の新之助さんは…美しかったわぁ…。ただあまりに美しすぎて言う台詞言う台詞が嘘っぽく聞こえるんです(笑)。「これから寺に入って出家得度するつもり」と言われても「…絶対嘘だよ」と言いたくなってしまう。こんな風に思わせる役者さんというのもすごいと思います。海老蔵襲名披露の助六が今から楽しみです。
 そして求女の梅枝さん。具合の悪い中あえて「十六夜清心」を見ようと思ったのは実は梅枝さん目当てだったのですが(梅枝さんの舞台を観るのは初めてだったのだ)、やはり役者の家の人ってすごいなと思いました。梅枝さんは確かまだ高校生なのですが、芝居はともかくとして台詞はきちんと歌えている。こんなことを言うと申し訳ないけど、やはりある程度の年になってから歌舞伎を始めた人では身に付けられないものを持っている。それをつくづく感じました。

 というわけで今日はこの辺で。長い文章にお付き合いくださってどうもありがとうございました。





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最終更新日  2004年01月18日 14時53分44秒
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