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哀しき戦いの記録
「明日・・・うまくやれよ・・・」
少年の父親らしき人物はそう言った。少年には返事がない。ただ、無論、言われるまでもない、といった余裕が伺える。それを察してか父親らしき人物は顔を緩ませ笑顔で。
「まあ、生きて帰ってこれれば初陣はそれで良しだ。無理に手柄は狙うなよ?生きてりゃチャンスなんざいくらでもくらぁ。ましてや、お前はエルフの未来を担う男だ。生きて帰ってこい。それが、親孝行だぜ?」
少年はしっかりと肯いて、真っ直ぐだが、どこか天然な眼で男を見据えていた。
ゼロ・アリオーシュ。先刻の少年の名である。幼き時より最強の戦士になるための教育を受け、遂に初陣の戦いが眼前に迫っているのだ。しかし、彼を一目みて剣士と思う人物はよほど勘が鋭いか馬鹿だろう。彼は小柄でまだあどけなさの残る若干童顔の美少年なのだ。天然のようにポーっとしてる眼には紫の瞳が覗き、不思議な愛嬌もある。小さいが、整っている鼻梁に、引き締まった唇と、華奢で小柄というのが隠せない美少年なのだ。
その彼が今回向かう戦場は、60年前より続く人間とエルフの争いである。世界には、その大部分を支配する人間、大森林のなかに住み若干短命だが身体能力は人間の追随を許さないプライドの高いエルフ、標高の高い山に住み人間の約5倍の寿命があるゴーレム族の3種が存在する。
代々その3種は互い互いに干渉することなく生きてきたのだが62年前に起きた世界的な大災害の多発による飢餓が、食料難となりその2年後なかなか回復の目処が立たない人間が遂にエルフ領に侵攻、戦いの幕開けとなった。
非は人間、と人間も分かっていて、20年前に一度講和条約が結ばれそうになったのだが、プライドの高かったエルフ族の当時の国王はそれを断固拒絶した。後にその国王は何者かに暗殺されたのだが。
そんな経緯もあり睨み合い状態は今も尚続いているのだ。
長きに渡り、哀しみを撒き散らす戦争は、まだ終止符を打つようには見えなかった。
――これが・・・戦前の・・・陣営・・・大したことないな・・・あそこの方が・・・緊張したし、怖かった・・・
3度、エルフと人間は戦争を繰り広げようとしている。そしてその戦いに参加するのは各国同士の干渉など知る意味もない兵士たちだ。ただ、自分より身分の高い者の指示で動き、必要ならば敵を殺し、運が悪ければ、死ぬ。そんな意味の欠片を見つけられぬ場所に、若干15歳のゼロは居た。最前線はさらに激戦を繰り広げているのだが、さすがにまだ子供にしか見えないゼロを最前線に行かせるほど、エルフ軍、総軍務指令官ガイ・スイトリン戦爵は鬼ではなかった。彼自身、同じような年頃の息子と、共に前線に行き、息子を死なせてしまった過去があるから、ゼロに姿を似せている、そう解釈も出来よう。ましてや、ゼロの父親のウォービル・アリオーシュは病を患いながらも、歴戦の勇士という肩書きで戦場に駆り出されているのだ。ガイとウォービルは、共に2次戦争を戦い抜いた戦友だった。つまり、その息子は、近未来のエルフを導くだろうという期待、ウォービルの息子だからという遠慮、などの考えや気持ちが複雑に絡み合い、どう扱えばいいか分からない、というのが事実であろう。
だが。
――オレは後方控えか・・・まっ、疲れないからいいや
案外、前線陣営のここでそこまで余裕をかましていられるゼロは大器なのかもしれない。
そんな時、一角からざわめきが起こった。
何やら、えらく高価そうな貴族服に身を纏った紳士の中年と、まだ年端もいかない少女が歩いてきているようだ。
ゼロ、その二人に見覚えがあった。いや、ゼロだけではない、陣営内の兵士誰一人としてあの二人を知らぬ者はないだろう。
フォーグ・ナターシャ卿。国王の右腕の地位の超上流貴族だ。下流貴族のゼロでは、謁見することも叶わないだろう。だが、ナターシャ卿があそこまで地位を確立したのには理由があった。元々、ナターシャ家は中流貴族であった。しかし、彼らには常人では持ちえない、星詠みの力があった。
星詠み、それは名の通り星を詠む、ということも含まれているが、他にも大気の流れ、空気の振動、雲の動き、空の様子、木々の呻きなど、世界中のありとあらゆる森羅万象の動き、胎動鼓動を感じ、未来を詠むのだ。当然、平民が修行したりして手に入るような安易な能力ではない。産まれ付きの能力があるのだ。
彼ら曰く「世界の声が未来を見せてくれ、私達に解釈しやすいよう伝えてくれる」らしい。中には彼らの能力を嘘、偶然と言う者もあるが、実戦で戦果を挙げている以上、反論者は消えた。そうして未来を詠み、それを教えているのだから、エルフは数で劣るとも負けずに生きながらえてこれたのだ。
正に、ナターシャ家はエルフの救世主だ、と言うのも存外的外れではない。
で、その力で地位を手にした男の隣の少女に、ゼロは自然と目がいった。一言で言うと、綺麗、可愛いから、なのだろうが、それだけではない、何か、不思議なオーラのようなものを感じた。ゼロには、うまく表すことの出来ない何か、を。
――・・・綺麗だ・・・でも・・・怯えている?・・・何にだ・・・?
