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2010.05.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類



たまたま、18日の番組では「おっとりがたなで駆けつける」が話題になっていた。
この意味は、武士が危急の場合に刀を脇に差す余裕もなく、手に持ったままの状態で、取るものもとりあえず駆けつける様子を表しているのだと理解していたら、これを「おっとり」という言葉から連想して「ゆっくりと」とか「のんびりした様子で」駆けつける意味だと、インタビューでは答えている人が結構沢山いた。駆けつけるのだから、急いでいると思うのだが、「おっとり」のイメージが優先したらしい。

その他に、本来の意味と逆転しているのではないかと思われる言葉がいくつかある。
「気の置けない人」あるいは「気が置けない人」は、本来、親しいので気兼ねする事がない人と云う意味から、いつの間にか「油断できない人」のことに変身している。

また「流れに掉さす」は、棹を流れに沿って使い、弾みをつけて下流に進むように、傾向に乗って事柄の勢いを増す行為をさすことなのに、いつの間にか、棹をグイッと川底に押っ立てて、まるで錨をおろし船の流れるのを止めているかのように、「時流に逆らう」という意味に流れを変えてしまっている。

もっと情けないのは、「情けは人の為ならず」である。
情けを掛けるのは相手や他人のためでなく、回り回って結局は自分のためになると云う意味なのに、「情けは人のためにならない」と折角の人間らしい思い遣りの気持ちを啓蒙しているのに、世論は敢然と「人に情けをかけるな」とこれを否定してしまったのである。

ところで最近は漢字の読み書きや言葉遣いに関するクイズ番組が目白押しである。


先日のこと、ある番組を居間で見ていたかみさんから質問が飛んできた。
「とんでもございません」という表現が正しいと思うか、間違いと思うかと言うのである。
たいがいの場合、こんな時は「間違い」が正解の確率が高いので、躊躇なくそんな使い方は間違いだと答えた。
では、正しい使い方はと質問が追いかけてきた。
「とんでもない」は一つの言葉で、これを分けることは出来ず、どうしても「ございません」を使いたいのなら、「とんでもないことでございます」とでも言う以外にはないのではないかと、当てずっぽうに言ってみたら、なんとこれは正解だったのである。
日ごろ偉そうに、ブログに文章を書いて、かみさんの前では文筆家?を気取っている私の面目は、少なくとも立った様である。

確かに、詳しく調べてみると、「とんでもない」は、「とんでも」+「ない」の2文節ではなく、「あぶない」や「つたない」と同じで、「○○ない」という一つの形容詞だから、「ない」の部分のみを取り出して「ありません」や「ございません」に置き換えると、「あぶありません」とか「あぶございません」と言っているのと同じになり、意味の通じないおかしな表現と云うことになるとのことであった。
ところが、この番組では「女性の品格」の著者である昭和女子大学学長の坂東眞理子さんが出演されていて、この「とんでもございません」を正しい表現と回答したらしい。

もっとも、むかし宮本百合子さんは『海浜一日』の中で「とんでもございません」と表現し、宮沢賢治さんも『月夜のけだもの』の中で「とんでもありません」と表現した様である。かつまた2007年2月、文部科学省は文化審議会の答申で『敬語の指針』として、「とんでもございません」という用法は「問題がないと考えられる」とお墨付きを与えたらしいから、坂東眞理子さんのこの回答は必ずしも不正解だとは言い切れない訳である。
結局これを間違いだとしたのは、彼女をして間違って恥ずかしいと言わしめるための演出だったのだろうか。
「人の不幸は蜜の味」と云う箴言があるが、全問正解をしてその博覧強記を見せつけられるより、絶対に間違えるなんてことはないだろうと思われる著名人が不正解をして、それを恥じ入っている様を見せることの方が、どれほど視聴者に優越感を与え、楽しませるかをよく心得て番組を作ったとしか言いようがない。






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Last updated  2010.05.19 16:43:14
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