人間仁科のブログ・八重山見聞録外伝

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カテゴリ: 鰯の頭


ガキの頃は日曜学校なんぞに行って週末の朝から天にまします主なんかが教えてくれるありがたいお話を聞いて何年も育ったのであるが、これがどうしてか十字架を首からぶら下げたりするようにはならなかった。だいたいが日曜学校で何が一番楽しかったって、イースターの時に配られる極彩色のゆで卵が唯一無二の楽しみだったのであるが、復活祭は年に一度しかないからそれ以外は特に楽しいと感じるでもなく神様や神父様を拝むでもなく、ありがたい説法に感嘆感激触発されるわけでもなく、淡々と毎週末を日曜学校で過ごしたのである。

そうして淡々とクリスチャンらと交わっても淡々と感化されなかったのは、ひとえにクリスチャンの方々に感化されるだけの魅力がなかったことと、彼らの話がどうしても腑に落ちなかったからだ。皆、一様に「目の前に神様がお立ちになった」「イエスキリストが現れ、こう諭してくだされた」なんてことをひどく生真面目な調子で語るのであるが、これがどうして著しく説得力に欠ける話なんである。

見た。聞いた。感激した。なんてことは誰にでも言えるのであって、そこんところにリアリティやディティールがないと他人は巻き込めない。ましてや子供は、大人が抱えているほど神や悪魔に対しての先入観がないから、ただ単に「見た」「聞いた」なんて言われても何も感じないのである。

へ~そうなんだぁ。だからぁ?
ってなもんだろう。

だって、シンナー吸ってる奴らだって神や悪魔や小人ぐらいは見るわけで、でもシンナー吸ってるやつの話も「見た見た」って言ってるだけで、神や悪魔や小人の出現時の状況にリアリティがないから「うるせーよ。オマエひとりで勝手に見てろよ」なんて一蹴されるのがオチだ。

悲しいかな神父様の話も信者の方々の話もリアリティがなかった。神やイエスキリスト出現に際してのディテールがなかった。神はどんな衣裳で、衣裳の素材は何で、肌の色はこんな具合で、髪の毛はストレートなのか巻き毛なのか、体臭はないのか、言葉になまりはなかったのか、顔の皺は何処にどのように刻まれていたのか、射していた後光は何色でどれくらいの光量があって鏡やガラスには反射しなかったのか、そういうリアリティがどこにも見当たらない話だからガキの私の心は動かなかったのだ。へ~幻覚見たんじゃないの?それとも夢かな?ぐらいにしか思わなかったわけだ。

でも毎週、毎週、毎週、神やキリストやマリアを見たって人が入れ代わり立ち代わり現れて殆ど同じような話をする。で、どうも彼らはそのリアリティのない話を丸呑みしているし、聴衆の中には同様に丸呑みして新たに信者になろうって方まで現れる。それが不思議でたまらなかった。神や奇跡話が不思議なのではなく、それを語る人たちが子供心にも不思議に思えて仕方なかった。






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Last updated  2008.06.05 11:18:47 コメントを書く
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