ゼロがそう思案したのは一瞬のことで、見ていた時間も一瞬なのだが、ゼロには酷く長い時間に感じられた。
――疲れてるのかな・・・?気の・・・せいだろ・・・
そう思いゼロが視線を作戦指示の書いてある紙面に落とそうとした時、その娘と眼が合った。ゼロは自分でも分からないが、辛そうな表情になった。すると、その娘が近寄ってきた。皆の視線がゼロに集まる。
「貴方・・・名前は・・・?」
すごく小さくて、透き通った声だ。ゼロはそう思った。嫌いではない。
「・・・失礼だが、目上の者でなくても、名前を聞くときはまず自分から名乗るのが常識なんじゃないのか?」
ゼロは、何故自分がこんなことを言ったのか分からなかった。相手は自分より階級の高い者なのだ。今の発言は失礼千万、場合によっては、死罪にもなる。ただ、自分より小さい者だから、ではなく、もう少し話していたい、声を聞きたいという、淡い期待もあったからだとゼロは思った。
「くすっ♪ごめんなさいね・・・?あまり・・・人と話したこと・・・ないもんだから・・・。・・・私は・・・ユフィ、ユフィ・ナターシャ。13歳です。・・・貴方は?」
その娘、ユフィは小さく微笑んだ。ゼロは、微笑みって、この娘のためにあるんじゃないか?と思うくらい、その微笑みは魅力的だった。
「・・・俺は・・・ゼロ、ゼロ・アリオーシュ。15歳だ。すまないが・・・敬語は苦手なんだ・・・。ため口みたいだが、勘弁してくれ」
ゼロの言葉にユフィはさらに微笑んだ。桃色の髪が、ふわっと揺れ、いい匂いがゼロの鼻腔に入った。ゼロが不思議と紅くなると、ユフィは何を考えているのか分からないが、愛らしい碧眼でゼロの瞳を覗き込んだ。さっきまで感じていた、ユフィの怯えは、とうに消え去っていた。
「・・・綺麗・・・ゼロは・・・綺麗だねぇ・・・それに、真っ直ぐな眼をしてる」
まだ13の女の子に、ゼロは全てを見透かされてる気分になった。でも、悪い気はしない。
「・・・綺麗なのは・・・お前だろう?・・・お前みたいな奴・・・今まで見たこともなかった・・・」
ゼロの、本音である。
「私だって、ゼロみたいに綺麗な男の人見たのは初めてだよ・・・?それに・・・同じくらいの年の人と・・・楽しく喋れているのも、ね?」
ゼロは、ドキッ、とした。もう何がなんだか分からなかった。ただ、目の前の女の子が素敵すぎるのだ。でも、それだけでもう十分だった。
「あっ、もう行かなくてはいけない・・・。ゼロ・・・また会えるかな・・・?」
「星に・・・聞いてみろ・・・」
ゼロの、精一杯の言葉である。会いたくなかったら素直に、無理だ、と言うゼロがそう言わない、というのはこっちもまた会いたい、ということである。まだ会ったばかりのユフィにそれは流石に分からなかったようだが。
「・・・うん♪・・・あっ!ゼロ・・・。もうすぐ・・・・・・貴方に哀しみが訪れる・・・。星達が・・・そう言ってる・・・。これは貴方の力じゃどうにもできないこと・・・。でも・・・これを乗り越えて・・・?そうすれば・・・貴方はもっと強くなれるから・・・。・・・本当は・・・私も力になりたいのだけれど・・・。ごめんね・・・?でも・・・ゼロなら超えられる・・・。私は・・・信じてる」
そう言い残し、ユフィは去っていった。
ゼロには、よく分からなかったが、覚悟くらいは決めようか、と思った。
――また・・・会いたいな・・・
二人の仲は、この数分で急接近した。
ゼロの意識はユフィでいっぱいだった。
ユフィとの談話をただ見ていた周辺の兵士たちが、ユフィの姿が見えなくなるとゼロの下に殺到した。口々に、尊敬や、僻み、煽て、茶化しなどを言ってくる。でも、それらはゼロの耳には届かなかった。必要最低限外の声は意識的に無視できる、耳まで届かせなくできるのだ。それも、修錬の賜物である。
だが、反面の意識には、ゼロの戦士としての本能が湧き上がっていた。こんなんでいいのか?戦場で女の子にうつつ抜かしてられるような自分なのか?と。その中には、さっきのユフィの言葉が気にかかり、戦えば忘れられるだろうという期待もあった。
そして、ゼロは周囲を振り切り、総軍務司令官、ガイ・スイトリンの下へ急いだ。
「・・・そんな・・・嘘ですよね・・・?父さんが・・・父さんが死んだなんて!!?」
ガイの下へ駆けつけたゼロは、ガイの神妙な顔付きに不信感を抱き、尋ねてみたのだ。そして知らされた現実は過酷なものだった。
父、ウォービルの壮絶な戦死。只でさえ人手不足の最前線なのに、その手薄な戦力で敵精鋭部隊に斬り込ませるという無謀をやったらしい。なんでも、ウォービルの指示らしいが。しかし、それはゼロにとって不思議だった。
父は、誰よりもエルフを愛し、国民を愛し、兵士に好かれていた。その父が圧倒的戦力差の軍勢に挑むとは考えられない。単騎突撃で戦死なら理解できたが、部隊全滅である。ゼロには、それが不思議でならなかった。
「・・・司令・・・父は、いえ、ウォービル突撃部隊長は・・・本当に自分で命令したのでしょうか・・・?・・・ありえない・・・・父さんに限って・・・そんなことありえないんだよ!!」
ゼロは荒れた。まだ、15歳だからもあるだろう。
――これが・・・ナターシャの・・・星詠み・・・?・・・超えろってのかよ・・・この苦しみ、哀しみ、理解不能を・・・ユフィ・・・
その時、何故かは分からないがゼロの脳裏にユフィが浮かび、作戦司令官にフォーグ・ナターシャ卿の星詠みを用いるという話を思い出した。
――これだけデカイ戦争だ・・・藁にも縋る気持ちだろうな・・・。それで星詠みの力を使わない手はないよな・・・?だったら・・・もしかして・・・?
ゼロの脳裏に思いつきたくなかった、信じたくない、何故思ってしまったんだ?というような想像がでてきた。
――・・・謀反・・・裏切りか・・・?・・・ナターシャ卿が・・・。そうだ・・・もし星詠みでエルフの負けをあの人が見ていたとしたら・・・。・・・でも、オレに止められるか・・・?ナターシャの守護神、シックス・ナターシャを倒せるのか・・・?
シックス・ナターシャはユフィの兄に当たる人物で、星詠みの力を使う槍術使いで、流星シックスの名で通る若手戦士の最優力候補である。その実力は、いまだ5度の戦いを全て無傷で戻ってきているというのだから折り紙付きである。
『ゼロなら超えられる・・・。私は・・・信じてる』
しかし、ゼロの胸にユフィの言葉が蘇ってきた。ゼロの胸に、何かが込みあがってくる。これを成功させなば、ナターシャの力は人間の側に行き、エルフの勝機は0になるだろう。誰にも知られなく、武功にもならないだろうが、エルフを愛した父への手向けと、父の敵討ちがあれば、理由は十分だった。
――・・・ユフィ・・・オレは・・・超えてみせる・・・そして、星詠みも超えてみせる・・・
「・・・ゼロ・・・・・・」
ガイが何か言おうとしたが、ゼロの耳には届かなかった。一刻も早くナターシャ卿に追いつかなくては、逃げられるかもしれないと思ったのだ。
自分の直感で動く。若い兵の多くがこれで、直感の行動で死ぬ。反面、これを乗り切れば出世できることが多い。
「・・・司令!軍法会議にでもなんでもかけてもかまいませんから、オレを止めないでください!!」
ゼロは猛然と走りだした。最近は嫌な予感ばかりするようだ。
「・・・あれも・・・若さか・・・ウォービルよ・・・お前の息子はハチャメチャだな・・・。昔のお前にそっくりだよ・・・。オレも年をとったなぁ・・・。老兵は、語らず逝きたいものだよ・・・。だが、エルフの一翼になったオレには叶わぬことか・・・。ウォービル・・・お前の息子が、竜を目覚めさせエルフの担い手となるか、竜を眠らせたまま死ぬか・・・。見守ってやったらどうだ・・・?」
一人司令部に残ったガイは・・・感慨に更けていた。
未来のエルフを、一人の少年に託して・・・。
ただひたすらにゼロは走った。依然として見えてはこないナターシャ卿たちを。
――ユフィ・・・お前を・・・謀反人の娘にはさせない・・・!!
