2002年08月22日
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「作家のことはよく知らないけれど本は好き」シリーズ第二弾!

 本日は 森茉莉『贅沢貧乏』『貧乏サヴァラン』 です。最初に出会ったのは、筑摩文庫の『貧乏サヴァラン』で、これは森茉莉の食べ物関係のエッセーばかりを集めたアンソロジー。そのほとんどが『贅沢貧乏』からとられてるみたい。
 この森茉莉というひとは、ほんとワガママで、自分勝手で、口うるさいおばあさんだと思う。お嬢様育ちだし(なにしろ、森鴎外の娘だから仕方ない)。それに、今は下北沢のぼろっちいアパートに一人で住んでいる、端から見ると寂しいおばあさん。
 なのに、本人は全然寂しそうじゃないし、過剰なまでに強固な美意識にセレクトされたものたちに囲まれて満足しているし、食べることが大好きで、ブリア・サヴァランのような味にうるさい自分の舌を満足させるために東奔西走している。なんだか幸せそう。
何しろ彼女の毎日は、原稿用紙に小説を書いているか、かけなくて絶望して眠っているか、美味しいモノをたべているか、その美味しいモノを作っているかのどれかなのだ。
 パンに缶詰のハムとトマトとキュウリのサンドイッチ(のっぺりとした冷蔵は嫌いなので家に置かない)がないと一日は始まらないし、リプトンティーバッグとやかんのお湯で入れた紅茶がないと夜は始まらない。(紅茶の濃さに細心の注意をはらって入れ、近所の氷屋でかってきたダイヤ氷のうえに注ぐと、「ハヴァナの薫香かナポレオン・ブランディーの香気か、というような香いを発するのだ。」)
 あるときは、ヒラメの刺身にしんみりする。「ああ、小春陽うららかな、失われたお刺身の刻よ。」
 ピーター・オトゥールとシャルル・アズナヴウルに毎日幻の花束を送り(「マリアの幻は、現実以上の現実なのだ」)、ラジオからは時折「体中の皮膚がそうけ立つような歌」が聞こえてくる。


 自分の価値観をしっかり持って、それをすっかり満足させるようにいきること、それが贅沢なんだよなー、って思う。格好いい生き方だなー、しんどそうだけど。

 こういうおばあさんに私はなりたい。





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Last updated  2002年08月22日 21時46分38秒
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