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2011.08.15
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  66年前の今日、おかしなおかしな戦争が終わった、

  5歳だったからおかしなところはよくおぼえている、

  国鉄の官舎に住んでいて働き手はおじさんばかりで、

  元気で威勢のいいお兄さんは働いていなかった、

  15歳ちがう僕の兄は勝ってくるぞと勇ましい

  歌声に包まれて胸を張って官舎をあとにした、

  勝ってくるというのにやけっぱちで悲壮な大声で、

  なんだかおかしいおかしいと思いながら見送った、

  おじさんおばさんたちによるバケツの消火訓練は、

  梯子をかけた屋根へリレーで送って水をかける、

  燃やした藁の模型は消えても本物は消えないぞ、

  まだこの目では見ていない焼夷弾の肩を持った、

  東京の空が真っ赤に焦げた夜を見ているんだ、

  バケツの水で消すなんて笑えないほどおかしい、

  官舎の倉庫に先を斜めに切って炭火で焼いた

  青い竹槍がびっしり立てかけられているのを見た、

  細くて短いのもあって女学校のお姉ちゃんのもの、

  はじめこわごわ見てそのうちおかしくておかしくて、

  だってB29の編隊が次から次に通過していくのに、

  どうやったって青い竹槍じゃ突き落せやしないって、

  8月15日は美しくまぶしい青空でずいぶん暑かった、

  昼過ぎに父が官舎に戻ってきて戦争は負けたと言った、

  聞いた母は縁側にへなへなと崩れてまさかと絶句した、

  姉たちが学校から帰っての夕食は笑い声が起こった、

  負けたのにおかしいおかしいと思いながら僕も笑った、

  だいぶしばらくして広島や長崎への原爆投下を知った、

  おかしなことをやるしかないところへなぜ落とすんだろ、

  おかしいおかしいこれがいちばんおかしいじゃないか、

  それからしばらくして父が白木の箱を提げて帰宅した、

  なかには兄の階級氏名を記した白木の板切れのみ、

  僕も含めて家族みんなで泣いたけどやはりおかしい、

  おかしくて滑稽だから戦争は根絶できないのかしら、

  でも、5歳のときの感性をなくした今の僕もおかしい、

  心を入れて戦争のおかしくて滑稽なことを訴えよう。

 WEB絵劇場はこちら ◆志茂田景樹のホームページ・
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最終更新日  2011.08.15 15:33:20
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