つづりがき

つづりがき

PR

2025年02月07日
XML
カテゴリ: 知識庫
11世紀イギリスはコヴェントリー。
領主の伯爵レオフリックは領民に重税を課そうとし、それを諌めたのが夫人のゴダイヴァだった。
レオフリックは「裸で馬に乗って街を行進したら願いを聞いてやろう」と言ったら、気の強かった夫人はそれをやってのけ、領民は税の重圧から守られたという逸話がある。

あるが、これはあくまで伝説的な話。歴史家はこれを史実ではないと否定している。
しかし、このゴダイヴァ夫人の伝説がロゴとなってベルギーのチョコレート「ゴディバ」ができている。

この伝説に尾鰭がついて、ゴダイヴァ夫人の行進を見た領民がいたんじゃないかという想像をかきたてられ、「その行進の日に合わせて役人の命令で領民は皆家に引き篭もり外を見ないようにと言われていた」という設定まで作られ、にもかかわらず「覗き見をした奴」がいたんではないかという架空の登場人物まで想像され、その覗き魔に仕立屋の「ピーピングトム」というキャラ設定が付けられ、見てはいけないものを見た者の天罰として目が潰れたというオチまで込みで創作された。

「重税などなければいいな」という思いが庶民の味方の伯爵夫人像をこしらえ、裸で馬に乗り行進などという都市伝説を生み、さらにそれを覗き見した奴という想像上の人物「ピーピングトム」が爆誕したのだから、人の想像力というのはすごいものだということを改めて感じる。

街を馬に乗った裸の伯爵夫人が行進すると言われたらそりゃ見たくもなるだろう。 おそらくは 「裸の伯爵夫人が馬に乗って走るから見るなよ」とは言わなかったはずであり、事情を知ってて見たタイプの覗き魔ではないと思うのだがそのへんがどうなのかはわからない。「おそらくは」と私が言い出すのは、つまり憶測ということだし、こうした憶測が都市伝説や架空の人物の話を膨らましていくことになるのだ。だから歴史家さんたちにはちゃんと否定してもらいたいものだ。


ピーピングトムはかなり架空の感じだが、覗き魔を意味して今では死語になっている「出歯亀」の方は実在のモデルがいる。
明治時代の東京。大久保の銭湯近くの空き地で女性が殺害される事件があった。女湯の覗き見をしていた植木職人の池田亀太郎が犯人として逮捕された。この人が出っ歯であったことから好色的な覗き魔のことを「出歯亀」というようになったのである。

ただし、覗きをしたから殺人もしたはずだ、というのはかなり飛躍した話であるし、どうも警察に自白を強要されたみたいな話も出ている。これは近年でいうところの袴田事件のような冤罪事件ではないかという考察もある。この殺人の犯人は本当に池田亀太郎だったのか。このへんも想像力をくすぐる話ではある。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025年02月07日 00時48分51秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

コメント新着

ノーシス @ Re[1]:人生を生き抜くには敵が大きすぎる。(03/26) かつてノーシスであったものさんへ いい…
かつてノーシスであったもの@ Re:人生を生き抜くには敵が大きすぎる。(03/26) ログインすることができなくなったため、…
ノーシス @ Re[1]:真のリアリスト。(09/23) >むのmのさんへ この記事が書かれた20…
むのmの@ Re:真のリアリスト。(09/23) 収容所のウイグル人に現実を受け入れろと…
AtLAS999 @ Re:ルクスのよわよわ将棋(34)。(06/18) 将棋とはまたどう言った風の吹き回しです…

フリーページ


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: