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第9章
命果てる時
グレイとベルの戦いは熾烈を極めていた。どちらかが攻撃をしかけても、決して決まることはない。互いに手の内を読みあい、避けあう。
最凶最悪と謳われたベルの攻撃を避け続けるグレイには、鬼気迫るものがあった。
まさに一瞬の隙でさえ命取りになる、いや、一瞬の隙が確実に敗北となる戦い。
そんな戦いなのに、ベルの表情に喜悦のようなものがあった。
楽しんでいるようですらある。
―――流石と言うべきか……強いな……。
グレイは一拍の間を取った。少し、動悸が高まっているようだ。
ベルは余裕の表情に見える。
グレイは唇を噛んだ。
―――おそらく、単純な力量では及んでいない……そこで俺が勝つには、何か技を使わねば……!
グレイが光の速さの如く、眼にも留まらぬ速さで動く。
残像効果か、5人程の人数に分身して見えるのだ。
「くらえ!!」
そのグレイ“たち”が、一斉に叫び、斬りかかる。
だが。
彼の高速に近い剣技も、彼の尋常ではない身体能力と戦闘能力を持ってしても、彼女へ攻撃は届かなかった。
いや、それ以前に。
「くっ……!」
グレイの下腹部から鮮血が流れる。突かれてはいないが、浅く斬られたようだ。
ベルは対戦相手を甚振ることが非常に楽しくて仕方ない、というように笑っていた。
「その程度かい?アルウェイの血を引きし者」
グレイは愕然とした。
実際、ここまでとは思わなかった。“ありえない”戦闘力の差。
―――あれしか、ないか……。すまんな、ゼロ……。
グレイの動きが止まる。心を沈め、呼吸を整える。
そしてただ一点を、ベルの心臓部を見つめる。
「どうした?もう、打つ手なしなのかい?」
ベルが少し興ざめしたように言った。だが、彼にそんな言葉は届かない。
―――落ち着け、落ち着け……。チャンスは一回切りだ……落ち着け!グレイ・アルウェイ!!
意を決したグレイの発するオーラが変わる。
周りで空気が流れる音が聞こえる。
全ての物事が、ゆっくり流れる。
極限の境地に至り、全てを見定めんとする。
そして、ベルが動いた。
静かな、厳正な森の一部なのだろうが、そこは美しく整備されていた。
丁寧に整えられた草木、小鳥たちのさえずりも聴こえてくる。
森林浴には、もってこいの場所だろう。
そんな場所の中心部で、二人の男女が武器を合わせていた。
いや、片方が一方的に攻め、もう片方が凛とした表情で避けている。終わりなき、永遠に終わらないような戦いに見える。
こういうケースは、避けるほうがかなりの強者で、仕掛けるほうが素人というのが多いのだが、例外に今の戦いは明らかに違う。
攻める側は巧みな連携に、実際に実行するとなればかなりの技術を要する技で攻めている。おそらく、並の戦士など刃先も見えずに倒れ伏すだろう。
それくらいに、速い刃。
黒い戦闘服に身を固め、漆黒の美しき髪が動きに合わせて舞い、刀身がまるで暗黒のように輝く刀が、淡い輝きを残しながら不規則な線を描き、暴れ狂う。その一撃には、死へと誘う力が秘められている。
攻める側の剣士、ゼロはまさしく“死神”のようだった。
だが、避けるほうも優雅な純白の服に身を包み、全ての流れをその身で感じているような、滑らかな動きでかわしている。彼女の動きに合わせて彼女の美しい金髪がさらさらと揺れ動くのは、美しい光景だった。
およそ戦闘とは無縁そうな美女が、両手に短剣を持ってゼロと相対していた。
その容姿は風景を取り込み、持つべきではないような物でさえ、彼女を引き立てる装飾品のようだった。
かれこれ十数分。ゼロの刀を、彼女、レリムは一太刀も受けていない。
ゼロが、攻撃の手をやめた。
―――俺だけの力では、当てることも出来ないか……いや、読まれているんだな。今の俺は、それほどわかりやすいってことか……。
ゼロの動きが変わった。先刻よりも速く、攻撃に特化し、防御を切り捨てた速さである。
この速さならば、かなりの痛手を与えることが出来るだろうが、逆に攻撃を貰えば、己の速さも加わり、かなりの痛手をうけるだろう。
―――コイツで……どうだ?!
