ねこっぽ雑記

ねこっぽ雑記

2005年11月17日
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 「児雷也豪傑譚話(じらいやごうけつものがたり)」@新橋演舞場を観劇してきました。この世を魔界に変えようと企む蛇の化身・大蛇丸(松緑)と、彼の野望を打ち砕こうとする義賊の児雷也(菊之助)・綱手(亀治郎)の物語。大蛇(松緑)・蝦蟇(児雷也)・蛞蝓(綱手)の妖術や宙乗りなど、スペクタクル色の濃い作品に仕上がっていました。
様々なアイデアが盛り込まれていて、観劇しながら「うーん…いろいろ考えて頑張ったんだなぁ」としみじみ。ただしたくさんのアイデアを盛り込んだ結果、統一感に欠けてしまったのも事実ではないかと。「バラエティに富んでいるのがこの作品の売りです!」と言われればそれまでなのですが、もう少しまとまりを意識してもいいのではないかと感じました。
 また、全体として話の筋が通っているし、イヤホンガイドがあるのが不思議なくらい台詞の意味も分かりやすいのですが、この分かりやすさに逆に違和感を覚えました。台詞の内容も現代の感覚に沿うように配慮されているように感じたのですが、でも視覚的には古典っぽかったりして。古典歌舞伎ではなく、かと言ってスーパー歌舞伎ほど割り切ってもいないし、その点ではなんだか中途半端という気がします。
 今回一番印象的だったのは児雷也の菊之助さんでした。なんといっても格好いい。特に宙乗りのために蝦蟇の中から抜け出た瞬間が信じられないくらい格好良かったです。出てきた瞬間、その格好よさに観ているこちらが「ズキューン!!」と撃たれた、という感じ。
 格好いいといえば、たとえば海老蔵さんも本当に格好いいですが、もし蝦蟇の中から海老蔵さんが出てきても、「ズキューン!」という感覚はないと思うのです。菊之助さんだからこそ、なのだと思います。
 また、二幕では千両箱を奪った児雷也が、奪われた鹿六一家を「馬鹿め!」と嘲笑って六方で引っ込むという場面があるのですが、この引っ込みのときの菊之助さんがまた印象的でした。優しさと色気の中に凛々しさが見える、という感じ。凛々しい人物に優しさや色気が漂うということはあっても、優しさと色気の中に凛々しさが見える役者というのはなかなかいないと思うのです。優しさと色気の強い分「馬鹿め!」と嘲笑う豪快さには欠けるけれど、でも一方で菊之助さんだからこその魅力がある。今回の観劇ではこの菊之助さんならではの魅力というものについていろいろと考えさせられました。児雷也という役は、全ての場面においてではないにせよ、菊之助さんの魅力と相俟って最高の輝きを放ったのだと思います。
 そして思ったのは、菊之助さんが演じることによって生かされる役、菊之助さんに演じられる時を待っている役がきっとたくさんあるんだろうな、ということ。菊之助さんとそれらの役との出会いを願わずにはいられませんでした。
 さて綱手役の亀治郎さん。今回も観客をのせるべく計算・コントロールした、キレのある演技を見せていました。それにしても亀治郎さんって「浮世風呂」でもなめくじ役でしたよね(しかも塩をかけられて退散)。なめくじに縁があるんですかね…?あとは最後に地獄谷で長刀(?)を持って戦う場面は、スーパー歌舞伎「新三国志2」の安仁、あるいは「新三国志3」の馬潤(いずれも亀治郎さんが演じた役)にしか見えなかったです。ちょっと懐かしくなってしまいました。
 大蛇丸は松緑さん。確か御園座公演の時に黒目の部分が小さくなるコンタクトを入れていたので、今回もそれが観られるのかなと思ったのですが…普通でした。演技はいかにも松緑さん、というもの。正直言って大蛇丸にしてはスケールが小さいように思います。

 本当はもっと書きたいことがあるのですが、これ以上長くなるのも気が引けるので今回はこの辺で。





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最終更新日  2005年11月18日 00時23分48秒
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