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遥統番外編19
誰がためのレクイエム
聖女と呼ばれる女性がいる。
その可憐で、今にも散ってしまいそうなほど儚く美しい容貌と、ありとあらゆる者の心に届く歌声を兼ね備えた、森の歌姫マリア・フィーラウネ。
東の下流貴族という出自ながらも、彼女への待遇は優遇を極めていた。
その最たる理由が、大戦における兵士鼓舞のための歌声による政略且つ戦略的プロパガンダだった。
ムーン・クールフォルトの魔法による洗脳と、その洗脳をより強いものとするための彼女の歌。
この2つが揃ったからこそ、東は連合軍と対等に戦えたとも言えるだろう。
無論、彼女自身がこのことをどう思っていたかなど、言うまでもないのだが。
多くのエルフが平和の礎となり、散って逝ったあの大戦から1年が過ぎ、森は白に支配される季節になっていた。
牡丹雪が降り続く中、美しい緩やかなウェーブのかかった金髪が、揺れていた。
雪が降っていることなど全く気にしていないかのように、マリア・フィーラウネは歩いていた。
目的がはっきりしているのか、足取りは揺るがない。
彼女ほどの者が馬車を用いず、従者も連れていないというのは少々意外な事態であったが、彼女がそれを気にする素振りは全く見せない。未だ消息不明の英雄ゼロ・アリオーシュが築き上げた平和を信頼しての行動なのだろうか。
彼女が今歩いているのは、フィーラウネ家がある東、ではない。連合軍で総大将の立場を取るも、東西南北の王となることを拒んだ西だ。
大戦後、国王不在の西だったが、王妃ユフィ・アリオーシュと宰相ベイト・ネイロスを中心とする家臣団の支えにより、国政は安定した。治安の面で、東西南北随一のレベルと言っても過言ではない。
そんな西のシンボル、ホールヴァインズ城を目指し、マリアは歩き続けた。
大戦を終えた西は、軍の改革を行った。西の代名詞とも言えた“虎狼騎士団”を廃止し、新たに親衛隊を設立。さらに既存の近衛騎士団の拡張を行い、王立騎士団の増強を図った。元々虎狼騎士団に所属していた者の大半を王立騎士団へと編入し、国防の主たる部隊としている。諜報部は、変わらないままだ。
マリアが城門に到着すると、城門の所で毛皮のコートを着た女性が待機していた。
「マリア・フィーラウネ様ですね?」
女性、まだ少女とも言えるエルフがそう尋ねる。
「ええ」
「アーファ・リトゥルムと申します。お待ち致しておりました。どうぞ中へ」
短い言葉なのだが、何か力強さを感じる声でマリアが答える。想像以上の声だったのか、一瞬聞き惚れたように動きを止めた少女、アーファだったが、すぐに気を取り直し、落ち着いた態度で開門を命令、彼女を城内へと招き入れた。
城内の暖かさに、衣類に付いていた雪たちが溶け、コートをべっとりと萎えさせ、髪を濡らした。濡れた髪が逆に色っぽく、女であるアーファが思わずドキッとしてしまう。
「いいお城ね」
着てきたコートをお側のメイドに預け、少しだけ城内を見まわし、マリアがそう呟いた。
「ありがとうございます。そのお言葉、陛下もお喜びのことでしょう」
「陛下……あぁ、ゼロのことね」
東において、彼女の陛下はライト・クールフォルトである。一瞬の戸惑いも仕方ないか。それ以上に、貴族学校時代の同級生であるゼロ・アリオーシュがそう呼ばれるようになったことの方が不思議だったのかもしれないが。
「設計は彼が?」
「はい、設計のほとんどを陛下がなさったとのことです。武術だけでなく、多方面で才能を発揮する、やはり陛下は素晴らしい方です」
まるで自分のことのように嬉しそうに話すアーファを見て、マリアも少しだけ口元を緩ませた。
ここまで家臣に愛される君主である級友のことを思い出すと、少々意外な気もするが、悪い気はしない。
「貴女、年はいくつ?」
「先日15になりました」
ということは、マリアより3つ年下だ。自分も見た目より幼く思われがちな小柄な身体だが、アーファはそれ以上に幼く見える。まだ貴族学校に通っていてもおかしくはない見た目だ。
「ゼロとの接点は、剣術部とかなのかしら?」
「はい、せんぱ……じゃなくて、陛下には半年ほどですが、直々に剣術を教えて頂きました」
思わず“先輩”と口にしそうになる辺り、よほど貴族学校時代が楽しかったのだろう。マリア自身は器楽部に所属していたため剣術部のことは全く分からないが、彼女の表情を見れば何かしら伝わってくるものがあった。
「こちらで、王妃たちがお待ちです」
豪華な扉を示され、マリアは足を止めた。応接間、なのであろう。各国の王族貴族を招待するためか、かけられた費用は想像しがたい。