ゼロが、無数に分身したかのように見え、それらが一斉に、レリムを攻撃した。
時は違うが、グレイがベルにしかけてのよりも、数倍数が多く、数倍速い剣撃。
だが。
レリムは軽いステップを踏むように。
流れる水のように。
ゼロの刀を避け、その後背後からゼロの背中を思い切り蹴り飛ばした。
派手にゼロが吹き飛ぶ。とてもレリムのような細い女性に出来るようには見えない荒業。いくらゼロが平均よりも小柄だからと言って、女性の蹴りでここまで派手に吹き飛ぶことはないはずなのだが。
「くっ……さすが、天師様だな」
苦痛を堪えるゼロに対し、レリムの瞳は無感情。
何を考えているのか読めない、見たものを凍らせるような、無表情。
―――ゼロ、彼女の力量は、今の貴方では到底及ばない。退くも策ではないのか?
唐突に、ゼロの頭の中にアノンの声が流れた。突然のことに、ゼロは少し驚いた。
―――お前……なんでもありかよ?……でもまぁ、一理ある。アノン、力を貸してくれ。
ゼロは迷わずそう答えた。彼女の提案ではなく、彼女の判断に一理あると認めたようだ。
一拍の間を置いて。
―――分かった。だが、気をつけて。
その言葉と同時に、ゼロの身体が輝き、ゼロのオーラが変わった。
東
「う~ん………ヒマねぇ……」
ムーンが、言葉通りにヒマをもてあまし、玉座の前を右往左往している。
全て配下に任せたのを、少し後悔しているようだ。
「ミル、いるかしらん?」
ムーンが何も、誰もいないところに声をかける。
すると、影のように、漆黒のローブに身を固め、頭からつま先までまったく素肌が見えない格好をした女性が現れた。
「何かな?」
凛とした、静かな声。
「フフフ♪そうね、ちょっと、西を撹乱させてほしいのん♪まずは、徹底的にゼロちゃんをイジメルのよん♪」
ムーンがそう言い終わるや否や、彼女、ミルはもういなかった。
一人、ムーンの哄笑が響いた。
「はぁ……」
ユフィは、今日何度目か分からないほどのため息をまた一つついた。
ゼロのことを心配する気持ちもあるが、不思議とその気持ちは大きくならなかった。やはり心の奥底から信頼しているからかもしれない。
そして今、頭では何をするべきか分かっている。だが、どうしても事に移す気にならない。
どうしても、脳がしたくないという命令を出す。
だが、そうしていても始まらないのも事実。
ユフィは意を決めて、準備を整えてあった手荷物を持ち、単身、東へと乗り込んだ。
この大戦で、自分がゼロの力になるためには、東にある、セントル遺跡に行く必要があるのだ。
なぜなら、そこには古代魔法の一つが封印されているのだから。
テュルティは、気付くとベイトの家にやってきていた。自分でも分からないうちに。おそらく、本能的にどうしても昨日のことが気になっていたのだろう。
あの化け物はなんだったのか?それを知らないままでいることは、彼女には出来ない。
恐る恐る、ネイロス家の呼び鈴を鳴らす。
アリオーシュ家とは違い、メイドのような女性が現れた。
いや、アリオーシュ家が特異で、実際はこれが普通なのだろうが。
「えっと、虎狼騎士のテュルティ・アリオーシュ……です……。ベイトさんは、いらっしゃいますか?」
恐る恐る尋ねる。メイドの女性は穏やかに微笑み、対応してくれた。
「はい。ただいまお呼びしますので、客間にて御寛ぎくださいませ」
テュルティは広く豪華な客間に案内され、そこでベイトを待った。
彼が来るまで、数分かかった。
「あ、すいません、遅れてしまって。少々、やらなくてはならないことがありまして」
私服姿のベイトは苦笑しながらそう言った。とても騎士には見えない。人を殺めるような人には、見えない。いや、彼には誰も殺して欲しくないのだ、テュルティは本能的にそう思った。
「あ、お時間をとってしまって、こっちこそゴメンなさい!」
テュルティは勢いよく頭を下げた。
その姿にベイトはまた、苦笑のような微笑みを見せた。
「気にしないでください。……で、用件のことですけど、僕の推測ですが、昨日の……アレのこと……ですよね?」
ベイトは一瞬顔を曇らせたが、すぐに普段の微笑んだ表情になった。
「えっと……お察しの通りですぅ……」
何故かテュルティは頬が熱くなるのを感じた。
ベイトはその姿を見て、微笑ましく思った。
昨日の、戦いを楽しむ姿と同じ純粋な気持ちなんだろう、と。
「そうですね……。テュルティさんは……」
「テュルティ、でいいですよ」
言い出したベイトに口を挟む。またベイトは苦笑した。
「じゃあ、僕もベイトでいいです。で、テュルティさ……テュルティは、古代の、神々の戦争の神話を知っていますか?」
呼び捨てにするのを気恥ずかしそうにしているのを苦笑で隠し、ベイトは尋ねた。
「“神話”と言っても、“事実”なんですけど」
テュルティは少し考え、思い出したように顔を上げた。
「えっと、イシュタル軍とミカヅキ軍とジャスティ軍とアシモフ軍が戦ったっていう、話ですよね?」
半信半疑な答えに、ベイトは微笑んで頷いてみせた。
「そう。その戦争の際に、イシュタルの軍にいたのが、たとえば、テュルティの先祖かも知れない、闘神アリオーシュや、傭兵王ジビス、獣神ネイクターなどです。そのネイクターは、数多の魔獣を引き連れて戦いました。そして、その魔獣たちは終戦と共に封印されたのです。ですが、数匹、最も凶暴な魔獣の何匹かが、封印を打ち破り、逃亡しました。だいたい60年前のことです。そして再封印の依り代となったのが、僕の祖父。そうして再び魔獣ベヒモスたちは封印されました」
テュルティはその言葉一つ一つに驚いた。
「えっと、じゃぁ、昨日私が見たのは……?もしかして……?」
「ハイ。ベヒモスです」
ベイトは、苦笑してみせた。
―――流石に、こんなことすぐには信じられないよね……。
彼自身、こんなことを突然言われても、納得は出来ないだろうから。
アノンの能力を受け入れたゼロの動きは、格段に速くなった。思っていたよりもシンクロ率が高まっている。
流石のレリムも、避けたり防いだりで手一杯になっているようだ。
その刹那。
「!!!」
「!!!」
二人は何か大きな、強いオーラが二つ消え逝くのを感じ、同じ方向を見つめた。
ベルの剣は、確かにグレイを貫いた。
だが。
貫いた、“グレイを殺した”、はずなのに。
ベルは言いようのない激痛と、自分の身体から力が逃げていくのを感じた。
グレイの胸を貫通している剣を握ることもままならず、いっこうに力が入らない。
そして、ふとグレイを見つめる。不敵な笑みを浮かべたまま、彼の口からは鮮血が溢れ出していた。常人なら、即死していてもおかしくない致命傷である。
そして、彼の持っていた剣の先を辿ると、同じく胸を貫いていると思われる剣が見える。
ベルは、悟った。
グレイの決死の一撃を。
勝ち目のない者がやる、愚劣な、だが、確実な攻撃を。
並の度胸では、躊躇って結局出来ないような、そんな攻撃。
それは自分に剣が突き刺さった、その一瞬に、同時に相手へと剣を刺し込むという、荒業。
タイミングを間違えば、避けられ、犬死となる。
だが、グレイはやってのけた。
突き刺された剣が引き抜かれるまでの、ほんの一瞬に。見事にベルを貫いたのだ。
