ナ チ ュ ー ル

ナ チ ュ ー ル

チタン酸ストロンチウム


科学技術振興機構報 第373号


酸化物であるチタン酸ストロンチウムを使って高い効率を示す熱電変換材料の開発に世界で初めて成功しました。

このチタン酸ストロンチウムという酸化物の中に、高濃度の電子を溜め込んだ超極薄シートを挟み込むことによって巨大な熱起電力注5(温度差1℃あたり約800マイクロボルト)を発生することができました。

研究で得られた結果を以下に示します。

地球上における埋蔵量が少なく、猛毒で、耐熱性が低い、ビスマス、アンチモン、鉛、テルルなどの重金属を使用した熱電変換材料に替わって、耐熱性が高く、毒性がない、「ありふれた酸化物」であるチタン酸ストロンチウムを使った熱電変換材料の開発に世界で初めて成功しました。

熱起電力を高めるための方法として、精密な超極薄の製膜技術を駆使して、ニオブ添加により電子を生成させた厚さ0.4ナノメートルのチタン酸ストロンチウム超極薄シート(二次元電子ガス)を作製し、これを厚さ3.6ナノメートルの絶縁体のチタン酸ストロンチウムで上下に挟んだサンドイッチ構造にすることによって挟まれた超極薄シート内に電子を溜めることに成功しました。

上述の挟まれた超極薄シートに電子が溜まっていることを、各種の電気的測定、最新鋭の走査型透過電子顕微鏡によって明らかにしました。また、超極薄製膜技術により作製した、二酸化チタン薄膜/チタン酸ストロンチウム結晶の界面にも約0.3ナノメートルの電子が溜まった層ができることをC-V測定によって明らかにしました。

この超極薄シートの熱起電力は、電子を生成させたバルクのチタン酸ストロンチウムの約5倍に上昇し、変換性能は、従来の重金属に対して約2倍を達成しました。



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