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・住民の被曝と恐ろしい差別
日本の原発は今までは放射能を一切出していませ んと、何十年もウソをついてきた。でもそういうウ ソがつけなくなったのです。 原発にある高い排気塔からは、放射能が出ていま す。出ているんではなくて、出しているんですが、 二四時間放射能を出していますから、その周辺に住 んでいる人たちは、一日中、放射能をあびて被曝し ているのです。
ある女性から手紙が来ました。二三歳です。便箋 に涙の跡がにじんでいました。「東京で就職して恋愛し、結婚が決まって、結納も交わしました。とこ ろが突然相手から婚約を解消されてしまったのです。相手の人は、君には何にも悪い所はない、自分も一 緒になりたいと思っている。でも、親たちか、あ なたが福井県の敦賀で十数年間育っている。原発の周辺では白血病の子どもが生まれる確率が高いとい う。白血病の孫の顔はふびんで見たくない。だから 結婚するのはやめてくれ、といわれたからと。私が何か悪いことしましたか」と書いてありました。こ の娘さんに何の罪がありますか。こういう話が方々 で起きています。
この話は原発現地の話ではない、東京で起きた話 なんですよ、東京で。皆さんは、原発で働いていた男性と自分の娘とか、この女性のように、原発の近 くで育った娘さんと自分の息子とかの結婚を心から 喜べますか。若い人も、そういう人と恋愛するかも知れないですから、まったく人ごとではないんです。
こういう差別の話は、言えば差別になる。でも言わなければ分からないことなんです。原発に反対し ている人も、原発は事故や故障が怖いだけではない、こういうことが起きるから原発はいやなんだと言っ て欲しいと思います。原発は事故だけではなしに、 人の心まで壊しているのですから。
私、子ども生んでも大丈夫ですか。たとえ電気がなくなってもいいから、私は原発はいやだ。
最後に、私自身が大変ショックを受けた話ですが、 北海道の泊原発の隣の共和町で、教職員組合主催の講演をしていた時のお話をします。どこへ行っても、 必ずこのお話はしています。あとの話は全部忘れてくださっても結構ですが、この話だけはぜひ覚えて おいてください。その講演会は夜の集まりでしたが、父母と教職員 が半々くらいで、およそ三百人くらいの人が来てい ました。その中には中学生や高校生もいました。原 発は今の大人の問題ではない、私たち子どもの問題 だからと聞きに来ていたのです。
話が一通り終わったので、私が質問はありません かというと、中学二年の女の子が泣きながら手を挙 げて、こういうことを言いました。
「今夜この会場に集まっている大人たちは、大ウ ソつきのええかっこしばっかりだ。私はその顔を見に来たんだ。どんな顔をして来ているのかと。今の 大人たち、特にここにいる大人たちは農薬問題、ゴ ルフ場問題、原発問題、何かと言えば子どもたちのためにと言って、運動するふりばかりしている。私 は泊原発のすぐ近くの共和町に住んで、二四時間被 曝している。原子力発電所の周辺、イギリスのセラフィールドで白血病の子どもが生まれる確率が高い というのは、本を読んで知っている。私も女の子で す。年頃になったら結婚もするで
しょう。私、子ども生んでも大丈夫なんですか?」と、泣きながら三 百人の大人たちに聞いているのです。でも、誰も答 えてあげられない。
「原発がそんなに大変なものなら、今頃でなくて、 なぜ最初に造るときに一生懸命反対してくれなかったのか。まして、ここに来ている大人たちは、二号 機も造らせたじゃないのか。たとえ電気がなくなっ てもいいから、私は原発はいやだ」と。ちょうど、泊原発の二号機が試運転に入った時だったんです。
「何で、今になってこういう集会しているのか分 からない。私が大人で子どもがいたら、命懸けで体 を張ってでも原発を止めている」と言う。
「二基目が出来て、今までの倍私は放射能を浴び ている。でも私は北海道から逃げない」って、泣き ながら訴えました。
私が「そういう悩みをお母さんや先生に話したこ とがあるの」と聞きましたら、「この会場には先生 やお母さんも来ている、でも、話したことはない」 と言います。「女の子同志ではいつもその話をして いる。結婚もできない、子どもも産めない」って。