―――グロス……あんたの血を引く者は……立派な戦士だったよ……完敗だよ……。
双方が倒れる。
―――思えば……いい人生だったな……。虎狼騎士になって、ゼロと出会って……。自分の力を信じ……戦って……。戦いの中で……死ねた……。ミリエラ、ベイト、リエル……虎狼騎士……副団長として命ずる……。西を……ゼロを……頼む…………。
グレイは、薄れ逝く意識の中、ただ一つだけを祈った。
―――ゼロ……統一の夢……を……果た……せ……。
『ゼロ、統一の夢を果たせ』
それが、虎狼騎士グレイ・アルウェイの最期の願いだった。
この戦いは、旅立つ者から若き者へ夢を託す、大きな戦いだった。
だが彼の死は大きく、哀しみも大きかった。
グレイ・アルウェイ、戦死。
「この感じは……グ、グレイ……か……?」
ゼロが青ざめた表情で呟いた。間違いだと思いたかったが、間違いない。この感じは間違いなくグレイだ。ゼロには、分かってしまった。
―――ゼロ、私が見てこよう。
アノンがそう伝え、ゼロから抜け出す。一瞬にして彼女の気配が消えた。
「この感じは、間違いありません。グレイ・アルウェイでしょう」
レリムが冷静に言い放った。その言葉と同時にゼロは鎮痛な表情となり、俯いた。見ていられない、悲痛な表情。
涙を見せないのは、意地だろうか。
「……なんで、なんでグレイが……?」
ゼロの言葉を、レリムは冷静に受け止めた。
「もう片方は、ベル・チェインですね。おそらく、相打ちでしょうか?」
その言葉は、ゼロに多少の勇気を与えた。
「ベル・チェイン……だって……?そいつは、おそらく……」
「えぇ。グレイ・アルウェイよりも、確実に強かったはずです。だが、彼女はグレイ・アルウェイに倒された。覚悟ある剣が、彼女を貫いたのでしょう。ゼロ、貴方にこの覚悟がありますか?勝利の為に己が命を捨てるという覚悟が。生半可な覚悟ではありません。おそらく、最初からこういう結末は頭の片隅で考えていたはずです。自分では及ばない相手に勝つには、相打ち狙いの一瞬の隙を突くしかない、と」
ゼロの表情に、驚愕が走る。
自分にそんな覚悟があるだろうか。
何かを護る為に、この命を捨てられるだろうか。
そんな勝利を、掴めるだろうか。
ゼロは刀を収めた。そして、歩き出す。
その彼を見て、レリムがゼロの背中にこう言った。
「今日はもう帰ったほうがいいでしょう。グレイ・アルウェイのことは、丁重に弔ってあげることです。それと、ミュー・グレムディアが彼に好意を抱いていたはずです。彼女にも、きちんと伝えてあげたほうがいいでしょう。私たちエルフ十天使は、立場上中立としかなれませんが、貴方の武運を、祈っています。それと……過信するわけではありませんが、私の力をもってしても、ユフィ・ナターシャの同行が掴めません。十分注意してください」
ゼロはそこまで聞いて、彼女の予知能力にはお手上げのように感じた。大した能力である。
だが、あえて何も言わず、今日はホールヴァインズ城へと帰ることにした。
―――あの場所は、アイアンウルフ城だよな? ……グレイは、ローファサニさんを……?……ホントに、お前は立派な騎士様だよ……。グレイ……。
帰路の途中、ゼロはついに涙を流した。
そして、その姿を、影から見ている存在に、ゼロは気付かなかった。
またしても大きな傷を負った西。
崩壊寸前の北。
動向の分からない南。
そして。
現状を楽しむ、ムーン率いる東。
荒れた時代の終焉は、今だその姿を闇に溶かしたままである。
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