『ヤベツの祈り』



 2年前くらいに日本に輸入されてきた時すでに、800万部売れてたらしいので、きっと今は1000万部を突破していると思われる。クリスチャンの間ではかなり有名になった本。(個人的に、いのちのことば社の出版物はどうしても肌に合わない。というかはっきり言ってしまうと、うさんくさい。幸●の科学なんかと良く似た匂いを感じるのだ。そういえば尊敬する牧師の本はここから出してもらえないらしい。キリスト教の狭い世界でもそんなもんか。幼少期は毎日のようになんらかの発行物を目にしていたので、他の単純にうさんくさい出版社とは別次元の思い入れがある。)

 「地境をひろげ、災いから遠ざけてください。」という祈りは示唆的だ。つまり、重要なのは「土地」と「治安」ということだ。僕の知る限り、広い土地を持ったクリスチャンというのは聞いたことがない。欧米には少ないないだろうが。日本の都内で結構大きい教会があるのは知っているが、土地を広げることを重視している教会というのは知らない。しかし、メンバーが増えて、場所を広げることを考えるのは重要だろうし、当然発生してくるヴィジョンだろう。

 「キリスト教は日本では少数派である運命だ」なんて訳知り顔で言うクリスチャン(牧師)もいが、本気で世界をキリスト教化するなら、世界全土を教会で買い占めるしかないのではない。つまりキリスト教国やキリスト教国際連合の形成だ。なぜかこの本の著者は超自然を神の力だと考え、自然を神の力でないと考えるかのようだが、聖書以外の要素も全て神がつくったのだから、普段の生活の土台をどうやってキリスト教にしていくかが、これからの将来の重要な態度だろう。

 そして買い取った土地を「治安維持」する必要が生じる。ヤベツの祈りが先取りしているのは、離婚・復縁なんてちっぽけなことではなく(そもそも死別でない離婚が存在システムのほうが神の意志に反するんだと思う。)キリスト教国家形成の足がかりなんじゃあなんだから、政教分離という名の偶像に対して、鳩のようであるだけではいけない。蛇の要素も持たなくては。


眠れない夜に、反感交じりの高揚感をもって、こんな肥大させたイメージを持たせてくれただけで、この本とヤベツの聖書記事はまったく十分な価値があると思う。



© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: