おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

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2006.02.19
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カテゴリ: 市原市 和食
太陽で私はかつ重を注文した。

ところで、かつ丼とかつ重の差異の定義はどうなっているのだろうか。一般的な感覚からいうと、丼の上位に重がくるというので正解なのか。ただこの店にはかつ重しかなかった。

厨房のほうで肉をたたく音がしている。揚物の音が立つ。しかしけっこう手間がかかっているようだ。私より後から注文したテーブルのロースカツ定食のほうが先に品物が来た。そして何分かしてやっとやって来た。

それは、形からして普通でなかった。敵は、ひょうたん型の重箱などという意想外の姿で登場してきたのだ。ビジュアルでの想像、味のほうの想像も、まずは外しようのない「かつ重」という、どうにもならないくらい凡庸なポピュラーメニューなのに。まずは最初で、面食らってしまった。サイドに味噌汁がつく。

ひょうたん型の軽っぽいフタを取ってみて、今度は本当に本格的に愕然としてしまった。アラジンの魔法のランプのS字どころではない。湯気が立たない。甘美な芳香もやってこない。玉子で熱々で熟々にとじられているはずの私の大事なかつ重は、カツそのものが初々しく素直に並んでいるだけの代物だった。なんと玉子とじかつ重ではなく、ソースかつ重だったのだ。「違う、自分の頼んだかつ重じゃない」私が激高タイプだったら、テーブルをたたいてそう叫んでいただろう。

はっきりいって、ソースかつ重なんて知っていたら、ぜったい頼まなかった。好きな人もいるだろうが、私はいやだ。それだったら初めから分離しているロースかつ定食のほうを注文していた。

何も訊かずに頼んだこちらのミスだが。それにしてもこの土地で、何もただし書きのない「かつ重」がソースかつ重とは。常識でいうとあり得ない。それほど(玉子とじ)が当たり前の地域なのである。

仕方ない。とにかく箸をつけることにした。

瓢箪の上部がキャベツのみじん切りと新香、下部にとんかつが収まる。いちばん端の一切れだけにソースをかける。さっそく食べてみる。うん。普通のソースかつ丼だ。可もなく不可もない。

今度は何もつけずに、次の一切れをいく。ん…。とんかつ、それ自体に味がついていた。変なスパイスは混ざらない、塩系の素直で上品な味つけがされていた。切口を見てみても普通のとんかつだ。(下処理をしていたのか)それでよけいな時間がかかっていたらしい。

これが、意外にもおいしい。そして同じように下のご飯をかきこむ。こちらのほうにもタレがかかっていた。鰻重用のタレに近いようだが、そこまで濃厚ではない。みりん醤油系のうっすら甘いタレだ。

丼ぶりもののように一緒くたにかき込んでみる。と、今度はすごい衝撃が走った。あり得ない。塩味のとんかつとタレのご飯がうまくMIXされて、この世にはない(少なくともいままでのかつ丼界では存在しない)ような絶妙の味加減の、別次元の丼ものになっていた。

ソースがかかってないのだからソースかつ丼ではない。もちろん玉子とじかつ丼でもない。まったく新しいジャンルのかつ丼、塩かつ丼とも言うべきニュータイプの登場である。

この革新の一品に私は夢中になった。もうソースなんてかける必要はない。玉子とじのほんわかした湯気はない。あの重厚さはない。刑事ドラマには使えない。しかし、こちらにはもっとすごい長所があった。とんかつ本来の良さを十分に堪能できる。ソースさえも排除する潔さ。水分は下のご飯からしかやってこないので、揚物のカラッとした味わいが楽しめる。天ぷらを塩で食すようなさっぱりした趣をかつ丼に取り入れるとこうなるのか。辛さのむこうに微妙な甘さが覗く。甘さの真っ只中に塩っぽい領域が見えかくれする。スイカにアジシオを振りかけたり、薄いサラダせんべいにアイスクリームをトッピングしたり、バナナにマヨネーズをつけたり、無花果を生ハムで巻いたりと、人々は甘さとしょっぱさの混合に、味覚のステキな協演がかなうことを知っていたのだろう。ダイナミックでいて絶妙で、なおかつ微妙で繊細な協演を。

そこにはすっきりした後味があった。とんかつと鰻を専門とするこの店ならではの逸品だろう。食べたあと私は、感激でしばらくボーッとしていた。

「太陽」
住  所:市原市神代244-3

電話番号:0436-36-2810
営業時間:11:00-22:00
定  休:不定
メニュー:かつ重893/ロースかつ定食987/1334/1764/
      ひれかつ定食1334/1764/
      鰻重1638/2100/2520/3675/
      海老フライ定食1260/鮪ぶつ定食840/串かつ定食840/
      柳川735/馬刺1290/ライス263/
評  価:☆☆☆☆☆


太陽1





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Last updated  2006.05.12 22:54:36
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