レビー小体型認知症介護日記

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2005.04.09
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カテゴリ: 母との思い出
母の退院が決まりました。


今の病院では、看護士長が、入院患者の退院を決めます。
国立では入院を心待ちにしている人が多い中、ご無理を言って、少し延ばしてもらいました。

今まで母は、仏滅も気にしたことなく退院していました。
今回の入院は、母子の新しい旅立ちです。
大安を狙って退院を決めたので少し伸びました。

大府というのは、わたしたち親子四人がつつましくも楽しく暮らした土地です。
母はまえから大府の病院に来るのを嫌がりました。


世間に背を向けたような、息子を恥じていたからでしょう。

今回この病院に連れてくるとき聞きました。
「誰かに会うことを恐れるより、病気のことを考えようよ」
「うん、○○ちゃん、頭が馬鹿になったからね」
「それは俺にもわからない。先生に聞いてみよう」
「うん、それがいいね」

そしてこうも聞きました。
「おれの同級生で誰に会いたい?」
「○○君と、××君と、○×君」
みんな医者の息子で、親のあとをついで、医者になっているものばかりです。

わたしが小学校のころ彼らと仲良く、将来は医者になろうといっていたのを覚えていたのです。



○○君の父親も医者です。
わたしの父が急性心不全で亡くなったとき、看取ってくれて、死亡診断書も書いてくれました。

彼は親の残した土地ではなく、25年前に違う土地で開業していました。
近所の年寄りに聞くと、
「あんな良い先生はいなさらんよ」


わたしは彼に手紙を書きました。
35年に及ぶ音信不通を素直にわびました。
しかも郵便ポストに投函したのではなく、玄関のポストに自分で入れました。

返事がなければ、許してくれないものと思い、会うのをあきらめようと思いました。
でも彼から返事が来ました。
そして今年の末に同窓会をやるから来ないかとの誘いでした。

彼の友達から聞いた話があります。
彼が親の金で、医者になることを悩んでいたときのことです。

「丸まる君、おれ医者になるのをあきらめるわ。君みたいに頭がよくないし、
どうせ医者になっても、親の金でなったといわれるのがつらいし」
「何を言っているのだ。親の金でなっても医者は医者だ。
そんなことで後ろめたさを感じることはない。
将来お年寄りに慕われる医者になれば、誰も何にも言わなくなるよ」

彼は心が軽くなり、医者を目指したという。

この話は、わたしは忘れてしまっています。
彼の作り話かもしれません。
でもわたしは、大変うれしいです。

俺もずいぶんかっこいいやつだったんだな、と思えるからです。





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Last updated  2005.04.09 20:13:36
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