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Mar 1, 2017
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http://goo.gl/nhJwyO猫とボクシングと私 2016.04.28マッチメイクに殺された内山、されど称えたいプロフェッショナル4・27東京・大田区総合体育館「THE TRIPLE TITLE MATCH」 ▼WBA世界Sフェザー級王座統一戦 12回戦 暫定王者・ジェスレル・コラレス(パナマ) 2回2分59秒TKO スーパー王者・内山高志(ワタナベ) ▼WBA世界フライ級タイトルマッチ 12回戦 王者・河野公平(ワタナベ) 3-0 同級7位・インタノン・シッチャモアン(タイ) ※3者とも119-106 ▼WBA世界Lフライ級タイトルマッチ 12回戦 王者・田口良一(ワタナベ) 11回終了TKO 同級7位・ファン・ランダエタ(カシミ) ▼8回戦 日本ヘビー級王者・藤本京太郎(角海老宝石) 3-0 ネイサン・マッケイ(豪州) ※80-73、80-73、80-72 視聴率は関東平均で7.8%。これは同時間帯に放送され8.3%だった昨年5月の「内山×ジョムトーン、田口×クワンタイ」と比べると下がった。 内山がわずか2ラウンドで倒された。3度のダウンを奪われTKO負け。地に足が着く前にやられたという印象だ。結果論だが、内山はサウスポー相手に苦手とまではいかずとも攻めあぐねるところが不安材料はあった。試合前の記事で「サウスポー相手のディフェンス面に不安」という一文を差し入れていたのは、内山が後ろ重心によるパーリングがディフェンスの主体となっているため、サウスポーの左が当たりやすく、どうしても攻めが遅れる点だった。これはファレナス戦でも見られたことで、相手が捨て身で放った左フックを浴びていた。ここ2戦はそのサウスポーが相手だったが、ジョムトーンとフローレスともに内山のジャブが当たる距離にいて、動きがないまま倒されている。2試合とも2ラウンドで終わっていたから、十分に見極められないところもあったが、これに比べコラレスはスピードある大振りで体力のあるうちに勝負をかけていた。内山は自分のスタイルを作る前にラフに仕掛けられてしまい、1ラウンドに右フックを被弾、場内に悲鳴を響かせた。 2回、距離を測りながら右を出したときに、それより早い相手の一撃がもろに入ってダウン。立ち上がりかけるも一度、グラッと崩れダメージは深刻。ロープを手に立ち上がっても足もとがよろめいていて、目もうつろ。追撃で再びダウンさせられたが、これは不運にも相手のヒジが当たってもいた。前のめりに崩れた内山に、セコンドからは「クリンチ!」の声。これに従う場面もあったが、内山自身は「やり返したい気持ち」で中途半端に応戦。拍子木が鳴ってこのラウンドはしのいだと思われた瞬間、強引に腕を振り回してきた相手に力なく倒され、これが「残り1秒」の時間内だった。内山 「まだ温まる前に終わってしまったんで、何が何だかというか。実力の世界なんでしょうがないですよ。(ダメージは)大丈夫です。距離がやりずらくスピードもあるなと思いました。もらった後は冷静にやろうと思っていたんですが、体はそうもいかず。だいぶ落ち着いたんですが、一発やり返そうと思う気持ちが出ちゃって、前へ出ようと思ったところをもう一発。完全なKO負けです。(進退は)まだ何も考えていないですね。何も決めてないです」コラレス 「最高に幸せな気分です。タフな試合になると覚悟していました。KOは狙っていいませんでしたが、チャンスが訪れたんです。内山はハードパンチャーなので右を気をつけてました。パワーをつけて、パンチをもらわずに打つ練習をしたんです。ダウンを奪ったときセコンドに落ち着けと言われたのがよかったです。試合が終われば内山も同業の仲間です。自分が負けても同じに思ったはずです」 相性の悪い相手で、内山は「実力差」と結論付けたが、戦前「ピンと張っていた糸が切れた。モチベーションが下がった」と言ってはいた。ウォルタース、フォルトゥナと対戦相手が二転三転し、試合時の本人こそ悪影響を否定していたが、はたから見ればそうは見えなかった。そもそも、世界的に知名度が高いとは言えないコラレス戦で取りこぼしをさせてしまったのは、陣営のミスともいえる。これでウォルタース、フォルトゥナとの対戦はほぼ消滅。「UCHIYAMA WORLD BIG MATCH Vol.I」なんてサブタイトルの興行で先の皮算用をしていたのは、明らかにビジネス面を優先していたからで、本気で大物とやらせたければフォルトゥナ戦を回避しなければよかっただけ。コラレス戦は内山陣営が持ち出してWBAに許可を得たものだが、大風呂敷を広げた手前の取り繕いにしては難敵を選んでいて、それが内山に「いま絶対に喫してはならない1敗」の可能性を広げていた。会場にいたボクシング関係者が「やれるときにやらないから、こうなる」と言った。選手は生身の人間であり、内山も超人ではない。特に彼はハードな練習で自分を追い込む努力型。そういうタイプが負傷を乗り越えながらも必死にたどり着いた12度目の防衛戦だったのに、昨年2試合が圧勝だったから、陣営に危機感が薄れていたのかもしれない。長谷川穂積がフェルナンド・モンティエルに倒されたとき、「もう少し早く実現していれば」と言った関係者もいた。実力負けと言えばそうかもしれないが、痛み止めを打つようになってからのビッグマッチであったのはたしかだ。「選手」よりも「興行」が優先されるプロの世界ならではのジレンマがある。日本のボクシング界はその「興行」も海外と比べれば規模が小さいから、ちょっと強いのとやればハイリスク・ローリターンになってしまう。 この敗戦は、コラレスに負けたことより、内山に期待していた路線が潰れたことの方がショックだ。身もふたもない言い方を承知で書くが、こういう初黒星は4度か5度目の防衛戦で訪れていた方がよかった。なぜこのタイミングで、ということ。アメリカのリングで「タカシ・ウチヤマ!」とコールされるのを夢としていた中では、ファンも本人同様に悔しいところ。動きに衰えが見られての敗北ではないから再起は十分可能だが、この状況から36歳の元チャンプが短いスパンで同じ道に戻るにはどうしたものかと考えてしまう。プロモーターに力があれば選択肢は広がるが、後ろ向きなマッチメイクが並んだ世界戦興行だっただけに、なお頼りなさも否めない。 予想アンケートでは、コラレスKO勝ちは195人中わずか15人。中でもローリングクレイドルホールドさんは「モチベーション低下、サウスポー 打たれ強くない」を根拠に「サウスポーに目が慣れていない序盤でのKO負け陥落」と的中。ほか、ICEさん、花子さんがヒット。カジノで賭けていたら5倍ぐらいの勝利になった。 河野と田口の防衛戦はともに、「挑戦者が何ラウンドまで頑張るか」という試合だった。ノンタイトルのかませ犬と違って、力不足の挑戦者でも強い意欲で望んでくるのは当然だが、世界チャンピオンがそこに格差を見せないと面白くはない。勝敗がひっくり返るような可能性は限りなく低いのだから。 河野は以前よりパンチがコンパクトで精度が高くなっていた。それは相手の動きがあまりないわりにタフで心が折れないタイプだから、なおヒットする場面を量産した部分もあっただろう。4回にワンツー、5回にボディで(相手はバッティングアピール)、7回に連打からの右ストレートで3度のダウンを奪った。ただ、肘をきつく絞っての右が主体のため、攻めのパターンが似通いインタノンが耐えやすくもあった。フルラウンドの試合にインタノンの健闘を称える声もあるだろうが、それは事前に易々と倒れると思っていたからだろう。実際にはワンサイドで劣勢だった選手がKOを凌いだというだけで、勝機が見られたわけではない。両者の実力者が見極められる人なら、これは「河野が格下選手を倒しきれなかった試合」だ。もちろん大差で勝っているのだから河野が悪いわけではないが、このレベルの相手に3度もダウンを奪ったなら詰めてほしいというのが本音。パンチ精度が上がっていたところは今後の防衛戦でも活かしてほしい。次戦は香港のレックス・チョーと中国での敵地戦が有力だという。 河野の判定勝ちは予想で99人中27人が当てた。「優勢に試合を進めながら詰めの甘さが出てズルズルと判定まで行く気がします。ダウンは奪えるでしょうが、ストップまで持ち込めるかは微妙です」というモロダシ・ボンさんが的中。ほか隠し剣さんもヒット。 同様にランダエタも攻める田口より、必死に応戦する挑戦者に「頑張ったね」と思ってしまう構図。こちら予想では101人中56人と半数以上が田口のKO勝ちを当てたが、多くのコメントがもっとスッキリした倒し方を期待するコメントだった。 コンディションが良さそうなランダエタは上体の動きもよく高いモチベーションを感じさせたが、2回に田口が右フックに早くもグラリ。防御こそ老獪だが攻撃力に乏しく、パンチは軽いものばかりで、こちらも勝機はまったく見えない。田口は相手の土俵に乗るところがあるから、前に出て優勢ではあるものの、挑戦者と同じような間隔での攻防が続いた。9回に蓄積したダメージにボディを打たれたランダエタが2度のダウン。10回にロープ際に追い詰められて右を食らってまたダウン。11回、右ストレートでさらに2度ダウン。挑戦者が立ち上がる度に場内が歓声という、まるで中年ファイターの挑戦ドラマを売りにした過去のK-1でも見ているかのようだったが、結局、12ラウンド開始前にランダエタは棄権して、田口は倒しきることができず。距離の取り方に工夫の余地を残した試合だと思うが、そこは田口自身の持ち味もあって、もっと強い挑戦者となら熱戦になったとは思う。現在、田中恒成や拳四朗、宮崎亮からの話があるとして、次は日本人との防衛戦が有力視される。 格下すぎる挑戦者を選べばこういう空気になるという試合が2つも続き、僕がエキサイトする世界戦興行とはまるで違っていた。それだけにメインイベントの内山の衝撃KO負けは皮肉にもボクシングの醍醐味を感じてしまった。その意味では、たとえ負けても内山の見せた試合の方がプロフェッショナルだった。見返りが少ない勝負で落としたのがもったいなかったが、恥じることはまったくない。弱い相手に勝つチャンピオンより、強い相手に負けるチャンピオンを称えなければ、日本のボクシング界はおかしな方向に行くと思う。いずれにせよ緊張感、スリルのあるなしがいかにこのスポーツに重要かが分かった。
Apr 29, 2016
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