ナターシャ卿ら一行は、フォーグ卿と、妻ナリエ、息子シックスに娘ユフィと僅か4人で隠密に人間軍の待つ合流地点へと向かっていた。ユフィの足取りは重い。
「・・・父様・・・本当に、人間たちは私たちを迎え入れてくれるのでしょうか?」
ユフィが哀しそうな表情で言った、いや、呟いたというのが正しいだろう。
ゼロと会話していたときのような溌剌とした美しさはなく、ただの置物のような美しさのみが残っていた。
ユフィは、この案に反対だったのだ。いくら家名を保つためとはいえ、エルフを裏切りたくはなかった。エルフで果てるのも、運命と思っていた。しかし。
「・・・親父の星詠みの結果だぜ?・・・ユフィ・・・信じないのか?」
兄、シックスが言った。
ユフィはシックスが嫌いだった。星詠みを己のためだけに使う兄だからだ。シックスとゼロなら、迷わずゼロのほうが好きと言えるだろう。
――これだから・・・
ユフィは逃げ出したくなった。この現状から。ナターシャの家名から。
――ゼロ・・・助けにきて・・・
ユフィは、星に祈った。
しかし、ナターシャ一行は確実に歩を進めている。
――くそっ!どこだ!?
ゼロは苛立ってきた。何かを感じて走ってきたのだが、人っ子一人見えてこないのだ。
――間違えてはいないはずだ・・・
その時。ゼロは歩いてきているナターシャ一行を見つけた。ゼロは己の感じたものに感謝した。
「・・・オレは・・・勝つ・・・。星詠みに・・・勝つ・・・!!」
ゼロが戦闘態勢で斬り込んで行った。
それは、完全な奇襲の、筈だった。だったのだが、ゼロが感じたのは肉を断つ感触ではなく、金属と金属のぶつかり合う重い感触だった。
キィィィィン!!!と、甲高い音が響き渡る。ゼロは、何よりも完全な奇襲が失敗したのがショックだった。星詠みの力を、目の当たりにしたのである。
――くそっ!なんてこった!?余裕で防ぎやがった・・・
だが、戦闘に関する英才教育を受けたゼロはその気持ちを戦場で表すことはない。驚き、油断、慢心などは、一直線に死に直行である。この年で、と考えれば末恐ろしいものもあるが。
「一般兵が!我らの前に立ち塞がるとは・・・身の程をわきまえよ!!」
シックスがナターシャ卿たちの前に立ち、怒鳴り散らした。ユフィは俯いていて、ゼロと視線を合わせようとはしないようだ。
――ユフィ・・・?泣いてるのか・・・?
気になったがまずは目の前のシックスをどうにかせねばならない。
「五月蝿い!!貴様らが・・・貴様らの作戦がオレの父さんを殺したんだ・・・!!お前らが生き残るために・・・!!父さんはぁぁぁぁぁ!!!」
もう、何がなんだかゼロには分からなかった。目には涙が溢れ、身体が勝手に戦っていた。
ゼロが右に、左にと斬り込む。その度にシックスは一歩下がりその刃を止める。辺りには、ゼロの剣とシックスの槍がぶつかり合う音しか響かない。
ゼロの行動を、シックスは戦いながら星詠んだ。そして、打って変わっての反撃に出た。顔を狙って槍を突き出せばゼロはしゃがみ、かわす。間髪入れずに足払い。しかし軽く跳ねそれもかわした。着地の前にシックスは槍を顔めがけて突き出したが紙一重でゼロは避ける。
――どうなっている?なぜ避けれる!!?
