月臣邸

2005.10.08
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ねっとりと血が垂れ流れる

口から溢れ出す鮮血は、暗闇の中で鈍く光った。


窓も無い
光も無い

何も無い



本当の漆黒の中






これは、実験だ。















「っ…に、や…」

呼べる名前などひとつしかない。



両手を後ろで拘束され、両足にも鎖が付けられている。
目も口も開放されているが、目はなんの役にも立たなかった。

自分が目を開けているのかどうかさえ
わからないほどの暗闇。



「にいやぁ…っ」


恐怖に怯える顔を見てくれるたった一人の人は


黄泉を暗闇に閉じ込めた張本人、


新弥だけだった















ガチャ、と重苦しいドアを開ける。

僅かながらに入ってくる光に、黄泉が嬉しそうに涙を零した。


俺がこの部屋に入ってくる時だけは、明かりをつけてやる。




「おはよう、黄泉」
「ぁ、あああぁ…っ新弥…こ、怖いよ……暗くて、怖かったの…っ」

「うん」


にっこりと微笑んで頭を撫でてやると、拒絶しそうになりながらも黄泉は撫で受けた。






黄泉を壊したのは、俺。














結核っていう、重い病気にかかっちゃって。

気が付くと、血を吐いて倒れてた。


だから、俺が貰っちゃおうと思って。


暗闇に閉じ込めた。







暴れないように鎖で手足を縛り、窓も光もない暗闇に閉じ込めたらどうなるか

実験。






結果は
恐怖に怯えて震えていました。




黄泉は、たまにこの部屋に俺が来る度に酷く喜んだ。
少しだけ、光をくれるから。

でもその代わり、ボロボロの体を俺に差し出すというのに。






「新弥ぁ…怖いよぉ…っずっと、傍にいてよ…」

血まみれで

俺に縋る姿は


醜くも、美しくて。


「…どうしようかなあ…」




愛しくて堪らず、抱きしめた。

くくっ、と微笑むと黄泉が顔を近づける。




「だいすき…」











人間は、極限まで追い詰められると
何も考えられなくなるらしい。











「俺も、大好きだよ…黄泉」











壊れかけの君を抱きしめる俺は、










もう壊れてる




Fin

はい訳わかんねぇー。
閉所恐怖症なんです、私。だから、ね。





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Last updated  2005.10.08 16:28:24
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