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2009.02.17
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カテゴリ: 映画

news07_matsui-sano.jpgimg003ffffff.gif


マネキンに“菜穂子”と名前をつけて、殺した女の肉片を中に詰める孤独な青年・誠、近親 相姦の兄弟・・・。“菜穂子”によって導かれた男女に、残酷な運命が待ち受ける―――。


 アネモネさんにおすすめ?していただいた作品。 カルト・ムービー ゆえ、体調がよくない方にはおすすめできません。
80年代にはこんな衝撃な作品があったこと、改めて面白いと思う。
製作から20年、いまの映画にちょっとだけ疑問を感じた。
古い映画を観ると、「現在ではふさわしくない言語ですが、本編のオリジナリティを尊重してそのままで放映します」というような字幕をたびたび観ることがある。
それは今では使ってはいけなくなった差別用語で、たしかにいけない言葉ではあるけれど、使えなくなってからの映画は、おのずと軟くなりエグ味も頭を殴られるような衝撃も存在しなくなってしまったような気がする。
もうこんな映画は生れてこないんだという寂寥感・・。


photo.jpg02.jpg


“菜穂子”と名づけたマネキンを偏愛し、若い女性を殺しては切り取った生殖器を“菜穂子”の中に詰め込んでいる青年・誠。
彼は廃墟の屋上に住み、孤独で人でなしだが、寄せる愛だけは誠実だった。
ある時“菜穂子”が妊娠し、新しい家族のために働こうと決心した誠は、小人症の兄妹が経営している下水道清掃の職に就く。
その頃、同じ街で、近親 相姦の幼い兄妹ふたりは純粋に寄り添っていたが・・・。

「カラスになるくらいなら、真っ白いハトでいたい」
街ゆく女子高生は言う。
この映画の人々は、愛はあっても欲望に負け真っ黒なカラスになってしまうのだけれど、果たして一生真っ白なハトでいることが正しいのか、それがわからない。
たしかに、彼らのような堕ちる姿をみてしまえばカラスになるのは嫌だけど、目くらめっぽうに欲望に突き進む行為は本能的な望みでもある。ただ理性が歯止めとなっているだけ。

愛のためには人殺しもいとわない誠。
体の醜い痣と、成熟しても体は幼児のままであることを嫌悪する小人症の妹、そしてその兄。
性欲を捨てきれない浮浪者。

愛によって生命を得た“菜穂子”に引き合わされ、誰もが欲望に憑り付かれ、残酷でむごい結末へとひた走る。
唯一、ほんとうに美しかった兄妹さえ、導かれるようにして誠のねぐらに辿り着いた時、兄の欲望が目ざめ悲劇を迎えてしまう―――。

兄妹を描いたシーンは本当に美しくて、少女の純白なイメージが、少なからず過酷な鑑賞を助けてくれた。
過激な描写ばかりのなかで、これだけ美しく純粋なものを配置できるのは、審美に長けた監督さんならではのはず。マネキンの美しさもまた、対照としてとてもいい。


これがモノクロ映画で本当に良かったと思う。

監督がモノクロを選ぶのには、いろんな理由があるのだろうけれど、本作では過剰な刺激を避けるためにそうしたのでは?―なんて思えてくる。
映像美が際立つことも、モノトーンならではだ。
物乞いの負傷兵や、路地裏の猥雑さが、時代背景を曖昧にしているのは、幻想譚ならでは。
幾度も登場する日立の広告塔が懐かしい感じで印象的だった。


リバイバル上映時の解説。
時代が映画においついた、究極のハードコア・ファンタジー





製作 /安岡卓治
音楽 /菅沼重雄
出演 /佐野和宏  隅井士門  村田友紀子  大須賀勇

(モノクロ/150分)