今度は、シックスが困惑した。
シックスの攻撃で、もうゼロは何回も死んでいる、筈なのだ。なのだが殺すどころか攻撃が当たらない。次第に乱雑な攻撃になってくる。
けっして、シックスが無能なのではない。戦いながらの星詠みなど、相当の集中力が無ければ可能ではない。また、シックスの一撃一撃は正確無比で、急所狙いという基本も忠実に守っている。素人は当てることしか考えれないから、滅茶苦茶なのだが、玄人は最低限の労力で相手を殺す。当然シックスは玄人だ。敵の動きも詠んでいるのだ。なのに、なのに攻撃が当たらないとすれば。
――動きが・・・オレの詠みより速い・・・!?
ゼロの動きは、人間の速さを超越していた。有り得ない、とも言える速さである。こうなれば戦士としての英才教育を受け、あらゆる状況下で生き残るための訓練を受けたゼロと、星詠みの力に頼って勝ち残ってきたシックスでは話にならない。
ゼロは、隙だらけのシックスの背後に回りこみ、後頭部を蹴り上げ、蹴り上げた脚でそのまま踵落としを浴びせた。
シックスが倒れる。脳震盪だろう。
ゼロが・・・星詠みを超えた瞬間である。
「ゼロ!!」
ゼロの元にユフィが走って飛びついて来た。ゼロは、しっかりと支えた。ナターシャ卿と、婦人が信じられないといった表情でゼロを凝視している。
「君は・・・何者だ・・・?」
ナターシャ卿が呟くように尋ねた。ゼロはユフィを抱いたままというのが気になったが、睨むような表情でナターシャ卿を見た。ユフィには、見えないように。
「オレは・・・ウォービル・アリオーシュの息子、ゼロ・アリオーシュです・・・。ナターシャ卿・・・素直に、投降してくれますよね?・・・オレは・・・ユフィを哀しませたくないんだ。貴方たちを、傷つけたくない・・・」
「アリオーシュだと・・・!?・・・そうか・・・すまなかったな・・・。君の父上は・・・私が殺したようなものだ。馬鹿な作戦を信じさせてしまったのだよ・・・」
ゼロは、不思議とすぅーっとした気持ちになった。
「英雄の息子も、また英雄か・・・。迂闊だったなぁ・・・。まさか君のような若造に、我らの星詠みが敗れるとは・・・。いや・・・しかし、近未来必ずエルフは敗北を喫するぞ?君にそれがとめられるのか・・・?」
ゼロに、迷いなどはなかった。
「・・・オレは星詠みに勝ちました。それは、未来、決まった運命を変えたに等しいことです。だったら、その未来も変えれるはずです。想いは、運命を覆します。オレは・・・そう思います」
ゼロの真っ直ぐで、純粋な瞳に、フォーグは完敗を悟った。
「若さ、か・・・。いや・・・我らも馬鹿な真似をした。素直に地下牢に入るとしよう」
ゼロは、ようやく安堵の気持ちを感じた。
数時間後。エルフ軍治安部隊がナターシャ卿らを連行。第三種反逆罪で懲役200年。無期懲役に等しいものを宣告された。ユフィは、ゼロの頼みで免罪されたが、ユフィ本人の希望で王城へ軟禁扱いとなった。曰く『ナターシャの一員として、裁かれねばなりません』らしい。
そしてゼロはこの手柄によりエルフ軍王国騎士団西方面遊撃部隊〈フリーナイツ〉の副団長という異例の早さでの王国騎士となった。また同時に戦爵の官位も頂戴し、貴族となった。
しかし、ゼロにとっては辛い戦いとなって終わってしまった。唯一の肉親だった父は死に、ユフィとはもう何時会えるかすら分からないのだ。
戦争は、哀しみを生み、その哀しみが怒り、絶望を生み、また戦争を引き起こす。
決して終わらない、ループ。
そして、エルフと人間の戦争に、まだ終わりの兆しは見えなかった・・・・・・。
オレは・・・何を手に入れたんだろう?
何をしたんだろう?
大切なものを・・・失っただけじゃないのか・・・?
なんで、戦ったんだろう・・・?
オレは・・・オレは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、ゼロはまたユフィと再開を果たすが、それはまた、別なお話・・・。
人には、運命までも変えられる、無限のパワーが秘められている。そのパワーを覚醒させれるかは、個人個人だが、誰しもが持っている、可能性。それを、忘れないでほしい・・・・・・。
完
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