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-1985年作品-[原題] WITNESS[監督] ピーター・ウェアー[出演] (ジョン)ハリソン・フォード、(レイチェル)ケリー・マクギリス、 (サミュエル)ルーカス・ハース、 (ホッチライトナー)アレキサンダー・ゴドノフ▲似顔絵はレイチェル役のケリー・マクギリス----------映画の冒頭、風になびく麦畑がでてくる。風は強くはなく、優しくやわらかに吹いている。麦はとてもしなやかで、風が吹くたびに麦畑の緑色が次々に変わっていく。その風景はとても美しい。主人公は刑事。悲しいかなその仕事には、力が必要となっている。暴力や死が身近にある、悪を捕まえるためには。ヒロインはアーミッシュ。彼女の住む場所では、力など必要ない。自然の中で、神の教えを昔どうりに守っていくことが全て。この物語はそんな二人が出会った物語。【アーミッシュ】とにかくアーミッシュの人々、村の描き方が素晴らしい。電話もない、TVもない、そもそも電気もない、というようなアーミッシュの村。まるで昔はやった吉幾三の歌みたい。でもそれらは、ただないのではなく、アーミッシュの人々には必要ではないのである。彼らは昔からの道具だけで、十分暮らして行けるのである。(神に感謝しながら。)前に麦畑の風景が美しいと書いたが、この映画にはロングで撮影した村の風景が何度か映し出される。それらは本当に美しい。サミュエル(ルーカス・ハース)が馬の玩具をもらう。ただ板を馬の形に切った、絵を描いただけの物。けれどその玩具をもらった時の、すごく明るいサミュエルの笑顔がとても良い。そんな村に迷い込んだ、ジョン・ブック(ハリソン・フォード)の文化のズレとなじんでいく姿が実に面白い。食事の前のお祈り、牛の乳搾り等々、ジョン・ブックがとまどう所に、おもわずクスッと笑ってしまう。そして村人全員で新婚さんの為に、納屋を立てるシーン。(小さな子供が並んで釘を打つトコはほほえましい。)このジョン・ブックが村の一員となって働くシーンも素晴らしい。中盤からジョン・ブックとレイチェルが徐々に、静かにひかれあってゆく所を描いていく。そしてあのラスト。ジョン・ブックとレイチェルは、ほとんど言葉を交わさない。けれどお互いの気持ちは、十分に分かり合っている。それぞれが抱えているものがなければ、二人で暮らすということもできたかもしれないけれど・・・。こういうのが、大人の恋愛というものなのかな~と思ってしまった。ジョン・ブックの乗った車が去って行こうとする時、歩いてくるホッチライトナー(アレキサンダー・ゴドノフ)と出会う。二人は何か言葉を交わし、車は去り、ホッチライトナーは再び歩きはじめる。このシーンもすごく良い。出演は少ないけど、ホッチライトナーの存在が、この物語に良いアクセントをつけている。*****サミュエル役のルーカス・ハース君、目撃者となるだけあって目が大きく、クリクリしていてかわいい男の子だった。そのルーカス・ハース君が、ティム・バートンの「マーズ・アタック」に出ていた。すっかりデカくなってて、おもわずガクゼン・・・。▲パンフと前売券の半券+++++++++刑事ジョン・ブック 目撃者(期間限定) ◆20%OFF!
