りらっくママの日々

りらっくママの日々

2009年10月17日
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カテゴリ: ある女の話:ユナ
今日の日記




「ある女の話:アヤカ60」



二日酔いのせいか食欲が無くて、ココアを作って飲んだ。
ココアが胃に重い。

今朝はコレだけでいいか…。

一人だとどうにもダラけてしまう。

テレビを観るけど、ニュースが頭に入って来ない。
画像がただ流れて行く。

あ~、コレじゃマズいな。

顔を洗って、化粧水と乳液をつけた。

本当に迎えに来るんだろうか?

来たら行く?
どうする?

頭は二日酔いも手伝って、そればかりをグルグル考える。
だけど、体が動こうとしない。

現実なのは、確かなんだ。
迎えに来るのか、連絡が来るのか、
わからないだけ。

一応、ジーパンとカットソー系のロンTを着た。
昨日ほどオシャレすべきか迷う。
でも、連絡が来なかったらバカみたいだし。

もうお昼なんだな。
洗濯を済ませて、食器を洗っていたら電話が鳴った。
ドキッとする。

「はい。」

「俺です。」

思っていた通り赤木くんだった。
心臓がドキドキし始めた。

「うん…。」

「来ますか?」

胸がキュンと鳴った。

彼の声を聞くと気持ちが引き戻される。

会いたい。
やっぱり会いたい。

どうしよう…
ここで断ったら、もう次が無いのはわかってる。
断るべきなんだってことは、わかってる。

「今どこ?」

「タカダさんちの脇の道。」

ホントに来てくれたんだ…。

家を出れば、すぐそこに赤木くんがいる。

やっぱり自分の気持ちから逃げたく無いと思った。

「もう少し先、駅と反対方向にコンビニがあるの。
わかる?」

「うん。」

「そこで待っててもらっていい?
あと30分かかってもいい?」

「うん。」

電話を切ってから、
急いで化粧を済ませた。
アクセサリーをつけて、
鏡を見て、
バッグを持って、
上着を着た。

決めた。
行く。

今日一日。
今日一日だけ。

何もかも忘れて赤木くんといっしょにいたい。
逃げたら後悔する。
絶対後悔する。

ううん、そうじゃない。

行ったって後悔する。
自分がすることが悪いことだってわかってる。
どっちにしたって後悔する。

もう気持ちを止められない。

会いたい。

赤木くんに会いたい。

走ってコンビニに着くと、店内に赤木くんがいなかった。
帰っちゃったのかもしれない…。

溜息をついて、
ガムを買って、
店を出る。

携帯に電話しようか迷ってると、
駐車場の車の中に赤木くんがいるのが見えた。

自分の中で、
ジンワリ嬉しい気持ちとホッとした気持ちが広がった。

こっちに気付かないので、窓を叩いた。

ふーん、ずいぶん余裕じゃない?

赤木くんが気付いて窓を開ける。

「車だったんだね。中入っていい?」

赤木くんが頷いたので、助手席に乗った。
シートベルトをすると、
何だか緊張した。

今日の赤木くんもTシャツにジーンズだ。
ラフな格好が似合ってる。
まだ若いんだな…って、すごく思った。

いつもと違う彼を見て、
何だか知らない男の人の車に乗っちゃったみたいで、
ドキドキする。

赤木くんが無言で、車を出した。
何を話していいんだか、
胸が詰まって言葉が浮かばない。

赤木くんも何も話そうとしないし。

緊張した空気の中、
すごくリズムがいい曲がかかっていた。
こういうノリ好き。

伸びのある声。
どこかで聴いたことがあるような…
CMでかかってた?
誰の曲だろう?

「これ誰の曲?」

赤木くんが我に返った感じでアタフタしだした。

「ごめん、他のにして!わかる?」

慌てた様子で手を動かして、ボタンを押すと、
テープが出てきて曲が止まってラジオに変わった。

「え?何?何?気になる~!
いいじゃん、聴かせてよ!」

赤木くんが運転してるのをいいことに、
私はテープを押し込んだ。
また曲がかかる。

赤木くんを見ると、真っ赤になってた。

あ!

「これ、誰?
ねえ、もしかして…」

「俺…。
聴いたことなかったから聴いてた。
ライブの時のテープ。
MDに落とさなきゃなって思ってたんだけど、
車の中入れてて忘れてたんだ。
もういいだろ?」

やっぱり!
スゴイ。上手い。

そっか、それで夢中で聴いてたのね。

もっと聴きたいのに、
赤木くんはサッとEJECTボタンを押してテープを出してしまう。
私はその様子が可笑しくて、
もっと聴きたいので、またテープを入れる。

「ううん。上手だよ。
オリジナルなの?聴いてていい?」

「事故るから。
やめよーよ。
オレ、マジ死ぬ…。」

面白い人~。
ホントに照れてるのが何だかカワイイ。

ライブやってるんでしょ?
人に聴かせるんだったら、こんなに照れること無いのに。
あ、でも知り合いに聴かせるの慣れないって、
恥ずかしいってメールで言ってたっけ。

「ふーん。残念。
わかった。じゃあ、適当に何か…ね。
ねえ、
でもこれ聴きたいなぁ。
借りてもいい?」

「行くまでに返してくれる?」

「うん。」

「じゃあ、持ってっていいよ。」

「ありがと~。」

ダメって言われても借りるつもりだったけど。

私は赤木くんの気が変わらないうちに、
テープを出してバッグにしまった。

赤木くんが力が抜けたように息を吐いたのがわかった。

こんなに照れるくせに、
かけてたの忘れる位、緊張してたってこと?
彼も私と同じ?
そう思うと、なんだか私も気が抜けた。

「音楽の好みって、その人が出るよね~。」

私はダッシュボードに置いてあった、
赤木くんのテープを見てみた。

テープなんて懐かしい。
車も新しいものじゃないみたいだし、
古い物を大切にする人なのかな…
私の心を見透かしたのか、赤木くんが言う。

「CDも聴けるけど?」

「う~ん、最近あまり音楽聴かないからな…。」

私は滅多に見れることが無い赤木くんの字を見ながら、
コレは昔好きで聴いてたぞ、って思ったテープを入れた。

「後で、赤木くんの好きな曲入れて~。」

お、コレは懐かしい。
自分が好きな曲を赤木くんも聴いてたなんて、
ちょっと嬉しかった。

「今日は今日で雰囲気が違うんだね。」

赤木くんがポツリと言う。
あ、こんな感じ嫌いだったかな。
ラフ過ぎた?

「よく眠れなくて…。
ウトウトしたと思って、起きたら昼前だったの。
慌てて支度しちゃったから。
ごめんね、変?」

ホントは起きてたけど…。
赤木くんのこと考えてて、
ボーっとしてたら、時間が経ってただけなんだけど。

「ううん、そういうのも似合ってる。
そういうカッコ、好きだよ。」

赤木くんが思ってもなかったことを言い出したので、
嬉しくなった。
もう、上手だなぁ~。
ふーん、こんな格好も好きなんだ?
ふーん。
そっかぁ~。

好き?好きねぇ~。

「え?何?もう一回言って?」

「だから、そういう格好も好きだって…」

ふふ。
やったぁ~。

「何が面白いの~?」

「ううん、赤木くんに”好きだよ”って言わせたかったの。」

赤木くんが耳まで真っ赤になったのがわかった。

昔マノくんが私に使った手だけど、
その気持ちがわかった。
好きな人に好きって言わせると気分いい。

「ほんっとうに嫌なヤツだね、タカダさんは。」

「そうだよ。嫌いになった?」

「いや、好きだけど…。」

また言った~!
きゃー、嬉しい!
つい顔が笑ってしまう。
くっくっく。

信号が赤になった。

赤木くんがいきなり手を握ってきた。

「こうされるのは好き?」

目をジッと見てくる。

「え…」

胸がキュンと鳴った。

ヤダヤダ、反則!
赤木くんてどうしてこう反則ワザ使うの?

自分も顔が赤くなるのがわかって、
恥ずかしくて目を背けた。

「…うん。」

私の方は好きって言わなかったけど、
信号が青になっても、赤木くんは手を握ったままだった。

ダメ。
こういうの弱い。
手を握られてるだけでドキドキしてきた。
頭の中が真っ白になってしまう。

「どこ行く?飯食った?」

言われてみれば、ココアしか飲んでない。
あれ?
そう言えば、赤木くん、
今日ずっとタメ語じゃない?

だからかな、今日は気安い感じ。
私服ってこともあるかもしれないけど。
すごく身近に感じる。

「ううん、まだ。赤木くんは?」

「オレもまだ…。
ハラ減らなくて…。
ファミレスでも入る?」

「うん、私もなんだけど、そうしようか。」

何だかすっかり赤木くんのペースだな。

今日は何だか年上って言うか、同じ歳って言うか、
すっかり主導権握られてる感じ。
これが普段の赤木くんなんだ?

私は可笑しくなってつい笑ってしまった。

「今度は何がおかしいの~?」

「だって、さっきから変だな~って思ってたら、
赤木くん、いきなりタメ語なんだもの。」

「じゃあ、いつも通りに直しましょうか?」

「もういいよ~。」

二人で笑った。

手のぬくもりが伝わってくる。

やっぱり好き。

今日会えて良かったと思った。





続きはまた明日

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最終更新日  2009年10月17日 17時00分20秒
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