ねこっぽ雑記

ねこっぽ雑記

2006年09月25日
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文楽の人形遣い、吉田玉男さんが亡くなられたそうです。87歳。
80歳を越えても現役だった立役遣い(男性の人形を遣う人)は玉男さんだけという話を耳にしたことがあるのですが(間違っていたら大変失礼しました)、私が文楽を見るようになったのはまさに玉男さんが80歳を過ぎてから。
何年かだけだったけれど、玉男さんの舞台を見ることができて本当に良かったと思っています。

玉男さんの舞台で一番印象に残っているのは、「曾根崎心中」の徳兵衛。
最後の心中の場面で、徳兵衛が遊女お初を手にかけようとしながら「此の年月いとしかはいと締めて寝し。肌に刃が当てられふか」と嘆く場面。
はじめからどこかにためらいがあるのではなくて、最初は本気でお初を殺そうとしたのに、瞬間的にお初への思いが湧きあがって刀を持った手を振り下ろせなくなってしまう。
そんな動きが忘れられません。

忘れられない光景がもう一つ。
そのとき私はいつもより早く劇場へ向かったのですが、偶然楽屋へ向かう玉男さんをお見かけしたのです。

この人が舞台の上では何十センチもある舞台下駄を履いて(三人一組で一つの人形を遣う文楽では、一番低い位置で人形を遣う足遣いの負担を軽くするために、一番高い位置で遣う主遣いが高い下駄を履く)、十何キロもある人形を遣っているのかと驚いてしまいました。
その日も舞台の上の玉男さんはシャキっとしておられました。

玉男さんが亡くなられたことを惜しむ気持ちももちろんですが、それ以上に玉男さんがこれまで舞台に立ちつづけてくださったことへの感謝の方が強いかもしれません。
玉男さんのご冥福を心からお祈りいたします。





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最終更新日  2006年09月25日 15時57分20秒
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