2006.07.20
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-2006年作品-[監督] 市川崑[出演] (金田一耕助) 石坂浩二 (犬神松子) 富司純子▲似顔絵は金田一耕助役の石坂浩二さんス、スイマセン...。気がついたらノッポさんになっていました。----------よく結婚式で「片目をつぶって相手を見てください。」というスピーチがありますよネ。(相手の欠点は見て見ぬふり、という意味で。)自分にとってはこの映画はまさにそんな映画。というより両目をつぶってるという感じ?、イヤイヤ恋は盲目という言葉がピッタリか!自分は市川+石坂ペアの金田一が大好きです。その新作が観れるというだけで、もう大興奮!!。というわけで今回の感想は、ひいきのひきたおしで、的外れな感想になってるかと思いますが、どうかゴカンベンを・・・。【古典芸能】ああ、もうやられてしまいました。とにかくあのタイトルがでて、あのテーマ音楽がながれてきた時から・・・。もう市川+石坂ペアの金田一世界にドップリです。数多くある印象的な場面が、新しくなって大画面に映し出されるのにクギ付けでした。ちょっとくすんだような金色の襖。佐清のあのゴムマスク。頭部のすげ替えられた菊人形。湖からつきでる2本の足、などなど。等々力警部の「よし!分かった!」や金田一の「生卵・・・」のセリフがでただけで喜んでる自分は、ちょっと異常じゃないかという気もしましたが...。まあ、原作は何度も読み返してるし、前作のビデオやTV版の別バージョンなども観ているので、新鮮味はまったくありませんでした。(会社の先輩は、何で今ごろ金田一?と言っておりましたが・・・。)しかし、これはもう古典芸能の世界じゃないかと思いましたよ。落語や歌舞伎なんか、何度も繰り返し楽しめますからネ。そして、ラストではおもわず泣いちゃいました。人を愛する心が(どこかでゆがんでしまった愛する心が)ひきおこした、哀しい哀しい物語でした。帰る途中も、テーマ音楽が頭の中で繰り返され、ゆったり余韻にひたってしまいました。*****『病院坂の首縊りの家』の原作は、上下2冊の大長編。たしか下巻は上巻の20年後ぐらいの話だったはず。そのため、76年作品では結構話を書きかえていたとおもう。できれば76年作品のキャストを再度集めて下巻部分を撮影し、76年作品と再編集して新作映画にするっていうのは無理でしょうかネ~!?▲前売券についていた携帯ストラップ▲誕生日に嫁さんに懇願して買うてもろうたDVD-BOX(ファンならだれもがおもうはず、「犬神家」が入っていれば...と。)+++++++++金田一耕助シリーズ 劇場版DVD-BOX 金田一耕助の事件匣〈初回限定生産・5枚組〉
2007.02.09
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-1991年作品-[監督] 岡本 喜八[出演] (柳川 とし子刀自)北林 谷栄 (井狩 大五郎)緒形 拳 (戸並 健次)風間 トオル (中村 くら)樹木 希林▲似顔絵は柳川 とし子刀自役の北林 谷栄さん。----------とてもおもしろい映画であった。映画上映時、最初の方に雑音が入っていたが、そんなのが気にならない程おもしろい映画だった。紀州の大富豪、柳川 とし子刀自が、虹の童子と名乗る若者3人組に誘拐される。最初、とし子刀自は3人組のいう事をおとなしく聞いていたのだが、身代金が5000万円と聞くと100億円にしろと言い出し・・・。とにかくテンポがとても良かった。舞台は和歌山の山の中、しかも主役はおばあちゃん。なのにシャレてて、日本映画でもこういうセンスある作品が造れるんだな~、と関心してしまいました。ところどころに、強烈な個性の人物が出ているのも、おかしかった。元女中頭、中村くら(樹木希林)の、セーラー服にモンペ姿という不気味カワイさ。100億円を運ぶ、生真面目なヘリパイロット(本田博太郎)の「重いです、とても重いです。・・・でも責任の方がもっと重いです。」という爆笑セリフ。けれどその個性的な人々が、ストーリーでヘンに浮くことなく、ちょうどよいアクセントになっていたと感じた。【刀自】なんといってもこの映画は、柳川とし子刀自役の北林谷栄さんにつきると思う。こういってはなんだけど、本当にカワイイのです。物腰がやわらかくてやさしく、けれど芯は強い(頭の回転がスゴイ)という役柄に、バッチリはまっていました。若者3人組に誘拐される時から良かったのです。何でもいう事を聞くので連れの女の子は見逃すよう犯人に掛け合い、そのとおりにしてくれると聞くと、では三本締めでと言ってシャン、シャン、シャンと手を打つのがカワイくて、しかもおかしかった。もうこの時点で3人組は、おばあちゃんのペースにハマッてしまっているのです。そして変にウケたのが、誘拐されて車に乗っている時のセリフ。誘拐事件を本署に知らせようと、必死に自転車をこぐ警察官を車が追い越す時、「あれまぁ、駐在はんが一生懸命、自転車こいではりますわぁ。」とのん気に言うのが妙にウケてしまった。事件がまるで他人事のような、おっとりした話し方が笑えてしまいました。その他には、3人組のリーダーとなったおばちゃんと、県警本部長・井狩(緒形 拳)との激しい頭脳戦が面白く感じました。警察とのTV放送をつかった駆引き、身代金100億円(札の厚みで百メートルになるという)をどうやって受け渡すのかなど、推理的な面白さがこの映画を引き締めていたと思う。*****まあ、終わってみれば、おばあちゃんが台風の目になり、若者3人組も警察もみんなが振り回されているだけなんだけど・・・。(台風の目は、とても静かですもんネ。)けれど何故こういう行動をおこしたのか、最後に語られる所はチョッピリじんときました。田舎が舞台なんだけど、ほんとシャレてて楽しい、観終わった後気分良くなる映画でした。▲パンフとチラシ+++++++++大誘拐 RAINBOW KIDS ◆20%OFF!
2006.09.28
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