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不登校・ひきこもり・ニートを考える
不登校業界は失敗したのか?
世の中には“不登校業界”というのがあるらしいのです。
そう思って、さっきGoogleで『不登校業界とは』と、打ち込んで検索してみました。
残念ながら、はじめの方に出てくるのは『広告業界』とか『石油業界』とか『教育業界』『音楽業界』『保険業界』といった、他業界のことでした。
そこで
「『とは』と打ち込んだからイケナイんだな。単純に『不登校業界』と打ち込んでみよう!」
と、打ち込んでみたところ、最初に出てきたのは、わたしが書いた「ちょっとヘンだよ不登校業界」という記事でした。(笑)
実は、わたしが不登校にかかわりはじめた頃、『不登校業界』という単語にちょっと違和感があったのです。
しかし、不登校関係者の方々は、ごく当たり前のように『不登校業界』というので、てっきりわたしは
「ああ、不登校を商売にしている業者さんのことなのだな」
と、納得していたのです。
と、いうことはそのギョーカイで仕事をしている人たちは“不登校業者”ということになるいう実に常識的な発想であったのですが、なぜか不登校業界の人たちは、自分たちを不登校“業者”といわれることが嫌みたいなんですね。(笑)
多分、自分たちは金儲けでやっているんじゃないといいたいのでしょうけど、教育業者であろうとも、医療業者であろうとも、商道徳に反したりしていなければ堂々と“業者”と名乗ってもいいと思うんですよ。
芸能業界の人は、自分たちを芸能業者とはいいませんが、「芸でおまんまを食べている」という誇りを持っている人たちですしね。
そういう意味では、みなその“業界”に誇りを持っていると思います。
さてさて、その不登校業界ですが、不登校が世の中で注目されだしたのは、1980年代くらいからです。
当時は不登校ではなく登校拒否と呼ばれていました。
(登校拒否が不登校と呼ばれるようになったのは、1992年から)
そして、いわゆる『不登校業界』(いわゆる不登校児童生徒を対象にしたフリースクール)は、主に学校を否定したり対立したりすることで発展してきたという歴史があります。
しかし、1992年になると文部省は、いわゆる『不登校業界』の意見を大幅に取り入れ
【『学校に行か(け)ない』という状態は、誰にでも起こりうるもの】
という考え方をしめし
「無理やり学校に行かせると、状況を悪化させる恐れがある。だから登校刺激するな」という指導が学校全体になされました。
(※登校刺激とは「学校へ行きなさい」とうながすこと)
この意味は
「子どもを信じて待つ。すると子どもが動き出す」
というものでした。
それはこれまで、以前より学校と対立していた不登校業界が言っていたことでした。
まさしく、学校側が不登校業界や、不登校の子どもを持つ親たちの意見と汲んだということになったのです。
その頃の不登校業界や市民活動家と化した親たちの意見は、
「学校が悪いから、我が子が不登校になった」
「不登校が激増したのは学校が悪いからだ」
という意見が多かったのを文部省が取り入れ、フリースクールに通う子どもたちも、出席扱いにしたのです。
これは大きな一歩と思われ、不登校業界の人たちは、結構よろこんでいたようです。
ところが……
教師や親が登校刺激を止めるようになった年からの不登校児童生徒総数を見てみると……
1992年度 72113人
1995年度 81591人
1998年度 127692人
2001年度 138722人
と、まったく減ることなくむしろ加速度的に急増していったという期待と正反対の結果になってしまったのです。
心理カウンセラーの牟田武生(むたたけお)氏によれば
【92年に文部科学省(当時の文部省)は不登校(年間30日以上欠席した児童生徒)の対応の仕方を「どの子にも起こりうる」という視点に変えた。それで、親や教員の多くは、不登校の子どもたちには登校刺激を一切やめてしまった。
文科省の調査によれば、95年から98の4年間に不登校の児童生徒の数は4万6000人も増えた。その間にいろいろと対策を立てたが、その分析はなされていない。
そこで、自分の研究所に通った子どもたち150人の心理検査の結果を分析してみた。
92年より以前の通所者をみると、不安を強く抱えていたり、対人恐怖の傾向が強いタイプが多かった。
その中には、情緒的には安定しているが対人関係では内向的な子どもが含まれていた。
このようなタイプの子どもは、学校などでのちょっとしたことで、不登校になってしまうことがある。
それが、教員も親も登校刺激をしなくなったために、そのままひきこもってしまい、このようなタイプの不登校が増えてきたのではないかと考えている。】
参照:【不登校引きこもりの予防「不安の少ないひきこもりの子が依存(牟田武生氏)」より】
という意見も出るようになりました。
そして、その結果として
● 「登校刺激を一切しない」「子どもを信じて待つ」だけの指導法では、不登校児童生徒が増える一方になる。
● 平成13年文部科学省による不登校生徒追跡調査によると、中学卒業後5年後に、就学・就労ともにしていない者が23%、つまり不登校経験者の4人に1人が、ニートもしくはひきこもりである。
(アンケートに答えてくれた人、つまり回答率が42.4%であるから、アンケートに答えていない人を考えるとその%は、さらに高くなると推測できる)
● 平成20年東京都の『ひきこもりの実態等に関する調査』によると、ひきこもりの36%が「不登校」を経験している。
