ナ チ ュ ー ル

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メタン結合角 と 混成軌道


●メタン結合角

メタンCH4 正四面体型分子(tetrahedral molecule)の結合角(bond angle)の計算

この正四面体分子の構造は、中心原子を立方体の中央に起き、これと結合する4個の原子を立方体の頂点に交互に並べる。
立方体の1辺の長さをaとすると、頂点にある任意の一対の原子間の距離は立方体の各面の対角線の長さとなり、√2a となる。

結合角θb=2θ  tan θ= (√2a / 2) / (a / 2) = √2をとくと、
アークtan √2  でラジアンを求める。

少し解りにくいので説明すると。

すなわちH-C-Hからなる三角形の底辺√2a 高さa/2である二等辺三角形を考えることになる。この二等辺三角形のC部分の角度が、結合角(θb)である。

従って、tanθ= (√2a / 2) / (a / 2) = √2 となる。

このメタンの結合角をエクセルで関数計算するには、

θ= atan(√2)   =atan(sqrt(2)) で、ラジアンを求め、θに変換する。
= θ/ PI()*180 で 54.7356 となり、この2倍角は、

109.4712゜ となり、結合角が求められる。

このメタンの立体構造の最初の革新的理論は、ファント・ホッフによって打ち立てられた。
1874年にファント・ホッフは『現在の化学において用いられている構造式を空間的に拡大する試みについて』の論文で四面体説を発表した。すなわち炭素原子を正四面体の中心に置いたとき4本の結合は正四面体の4個の頂点の方向に向く立体構造になるというものである。化学者たちは、平面化学から、このファント・ホッフの立体化学の思考によりやっと今日の立体化学をいしづえを築き始めたとも言える。

この立体構造であるという仮説を後に証明したのは、日本人化学者 仁田勇博士である。

そして、大澤映二博士が、美しきフラーレン C60(切頭二十面体)、立体構造分子を予言したのは、1970年とファント・ホッフの論文より約100年後である。さらに、1985年のフラーレン発見、そして1990年のフラーレン合成報告により、炭素化学の歴史的転換とも言える発見により今日のナノカーボンの時代に突入している。 





炭素の基底状態の電子配置は[He] 2s(2) 2p(2) である。

● sp3混成軌道

メタンの4本のC-H共有結合について考えると、炭素の4個の原子価電子はエネルギーの低い順に2s軌道に2個、2px,2py,2pz軌道に2個収容されている[ 2s(2) 2px(1) 2py(1) 2pz(0) ]。共有結合の電子は炭素原子、水素原子から1個ずつ供給されるから、炭素が4本の結合をつくるには、1電子のみがはいった軌道が4個必要である。ところが、2s軌道は2個の電子がはいっていて、水素の電子を受け入れる余地がない。
もし2px,2py,2pz軌道の、あいている軌道に2s電子が1個移動すれば、[ 2s(1) 2px(1) 2py(1) 2pz(1) ] となって、4本の共有結合を形成できる。
ただし、球形の2s軌道とそれぞれ直角に交差した3個のx軸y軸z軸の2p軌道がそれぞれ共有結合を形成すると、できた4本の結合電子同士が近接して反発する。
そこで、s電子1個とp電子3個が再配列して新たに4個の等価な軌道を形成する。これをsp3混成軌道という。

s p d 混成軌道 
s軌道と p軌道の2つの軌道によって実現される混成軌道は,
直線 (2価,sp混成),
正三角形(3価,sp2混成),
正四面体(4価,sp3混成)の3種類しかないが,

これに d軌道が加わることによって,
正方形 (4価, sp2d混成)
三方両錘(5価, sp3d混成)
四角錘 (5価, sp2d2混成)
正八面体(6価, sp3d2混成)など多様な混成軌道が存在する。

プラトンの正多面体のまとめ
多面体 *面の辺数 *辺の間の角 *面の間の角
正4面体 ****3 ****60° ****70°33′
正6面体 ****4 ****90° ****90°
正8面体 ****3 ****60° ****109°28′
正12面体 ***5 ****108° ****116°34′
正20面体 ***3 ****60° ****138°11′

メタン CH4 の各原子をデカルト座標表示すると
炭素を(0,0,0)とすると各水素は、(1,1,1) (-1,1,-1) (-1,-1,1) (1,-1,-1)
となる。


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