担任の先生たちも、今の生徒たちがそういう悩み を抱えていることを少しも知らなかったそうです。
これは決して、原子力防災の八キロとか十キロの問題 ではない、五十キロ、一〇〇キロ圏でそういうことがい っぱい起きているのです。そういう悩みを今の中学 生、高校生が持っていることを絶えず知っていてほ しいのです。
みなさんには、ここまでのことから、原発がどん なものか分かってもらえたと思います。
チェルノブイリで原発の大事故が起きて、原発は 怖いなーと思った人も多かったと思います。でも、 「原発が止まったら、電気が無くなって困る」と、 特に都会の人は原発から遠いですから、少々怖くて も仕方がないと、そう考えている人は多いんじゃな いでしょうか。
でも、それは国や電力会社が「原発は核の平和利 用です」「日本の原発は絶対に事故を起こしません。安全だから安心しなさい」「日本には資源がないか ら、原発は絶対に必要なんですよ」と、大金をかけ て宣伝をしている結果なんです。もんじゅの事故のように、本当のことはずーっと隠しています。
原発は確かに電気を作っています。しかし、私が 二〇年間働いて、この目で見たり、この体で経験したことは、原発は働く人を絶対に被曝させなければ 動かないものだということです。それに、原発を造るときから、地域の人達は賛成だ、反対だと割れて、 心をズタズタにされる。出来たら出来たで、被曝させられ、何の罪もないのに差別されて苦しんでいる んです。
みなさんは、原発が事故を起こしたら怖いのは知 っている。だったら、事故さえ起こさなければいいのか。平和利用なのかと。そうじゃないでしょう。 私のような話、働く人が被曝して死んでいったり、 地域の人が苦しんでいる限り、原発は平和利用なんかではないんです。それに、安全なことと安心だと いうことは違うんです。原発がある限り安心できな いのですから。 それから、今は電気を作っているように見えても、 何万年も管理しなければならない核のゴミに、膨大な電気や石油がいるのです。それは、今作っている 以上のエネルギーになることは間違いないんですよ。それに、その核のゴミや閉鎖した原発を管理するの は、私たちの子孫なのです。
そんな原発が、どうして平和利用だなんて言えま すか。だから、私は何度も言いますが、原発は絶対 に核の平和利用ではありません。
だから、私はお願いしたい。朝、必ず自分のお子 さんの顔やお孫さんの顔をしっかりと見てほしいと。果たしてこのまま日本だけが原子力発電所をどんど ん造って大丈夫なのかどうか、事故だけでなく、地 震で壊れる心配もあって、このままでは本当に取り返しのつかないことが起きてしまうと。これをどう しても知って欲しいのです。
ですから、私はこれ以上原発を増やしてはいけな い、原発の増設は絶対に反対だという信念でやって います。そして稼働している原発も、着実に止めな ければならないと思っています。
原発がある限り、世界に本当の平和はこないので すから。
優しい地球 残そう子どもたちに筆者「平井憲夫さん」について:
1997年1月逝去。
1級プラント配管技能士、原発事故調査国民会議顧問、原発被曝労働者救済センター代表、北陸電力能登(現・志賀)原発差し止め裁判原告特別補佐人、東北電力女川原発差し止め裁判原告特別補佐人、福島第2原発3号機運転差し止め訴訟原告証人。
「原発被曝労働者救済センター」は後継者がなく、閉鎖されました。
以上
「我々は日々被爆しているのです!」
以下元1級プラント配管技能士平井憲夫さんの著書より
http://www.iam-t.jp/HIRAI/index.html#about
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☆また、以下のサイトでも日本の原発の分布図と地震について見れますhttp://www.stop-hamaoka.com/kaisetsu-1.html
*ちなみにこれは「原子力発電がなくても暮らせる社会をつくる国民連合」のサイトの中の文章で、この団体名とURLアドレスを明記すれば転載可とのことです。http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/
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