『yom yom 10』を読んでいるところです。
今回は、食べ物に関する読み物の特集だったのでうっかり買ってしまいました。
まーこの特集は、たいしたことなかったんですが![]()
掲載短編に掘り出し物がありました![]()
万城目学「悟浄出立」
西遊記の悟浄の独白という形をとった小説。
常に観察者としてある(というかその枠を超えられない)悟浄と、
過程を飛ばし、結果だけを追い求めてきたブタ八戒の物語。
波乱万丈のアクションである妖怪退治と西天取経の物語でなく、その登場人物の内部の葛藤や成長を描くというのが面白い。
短いけど、ピシッとまとまっていて(西遊記というバックボーンがあるからこそなのかもしれないけど)なかなかよい作品だと思う。
この人うまいなぁ、と感心した。いや、コレ読めただけでもyomyom買った値打ちがあったわ。
実はこの作品は、西遊記ではない元ネタがあるようなのだ。
中島敦の『悟浄出世』と『悟浄歎異』とである。
どちらも陰気な(!)カッパの独白小説である。
中島敦といえば『山月記』(高校の現国でやった。1学期ずっとこの作品をやっていた。しつこい先生だったのだ)しか知らなかったんだけど、こんな傑作もあるのだということを去年知った。
『monkey business 2』(柴田元幸責任編集の文芸誌)で、中島の『悟浄歎異』が紹介されていたのだ。(しかもその作品解説は栗田有起)
この小説を読んだとき、本当に出会えてよかったと思った。
中島敦というひとは、内なる苦しみとかそういうモヤモヤしたものを書くのが本当にうまい作家だと思う。
この悟浄歎異も、一歩引いてみることしかできないカッパの気持ちがとてもわかる。
32歳でこの作品を書き、33歳でなくなったこの人は、どんな目でこの世の中を見ていたんだろう。
彼のなくなった年もとっくに過ぎてしまったのに、想像もつかない。
そう思うと、すこし凹む。
でも、彼を継ぐ作品に出会えたことがすこしうれしかった。
幻影師、アイゼンハイム 2008年06月26日
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