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昨年6月
、ここで政府が発表した
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
について触れました。
「洋上風力発電」「太陽光発電」
とベースロード電源として
「地熱発電」
に注力するというで指針。
その後もこの指針で進んでいますよね。
日本風力発電協会は
日本全体のピーク時使用電力は約180GW程度、
着床式洋上風力発電所の設置で 約128GW
浮体式洋上風力発電所の設置で 424GW
洋上風力発電だけで計552GWとピーク時使用電力の3倍ものポテンシャル
を
日本は風況として持っているとアピールされている 若しくは いたようです。
しかし、陸上風力発電よりも洋上風力発電設備のほうが建設コスト・運転維持費も
かさみます。
また、風車が故障した場合の修理でも、海が荒れている状況では作業員が
風車に乗り移ることができず、設備利用率に影響を与えてしまうという
ケースも多々ある模様で、 確保困難なポテンシャルばかりを過剰にアピール
する姿勢は少々不安になります。
また、以前も触れたのですが、洋上風力発電でも
日本は 遠浅の海岸が少ないため、比較的安価に建設できる着床式洋上風力
発電設備を建設できる場所は少なく
、風力発電による目標発電量確保には、
浮体式発電設備の増設が必要となっています。
資本費、運転維持費、設備利用率などは全て電力単価に効いてきます。
先行する ドイツやフランスでは風力発電の供給単価が 7.4円/kWh程度
ですが
日本の陸上風力で現在12~18円/kWh
で横ばいですが、 2030年
には
平均的な発電コストで 8~9円/kWhを目指しています。
一方、 国内洋上風力発電
は、スタートが遅かったこともあり 2030年発電コスト
が 20円/kWh 以下
を狙い取組んでいる状況
で実際に消費者が使用でき売る
他の発電方式に比べ競争力のある電力として育つには、まだ、時間がかかりそうです。
その中、経済産業省が 621億円をかけ日立製作所と三菱重工業がそれぞれ開発・製造
を行った福島県沖の実証試験機3基は、 目標とした設備利用率 35%
に対し、
➀ 日立製作所製 2MW ふくしま未来
(運転開始H25.11月、運転期間4年8か月)
稼働率: 94.1%
設備利用率: 32.9%
4-カラムセミサブ浮体
② 日立製作所製 5MW ふくしま新風
(運転開始H29.2月、運転期間1年5か月)
稼働率: 61.3%
設備利用率: 26.2%
アドバンストスパー浮体
③ 三菱重工業製 7MW ふくしま浜風
(運転開始H27.12月、運転期間2年7か月)
稼働率: 16.4%
設備利用率: 3.7%
V字型セミサブ浮体
という結果でした。
※ 日立製作所製の増速装置が固定ギア方式なのに対し、 三菱重工業製
の増速装置は
可変油圧式と、独自のシステムを採用したのですが 油圧
ドライブが正常に動作
しなかった
ために、この設備利用率となったとのことでした。
Fig-1:洋上風力発電の設置方式 出典:TBS NEWS DIG Bizスクエア資料
Fig-2:浮体式風力発電設備の種類
出典:地産地消型浮体式洋上風力発電シンポジウム
木下健 東京大学名誉教授 基調講演 資料
上記の福島県沖の実証試験結果としては、3基共に 故障率が高く
、浮体式は
先に記したように 海が荒れると作業員が風車に乗り移っての修理ができない
場合も多く利用率に影響を与えるという問題点も露呈したそうです。
この3基については、設備利用率が目標値未達などで事業化を断念。
試験後設備についても引取り先が無く既に撤去されてしまっています。
なお、日立製作所や三菱重工業は本事業からの撤退を表明ししまっています。
一方、環境省で推進してる浮体式風力発電プロジェクト 「はえんかぜ」
は
現在も運転継続中とのことで、うまくいってるとの報告もあるようなので
少し調査考察してみました。
「はえんかぜ」
は 五島市 崎山漁港の沖合に設置
しています。
2013年に実証実験を開始
し、 2016年に商業運転を開始
。
この風力発電装置の特徴としては、