ということが、言われるようになってきます。
おそらく……、不登校業界にとって、自分たちの意見が取り入れられた政策は、失敗に終わった……
と、いうことになるのでしょう。
しかし、皮肉なことに、不登校業界の意見であった「登校刺激をしない」「子どもを信じて待つ」という意見による“不登校児童生徒の激増”は、不登校業界にとって、大変都合の良いものでもあったのです。
その理由は簡単で、不登校業界にとって、不登校に悩む子どもや親は、お金を運んでくれる客でもあるのです。
さらに、不登校業界の中でも『学校否定』『再登校反対』『学校復帰反対』の理念を持っている業者は、自分たちの支援施設の児童生徒が、再登校をはじめたり、学校へ復帰したりすると、そのまま自分たちへの収入が減るということに直面します。
これは実に切実な問題で、例えばフリースクールに通う10人の児童生徒が退会したとすると、月謝が仮に3万円として、30万円の損失となります。
そういったところのスタッフは薄給で頑張っている人が多いのですが、そのためにヘタをすれば2人ほどクビにしなければならないかも知れないのです。
最初は、「不登校の子どもの為」として発足した団体でも、組織として大きくなり、スタッフを数名抱えるようになると、どうしても、「子どもの為」というより「組織を維持する」方向へ言ってしまうのは、営利・非営利に関係なく、組織・団体の宿命のようです。
ですから、不登校業者にとって、不登校は増えれば増えるほど、客層が増えてありがたいということになります。
不登校が増えれば、「学校が悪いから不登校になるのです。わたしのところに来ればいいですよ」と、児童生徒を増やすことができるのです。
逆に、不登校児童生徒数が減ると、とても機嫌が悪くなり、こういいます。
「こんなバカな話はない! 本当は不登校児はもっとたくさんいるんだ!」
いるんなら、機嫌が悪くならないでもいいと思うんですけどね。(苦笑)
ですから“ある種”の不登校業者は、『再登校』『学校復帰』をすすめず、むしろ少しでも遅らそうとするということを聞いたことあります。
“ある種の”とは、学校と対立するタイプのフリースクール。
つまり、「新しいタイプの学校」を目標とし、学校のオルタナティブ(代替)スクールを目指しているタイプのフリースクールは、経営上、一般学校と競合してしまう傾向があります。
面白いことに、類似する業界である『塾業界』は、学校と共存することができるので、学習塾から発達してきた『不登校業者』は、学校を敵視することはないようです。
むしろ、通信制や単位制の学校と提携したり、自ら学校法人になることも多いようです。
学校の代替としてのフリースクールは、ちょっと複雑です。
学校の代替となると、どうしても学校と子どもの取り合いをしなければ経営が成り立たなくなってしまうからです。
ただ、不登校に悩む親御さんは子どもに
「不登校でいいんだよ」
と言いつつ、心の奥底では進学を含める『再登校』『学校復帰』を望んでいる場合がほとんどでありますので、『学校復帰』『再登校』高校や大学、専門学校等に進学率が高いフリースクールは、帰って評判が良くなって、『進学』や『学校復帰』が多ければ多いほど、児童生徒が集まっていくるという結果になっているようです。
なんだかスゴク皮肉な感じもしますね。(笑)
ちなみに、わたし個人としては、【学校否定】【再登校反対】のフリースクールがあってもいいと思っています。
そういうスリースクールがあって、親や子どもが、そういったスクールを望むのなら、そういったスクールも多いに流行ることになりでしょうしね。
さて、不登校急増に対して文部科学省は、平成14年度より、これまでの「登校刺激をしない」から、「適切な働き掛けが必要」という方針に変えたところ、2002年度から2005年度にかけて、不登校児童生徒数は減少をしました。
が、
2006年度より、また増加をしています。
2007年度では、特に中学校で34人に1人が不登校の計算で、小中とも学年が上がるにつれて増加し、中学3年では28人に1人の割合にまで高まっているそうです。
文部科学省によると、その理由として『嫌がるものを無理に行かせることはない』とするなど保護者の意識が変化があげられており、いじめ自殺が一昨年秋から増えたことによる新しい傾向」と分析しています。
わたしも、自殺をするくらいなら、学校に行かなくてもいいという考えです。
不登校への対策は、何も学校復帰や進学だけではありません。
人にはそれぞれに人生の選択があり、どの方法が間違いないとか絶対にいいとはいえません。
ですから、不登校支援の方法もたくさんあっていいと思いますが、中にはあまりいい結果を出していない業者や、本当に子どものことを考えているのか疑わしいような業者もいますので、それはぞれぞれの皆さんが気をつけていただきたいものです。
さて、この記事の結論をつけなくてはなりません。
この記事の題名は『不登校業界は失敗したのか?』というものです。
これはなんとも言えません。
それは結局、『業界』が決めることではなく、不登校を経験したそういった業者を利用した人たちが、決めることでしょう。
おそらくこれからも、不登校が劇的に減るとか増えるということは、あまりないと考えられます。
ニーズがあれば、そのニーズに答えた『業者』は生き残り、答えられなかった『業者』は淘汰されていくということなのでしょうね。
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