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Last updated  2015.03.04 22:10:37
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Re:【追悼のざわめき】 1988年 究極のハードコア・ファンタジー(02/17)  
アネモネ*  さん
早速ご覧になっていただけたのですね。ありがとうございます。
ずっと映画館でしか観られなかったこの映画が、
オンラインレンタルで観られるようになったなんて不思議な感じがします。

>これがモノクロ映画で本当に良かったと思う。

そうですね。モノクロ故の残酷さと美しさが共存している映画だと思います。

また観たいなと思いつつ、映画館で観た衝撃を忘れたくもなく…。

(2009.02.18 00:15:42)

アネモネさん  
はる*37  さん
こんばんは。
さっそく送られてきました(笑)
観て良かったと思える映画でしたよ。
おすすめ、ありがとうございます。
松井監督が十数年ぶりに最新作を撮ったということで
封印を解かれたのですね。2007年に。


>映画館で観た衝撃を忘れたくもなく…。

すごく心や気持ちに残った映画は
再見するタイミングがむつかしいですよね。
オンラインではスムーズに借りられましたよ! (2009.02.18 00:24:27)

僕はというと  
tarashi  さん
映画館で観ました。で、昔の高校生の8mm映画じゃないかという感想でした。あの頃の現代舞踏やアングラ演劇の寄せ集めです。映画館でも実のところ、あちこちから「言われていたほどの映画ではないね」という声が聞こえてきました。「何処へ」も評判倒れです(僕の感想ですのであしからず)。結局、見世物小屋的映画から離れることはできないのでしょうね。なお、松井監督のHPはとてもゆったりとしていて、人柄はいいのでしょうね。きっと。 (2009.02.18 01:01:29)

tarashiさん  
はる*37  さん
こんにちは。
高校生の8mmににしては上手すぎませんか(笑)
視覚的な衝撃が中心で、内に訴えるような作品ではないけれど
‘80年代当時にはあった鋭利さは、これからも求められることがあるのじゃないでしょうか。
いまの日本映画から、失われたものだから。
ある意味、真摯的な態度だと思いました。


>あの頃の現代舞踏やアングラ演劇の寄せ集めです

アングラ演劇ですかぁ。
面白そうな時代だったのですね。


>「何処へ~」も評判倒れです

は予告を観ましたが、惹かれない感じですね。
レンタル出ているので、気が向いたら観てみます。
監督は人柄が良さそうですよね。
本編を見たあと、なんとなくそう感じました。 (2009.02.18 16:05:36)

この作品は知りませんでした。  
racquo さん
面白そうです。是非見てみようと思います。
-
最近の日本映画の軽さは、結局は広く人々の心性の反映だと思います。一方で不況で苦しむ人々はいても、物を自分で感じない、考えないオメデタさとでも言えば良いのでしょうか。書きかけですが、『TOKYO!』の第2話カラックス作品、第3話ポン・ジュノ作品は、その意味で今の日本(東京)を良く捉えているかも知れません。
-
差別用語などの制約は、過去の作品をテレビなど公共の電波に乗せる場合には問題になりますが、新しく作品を作るにあたっては、テレビや大手映画会社や映画館さえ念頭から外せば、本質的にはあまり大きな問題ではないと思います。むしろ問題はそれを受容する層がどれだけいるかでしょう。
-
ひとつの指標としてボクが考えるのは、ブランド志向の衰退と、死刑制度反対の増加で、(あくまでも今の日本では、という意味ですが)この変化と比例して人は物を考えるようになると思っています。そしてもちろん映画も軽さを減ずると思います。
(2009.02.24 20:51:59)

racquoさん   
はる*37  さん
観る側も作る側も、変わってきているんですね。
どんな作品も、消化できる土壌を持ちたいものです。


>問題はそれを受容する層

受容されない=一般受けしない
そういうものを作る人も減っているような印象ですが、気のせいでしょうか。
受容できる層でありたいなぁと思います。


>死刑制度反対の増加・・・比例して人は物を考えるようになる

う゛ーん。
むずかしい。
考えてみます。 (2009.02.24 22:32:35)

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