Fig-2に示す ハイブリッドスパー構造を採用
しており、
浮体の大部分は海面下に沈んでいる構造。
浮体の上部はスチールで、下部はコンクリ―ト製。
上部より下部が重いことで重心を浮体の中心より低くし、浮体自体が
十分な重量を持つことで、起き上がりこぼしの原理で安定しており、
風速53m/sec、波高17mの台風にも耐えた実績があります。
重量:3,400トン うち1,400トンはバランスをとるための錘
※ コンクリ―トの使用で材料費が削減
できるとのことです。
「はえんかぜ」
の
風力発電機本体は日立製作所HTW2.0-80
定格出力:2,000kW
発電機側から風を受けるダウンウィンド型
※前記の「ふくしま未来」にも採用された風力発電機です
Fig-4に 「はえんかぜ」
全体構成と係留方法の図を引用させていただきました。

Fig-3:崎山沖2MW浮体式洋上風力発電所 出典:戸田建設
Fig-4:「はえんかぜ」の全体構成と係留方法 出典:戸田建設
「はえんかぜ」
で採用されたスパー型の問題点は、タグボートなどで
設置場所まで曳航できず、専用の台船を建造する必要があるとのことで
今回は環境省の補助金で、台船「フロートレイザー」を
建造しました。
「フロートレイザー」はバラストタンクに注水することで船体の大部分が
海面下に沈む機能を持っている船。
全長 110m以上で5,000トン迄の貨物を運べる特殊台船で、このような
台船が必要となることが、風力発電機は 1万kW以上が主流であるため、
台船の全長や可搬重量もかなり大型化が必要となることが問題とされ、
構造上設置する場所の水深も 200m程度は必要でかなり沖合になるため、
陸迄の送電コストの面でも問題がでるものとされています。
また、先に記載した経産省で行った福島県沖設置の
実証試験で、事業化NG
と判断された要素、
メンテナンス性を含めた設備利用率などの点に対し
課題を克服されていることを示す
データなどは非公表とされていて確認
できませんでした。
秋田県の洋上風力発電は米GE製 発電出力12.6MW
富山県で設置する予定は 中国 明陽智能製3MWの量産型設備とされてます。
この分野においては日本の技術力が劣っているからとされているのですが
個人的にちょっと信じがたいです。
また、 国内の エネルギー供給設備およびそのメンテナンス管理
を 他国にゆだねる
ことは
絶対に避けなければならず
元々課題が多い浮体式風力発電所の増設による対応を考えていた部分について、
他の発電方式へのシフト
を考えるなどの修正が必要と思います。
洋上風力発電所の建設に当たっては、該当海域に複数の風力発電機を設置すること
になるとともに、係留チェーンや送電ケーブルなど、海面下の障害物も広範囲に
わたり設置することになります。
設置により漁場が奪われる漁師の方も出ます。 大型沖合養殖などの提案も行わ
れているとは思いますが、漁場や領海防衛等で洋上風力発電所の建設が絶対不可
とされる海域に対しては、海域
占有利用不可海域に指定するなどして、
洋上風力発電で真に実現可能なポテンシャル
を明確にし、風力発電電力量目標を
見直す必要があると思います。 猶予が無い状態で可能性の低い方策に対し、
期待値だけで計画を策定する企業はありませんよね。
<参考情報>
1)スマートジャパン 2016年4月21日記事
「日本で初めて浮体式の洋上風力発電所が営業運転」
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1604/21/news033.html
2)福島沖での浮体式洋上風力発電システム実証研究総括員会の検証結果と提言 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/new/information/180824a/pdf/report_2018_01.pdf
3)風力発電について 資源エネルギー庁資料 2021年11月
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/063_02_00.pdf
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