「ありがとう、機会があればまた会いましょう」
再び少しだけ、心なしかの笑顔で、マリアはアーファを労った。
一礼してアーファが去っていく。
マリアは少し間をおいて、扉を叩いた。
よくよく考えれば、別にアーファが側にいても悪くなかった気がする。
「マリア・フィーラウネです」
その声に反応してか、扉はすぐに開いた。
扉の向こうで彼女を待っていたのは、西の錚々たる顔ぶれだった。
国王の不在を健気に支え続ける、傾国の美女、ユフィ・アリオーシュ王妃に、宰相ベイト・ネイロス、さらに西の経済部門を一任されているミシェリラーナン・ニークター、親衛隊隊長テッセン・イノーモル、近衛騎士団団長エキュア・コールグレイ、王立騎士団団長ライダー・コールグレイ、諜報部団長マリメル・カトラス。
現西を支える重鎮の多くがこの場に同席しているのである。東のマリアとて、全員名前は聞いたことがある顔ぶれだ。ベイト、ミシェリラーナン、ライダーは貴族学校時代の同窓生であるが。
「ようこそ御出でくださいました、マリア先輩」
ユフィが歓迎の意を表する。先輩、という呼称を用いた時点で、堅苦しい話ではないのだろうか。堅苦しくない話にしては、集まっているメンバーが堅苦しすぎるが。
「要件は何?」
フランクな口調のユフィに合わせ、敬語を辞める。表情の乏しいマリアにとって、昔から敬語はあまり得意とするものではなかった。
「東西南北全体で運営する機関として、“ピースメーカー”という機関を作ることを西を中心として計画しています。そこでその代表をマリア先輩、貴女にお願いしたいのです。戦争のために歌った歌を、今度は平和の為に」
「……気乗りしないわ」
実際、ユフィとマリアの立場、身分を考えれば、マリアに選択の余地はない。
だが、キッパリと否定の意を示したマリアに何人かが目を細める。
「人に歌わされるの、嫌いなのよね」
その答えに、ユフィは苦笑した。
「流石、予想通りの答えです」
彼女の性格はある程度知っていた。有名人だから、というのもあるが、同窓生が味方にいる、というのが大きかった。それらの話をまとめた結果は、今のマリアの答えに他ならない。
「ですが、東の兵士として散っていったエルフの数は、ムーン台頭後だけでもおおよそ8万は下らないでしょう。彼女の洗脳魔法に協力していた貴女だからこそ、この役目を務めて頂きたいのです」
マリアの歌が、ムーンの魔法を助長させていた、この事実は一般的には隠蔽されている事実だ。彼女の人気を鑑みると、その事実を広め彼女を悪と思わせるよりは、隠蔽し、そのまま聖女として扱う方が利点も多い。
「それは脅しと取っても構わないのかしら?」
「ご自由に」
マリアの冷たい視線を受けても、ユフィの微笑は崩れない。
「理想だけでは政治が出来ないってことは、この1年で学ばせてもらいましたから」
その言葉に、他の重鎮たちが苦笑したり、視線を下げたりする。
王妃とは言っても、まだ17歳の女の子には変わりないのだ。やはり彼女は、強い。
「血塗られた手で出来るのは、最良を選びぬいていくことくらいなんだよね」
ベイトがそうぼやく。戦場に立った以上、真白な手ではいられない。だからこそ、自分たちに課せられた役目も見えてくるのだ。
「貴女は戦争と係わり過ぎた存在です。1から10まで全ての自由を欲するには、それ相応の行為を為したあとにしてもらわないと」
ユフィの微笑みの裏に、得体の知れないプレッシャーを感じる。
マリアは首を振った。
「ゼロの選んだ女性とは思えないほど、怖い子ね」
「それはどうも♪」
「でも、ゼロには貴女のような女性が必要ということかしら?」
「そういうわけでもありませんよ。ああ見えてゼロの頭の回転もかなりのものなんですよ?」
マリアのゼロのイメージは、大戦中は全く会っていないため、貴族学校時代の少し何を考えているのか分からないというイメージが強い。やはり、何年も寄り添ってきた彼女にしか見えない部分があるのだろうか。
「……歌いましょう、あの虚しい大戦で散っていった人々のために。生き残ってしまった私たちの贖罪のために……」
決断した彼女はしばしの黙祷が、決断してくれた彼女には、敬礼が捧げられた。
旅立って行ったあなたたちが
迷わず行けるように
この歌を
旅立って行ったあなたたちが
安心して行けるように
この歌を
あなたたちの生と引き換えに
わたしたちの死と引き換えに
旅立って行くあなたたちに
この歌を
誰がための
鎮魂歌を
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